イヤホンジャックを付けないスマホが増えてきた2017年以降、イヤホンは「左右独立」と「コードレス」が主流になりつつあります。基本的にはいずれもBluetoothでスマホとつながっているため、ランニングで使うには、相変わらずスマホが必須でした。
ところが、サムスンが2017年11月に発売開始(2018年1月に新色発表)したGalaxy Gear IconXは、イヤホン内にメモリを積むことで、スマホなしでも音楽を聞くことができる画期的なランニングアイテムとして注目されています。
Galaxy Gear IconXはイヤホンでありながら、単体のミュージックプレイヤーとしても使うことができるアイテムです。使い勝手に関しては様々なレビューがありますので、ここではランニングアイテムという視点での実際に使用してみたレビューをしていきます。
Galaxy Gear IconX 6つの特徴
細かいレビューは他のレビューサイトやブログにおまかせしますが、Galaxy Gear IconXの簡単な特徴だけはここでもご紹介します。
1.本体メモリー内蔵
2.コーチングアシスト機能
3.カナル型にもかかわらず、外の音を拾える
4.充電ケースの中で充電が出来る
5.感覚的な操作が可能
6.豊富なカラーバリエーション
最も大きな特徴が本体に内蔵されたメモリーです。Galaxy Gear IconXには4GBのメモリが搭載され、最大で1000曲をイヤホンに入れて持ち運ぶことができます。音楽の再生だけなら最大7時間使用できます。
ランナー視点で気になるのは「コーチングアシスト機能」と「外の音を拾える」の2点ですよね。この2点に関しては、それぞれ実際に利用してみた感じをご紹介します。
コーチングアシスト機能はどんな機能?
Galaxy Gear IconXのコーチングアシスト機能は、あらかじめ設定したコーチングプログラムに従ったランニングが可能になります。コーチングプログラムは10個までカスタマイズできますので、その日の練習内容ごとに切り替えることができます。
ただし、コーチングプログラムの切替にはAndroidスマホが必要です。
Galaxy Gear IconXは接続の相性があり、すべてのスマホで使えるわけではありませんが、Galaxyならもちろん問題なく使えます。購入前に自分のスマホが対応しているか確認しておきましょう。(iOSはアプリが未対応)
コーチングアシスト機能は、設定したペースに合わせて「速すぎます」「スピードを上げてください」などのコーチングがありますので、アナウンスに従って走れば、ランニング初心者もペースを乱すことなく走ることができます。
ただし、計測はGPSではなく加速度計を使用しているため、スマホほど正確な距離が出るわけではありません。ランニングフォームの違いなどで、実際の距離よりも短くなったり、長くなったりします。
これに関して問い合わせをしたところ、下記のような回答をいただけました。
GPSと加速度センサーを利用した計測結果を踏まえて、個人の歩幅をベースに計測しています。
多少のバラツキはありますが、人によってはGPS計測に近い結果になるようチューニングされているということです。使用前に公園などの距離が分かっている場所で走ってみて、どれくらいの誤差になるか把握しておくといいかもしれません。
・多少の誤差はあるもの
・どれくらいの誤差があるか把握しておく
この2点を抑えておけば、それほどストレスを感じることなくコーチング機能を活用できるかと思います。
きちんと計測をしたいのであれば、スマホのS Healthアプリを立ち上げて、そちらでの計測がおすすめです。そうなるとスマホを持って走らなくてはいけませんが、それでは、Galaxy Gear IconXのメリットが薄れてしまいます。
もしスマホなしで正確に距離を測りたいのであれば、Galaxy Gear IconXは音楽再生だけにして、ライフスタイルバンド(活動量計)のGalaxy Gear Fit2 Proを使って計測するがおすすめです。
Galaxy Gear Fit2 Proなら心拍数も測れますので、より効果的にランニングをサポートしてくれます。Galaxy Gear IconXで物足りなくなってきたランナーさんの、次のステップアイテムとして覚えておいてください。
外の音を拾えることの重要性
RUNNING STREET 365で、Galaxy Gear IconXを紹介したいと思った理由のひとつが、音楽を聞きながらイヤホンの外の音を拾えることにあります。マラソン大会や普通の道路で両耳をふさぐ形で走っている人がいますが、安全という意味ではあまりおすすめできません。
特にカナル型のイヤホンはほとんど外の音が聞こえないため、後ろからやって来る車や自転車などに気づけないという問題があります。ところが、Galaxy Gear IconXは外の音をマイクで集音して、音楽と一緒に再生してくれます。
補聴器のようなものだと思ってもらえれば、分かりやすいかと思います。
マイクで集音しているため、音の聞こえ方に若干違和感がありますが、やや遠いところで話をしている人の声まで拾ってくれます。この外の音は本体で簡単にオンオフができますので、安全な場所でオフにして音楽だけを流すことで、走りに集中することも出来ます。
実際に使ってみて気になった点が2つあります。
・風が強いと風切音がノイズになる
・慣れないと他の人との会話は難しい
風が強いときには、その風の音をマイクが拾ってしまい大きなノイズになります。頻繁に起こることではありませんが、それなりのスピードで走る人は、そういうこともあると覚えておきましょう。
また、マイクで人の声を拾うことはできるのですが、いつもと聞こえ方が違うのもあり、会話のキャッチボールには慣れが必要です。言葉は聞こえても、最初は言葉を頭で理解するのにワンテンポ遅れてしまいます。
ラン仲間と走るときなどは、片耳を外して走るようにしましょう。完全独立型のイヤホンですので、片方だけでも音楽を聞けますし操作も可能です。
結論としては、いずれもそれほど大きな問題ではないかと思います。それよりも、耳を完全に塞ぐことなく、音楽を楽しみながら走れるということがとても重要です。細かい部分はこれからのチューニングに期待しましょう。
音質は標準的で癖がなくて聞きやすい
高級なイヤホンはそれぞれに音に対する味付けを行っています。それにより音を聞いた人は「いい音」「悪い音」と判断しますが、Galaxy Gear IconXの音は癖がないため、音にこだわる人にしてみれば物足りないかもしれません。
ただ、癖がないというのは、聞いていて疲れないというメリットがあります。このため、ランニング中に聞く音という意味ではとてもおすすめです。
もっとじっくりと音楽を楽しみたいのであれば、音響メーカーのイヤホンのほうが適していますが、ランニングやフィットネスという運動中に使うことを想定して調整されているためか、快適に音楽を楽しむことができます。
ただ、よりいい音で聞きたい場合は、外の音を拾わない状態がベストです。外の音を拾う設定にしていると、どうしてもノイズが混ざってしまい音楽を楽しむことができません。とはいえ外の音を拾わないようにするとランニング中は危険です。
これはちょっと悩ましいところです。ただ、縄跳びや筋トレのようなフィジカルトレーニング中であれば危険性もありません。ほぼ貸し切りのような状態で走れるコースなどでも使用可能です。
練習内容や練習場所が限られてしまいますが、外の音を完全遮断した状態で音楽を聞きながらトレーニングをすると、いつも以上に集中力を高められて、質の高い練習が可能になります。
もちろん、これにも個人差があると思いますが、とても聞きやすい音で、走りを阻害しないという点では、多くのランナーにおすすめできるポイントの一つになります。
Galaxy Gear IconXはどんなランナーにおすすめ?
ここまで読んでくれた人は、結局ランニングにGalaxy Gear IconXは使えるのかどうかという結論が欲しいかと思います。2万円以上するアイテムですので、購入に慎重になって当然です。
・スマホにGalaxyを使っている
・音楽を聞きながら走りたい
・1人で走ることが多い
・集中して走りたい
このような条件に該当するのであれば、Galaxy Gear IconXはおすすめです。スマホはGalaxyでなくてもいいのですが、このようなガジェットはすべて統一メーカーで揃えたほうがガジェット同士の接続相性で悩まされずに済みます。
ちなみにiPhoneとの相性が良くないと聞いていましたが、iPhone5Sで試したところ、普通のBluetoothイヤホンとして問題なく使うことができました。問題がないと言うよりも、かなり心地いい音で音楽を楽しめました。
すでにGalaxyを使っているランナーさんが、ランニング中に使えるイヤホンを探しているなら、Galaxy Gear IconXは間違いなく最適解です。外の音が聞こえるというのは自分の安全を守る上でとても重要です。
なおかつ、安全な場所で外の音を消せば、とても集中した環境で音楽を聞きながら走ることも出来ます。
音質は癖がなくクリアです。走りの邪魔をすることはなく、とてもいい気分で走りをサポートしてくれますので、ものすごく音にこだわる人でなければ十分過ぎるレベルにあります。
もちろん日常でも使えますし急速充電も可能です。ケーブルの煩わしさにストレスを感じないというのはとても快適で、一度覚えてしまうともう有線のイヤホンには戻れません。
スマホを持ち出さずに音楽を聞きながら、気持ちよく走ることが出来る。ここに魅力を感じたGalaxyユーザーのランナーさんは、迷わず購入されて良いかと思います。
Galaxy Gear IconXスペック
Galaxy Gear IconX | |
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価格 | 実売:26,870円(オープン価格) |
カラー | ブラック、グレー、ピンク |
重さ | イヤホン本体:8g ケース:54.5g |
電池持続時間 | 連続再生時間 : 最大5時間 連続通話時間 : 最大4時間 スタンドアローン再生:最大7時間 |
ストレージ | 4GB(イヤホン本体) |
対応コーデック | SBC, Samsung Scalable codec |
対応Bluetoothプロファイル | HFP / A2DP / AVRCP |
オーディオ再生フォーマット | MP3, M4A, AAC, WAV, WMA(WMA v9) |
外部接続 | Bluetooth v4.2 USB2.0 & Type-C |
センサー | 加速度計,赤外線, タッチ |
モバイルアプリ | Gear Manager アプリ (Android) |
PC ソフトウェア | Gear IconX PC Manager (Windows, Mac) |