【シューズレビュー】ナイキ エア ズーム ペガサス 37

本来なら大々的に宣伝され、華々しくデビューするはずだったナイキ エア ズーム ペガサス 37。2年ぶりのフルモデルチェンジとなり、ここ最近のナイキの活躍もあって気になって入るものの、残念ながら新型コロナウイルスの影響で、ひっそりとした販売スタートになりました。

ペガサス35から36はマイナーチェンジという感じがありましたが、今回はリアクトフォームを採用し、エアパックの形状も変更しています。これらの変更によってどのようなシューズに生まれ変わったのか、実際に走ってみましたので、レビューします。

目次

ペガサス37は再びフォアフットシューズへ

ペガサスはエア ズームの名前からもわかりますように、エアパックをクッション材に使っているシューズです。ペガサス34はどこで着地しても最適な走りができるように、前足部とかかと部の2ヶ所にエアパックを使っていましたが、ペガサス35とペガサス36はインソールのような大きな1枚のエアパックを採用しています。

これによりペガサス35と36はフラットな着地をするためのシューズに生まれ変わりました。「トップランナーもジョグではフラットな着地になる」という考え方がベースにあり、実際にナイキの契約選手もジョグでペガサスを履いていました。

ところがです。ペガサス37ではエアパックを前足部だけに持ってきました。それも、従来よりも厚みがありクッション性も反発性も高くなっています。これはもうシンプルに「フォアフット着地」のためのシューズと言えます。なぜこの方向転換が起きたのかは分かりません。

ただ実際に走ってみてわかるのは、フラットな着地やかかと側からの着地をすると、足が迷子になるということです。しっかり踵を使って走ろうとすると、地面から足をリリースするときに足を思った場所に持ち上げることができません。どうしても左右にブレてしまい、それもリリースするたびに方向が違います。

素直にフォアフットで走れば、クッションが効いて気持ちよく前に進めます。かかとはかるく接地するだけなイメージで、フォアフット着地で走るシューズ。もしかしたらペガサス36を履いて走っていた人は戸惑うかもしれません。

エアパットの反発がやや遅い

エアパットが2倍の厚さになり、クッション性がとても高くなったので、柔らかいシューズが好きな人なら、走るときのストレスが少なく気持ちがいいかもしれません。また、キロ5分程度で走るのであればエアパットの反発力を感じます。

上り坂を走るとグイグイ上れる感覚があります。ところがいざスピードを出そうとすると反発が間に合わない感覚があります。エアパットが元に戻るスピードよりも足を持ち上げるスピードのほうが速いからなのかもしれません。

カーボンプレートを使ったヴェイパーシリーズは、物理的な剛体を使っているので、変形から戻るスピードが速いのですが、エアパットは空気ですので、パワーをロスしている感覚があります。もっともそんなスピードで走ることを想定していないのかもしれません。

キロ5分で気持ちよく走れるなら、フルマラソンのタイムは3時間30分です。ペガサス37でレースに出ようという人の走力を考えて、キロ5分で快適に走れるならそれで十分と考えたのかもしれません。

強度が高くフィット感も次第点

アッパーはエンジニアードメッシュを採用し、通気性とフィット感を両立させているということですが、残念ながらわたしの足ですとフィット感がそれほど高くなく、前足部の遊びが大きすぎるように感じます。「前足部の遊びが重要」という考え方もありますので、これは意図的にそうしたのかもしれません。

エンジニアードメッシュが前作よりもややごわつきを感じるようになりましたが、これは強度を高めるためでしょう。ペガサスはジョグシューズなので、アッパーが破けて履けなくなるというのを避けたかったのでしょう。通気性も従来モデルよりは落ちている用に感じます。

また黒系のシューズは日本の夏に履くのは、できるだけ避けておいたほうがいいかと思います。少なくとも太陽が顔を出している時間に、黒いシューズで走るのはデメリットしかありません。いくら通気性が高くても不快度が上がりますので、その点は注意してください。

前足部はやや緩めですが、中足部のフィット感は高いので走っているときのブレが気になることはありません。走っているときにズレることもないので、気持ちよく走り続けることもできます。そういう意味ではフィット感は次第点といったところでしょうか。

軽くはないが重さは感じない

ナイキはペガサス37を「軽量」としていますが、片足285g (メンズサイズ28cm)ですので、まったく軽量ではありません。ランニング業界全体で280g前後を軽量とする流れがありますが、いたって普通。もしくはやや重たい部類に入ります。

ただそこまで重さを感じないのは、リアクトフォームのおかげかもしれません。個人的にはリアクトフォームとペガサスの相性はそれほど良くないと思っていますが、走ってみると重さをそれほど感じないことからも、リアクトフォームがスムーズな足の運びを促している可能性があります。

とはいえ現実的に285gもありますので、回転数をどんどん上げていくタイプのシューズではなく、しっかり1歩ずつ地面をつかむタイプのシューズです。もし1分1秒を縮めたいのであれば、もう少し軽量なシューズをおすすめします。

例えばペガサス ターボ2なら231gですので、明確に軽さを感じられるはずです。反発力も高く、キロ4分台でも問題なく反応してくれます。繰り返しになりますが、ペガサス37はキロ5分よりもゆっくり走るのに特化しており、その先はペガサス ターボ2、さらに先はヴェイパーシリーズと棲み分けが明確になりました。

安くなったペガサス36がおすすめ

シューズの完成度という意味では、正直なところまだチューニングしきれていない荒さを感じます。ナイキのペガサスはマイナーチェンジをしてからが本番というところもあり、ペガサス37も来年モデルであるペガサス38のほうが完成度が高く、おすすめできる状態になるはずです。

そういう意味でも、いま買うならペガサス37よりも型遅れになって安くなったペガサス36をおすすめします。特にペガサス36で気持ちよく走っていたという人は、違和感があるかもしれないので、買い増ししておくことをおすすめします。

ただし、ペガサス37がまったくダメかというとそうでもありません。リアクトフォームとエアパットの組み合わせで、後半になっても強い推進力が続きます。これからランニングを始めるのであれば最高の相棒になってくれるかもしれません。

すでにペガサス36でクセがついている人は、慣れるのに時間がかかると思いますが、ペガサス38がおそらくマイナーチェンジになることを考えると、いまからペガサス37に慣れておくというのも悪いことではありません。ただフォアフットに切り替える必要がありますが。

そういう意味では使いどころが難しいシューズです。フォアフットというのは、そもそも狙ってするものではなく、速く走るから自然とそうなるものです。

ということは、このシューズはキロ5分よりも遅いスピードがレースペースになるようなランナーには適していますが、キロ5分がミッドフットになるようならペガサス ターボ2やリアクト インフィニティのほうがおすすめです。ペガサス36よりも履く人を選ぶ1足になったと考えたほうがいいでしょう。

ペガサス36からの変化が大きいので、気になっているという人は実際に試し履きしてからのほうがいいというのがレビューをした正直な完走です。東京ならラフィネのレンタルシューズにペガサス37がありますので、ぜひそちらで試してみて違和感がなければ購入しましょう。

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