ランニングシューズの未来が変わる!アディダス『ALPHAEDGE 4D 』

ついにこの日がやってきました。これまで数多くの3Dプリントで作られた製品が出てきましたが、私たちが目にすることはほとんどありませんでした。その多くは製品開発のために使われるプロトタイプや、目にすることのない車の部品など。

でも、とうとう私たちランナーの手に届くところまでやってきました。

3Dプリンタを使って作られたミッドソール「ADIDAS 4D」を使ったアディダスのランニングシューズ『ALPHAEDGE 4D』、これから世界を変えていくことになるかもしれない1足が誕生しました。

先に伝えておきますが、『ALPHAEDGE 4D』はサブ2やサブ3を狙って走るためのランニングシューズではありません。フルマラソンに対してどれくらいのポテンシャルがあるのかも分かりません。

左右への動きにも対応していますので、ランニングシューズというよりは、トレーニングシューズという位置づけだと考えてください。実際に、発表会に呼ばれたアスリートは楽天イーグルスの則本昂大選手と、カヌーの羽根田卓也 選手の2名でした。

陸上競技ではないスポーツを極める人たちの、フィジカルトレーニング用に適した1足。重さも1足で368gもありますので、フルマラソンで自己ベスト更新を狙うようなシューズではないことは間違いありません。

では、なぜRUNNING STREET 365で取り上げるのか?

このシューズにはとてつもない可能性があるためです。これまでのEVAなどのクッション材を使ったランニングシューズは、均一の素材を使ってミッドソールを使うため、その厚みや別の素材との組み合わせで強度や反発力を作り出していました。

ところが、『ALPHAEDGE 4D』は3Dプリントで作られていますので、本当に必要なところに必要な機能を持たせることができます。アディダスはすでに多くのアスリートから走りに関するデータを持っており、シューズのどこにどのような力がかかるのかを知っています。

そのデータに対して、適切なクッション性と反発力を配置して作られたのが『ALPHAEDGE 4D』です。ただ、ここまでなら別にどれほど驚くことではありません。驚くべきことは、このADIDAS 4Dテクノロジーの未来にあるのが、究極のオーダーメイドシューズだということです。

現時点では、数あるデータを統合し、そのデータを元に細かな調整を行い、標準的なミッドソールを作ったに過ぎません。でも、ここから一歩進むと、シューズを購入する人のデータを測定し、最適な調整を行ったミッドソールを作ることができるようになります。

現時点ではミッドソールを3Dプリンタで作るのに、片足で数十分かかります。でもこれはいずれ、さらに高速化されていくことに疑う余地はありません。『ALPHAEDGE 4D』のアッパーはプライムニットを採用していますので、こちらも計測した足型に合わせることができます。

最終的には、アディダスストアで足の計測をして、半日後に自分だけのシューズを手にするなんて未来も見えてきます。それも10年20年後の未来ではなく、比較的近い数年後の未来として。

ALPHAEDGE 4Dのミッドソールに使われる3Dプリント技術は、アディダス社独自のものではないというのも、かつてない挑戦になっています。アディダスと2017年4月にパートナーシップ契約を結んだカーボン社のデジタルライト合成テクノロジー。

独自の光反応プロセスとプログラマブル樹脂を使って、シームレスに作り上げられるミッドソール。多くの人がイメージする3Dプリントとはまったく違う技術が使われており、桁違いの製造スピードを実現しています。

この技術の素晴らしいところは、試作品と製品の素材がイコールだということです。常に製品レベルの素材で試作品を作ることができ、それも数十分で作れますので、開発スピードがこれまでとはまったく違ってきます。

例えば、作ってみたものの、かかと部のクッションがやや硬いと感じたら、データを調整ひて、柔らかくしたものを作り直すことが簡単にできます。

アディダスではすでに、すべてデジタル化されたシューズ製造プロセスを有していますので、入力データを修正するだけで、様々なパターンのミッドソールや、アッパーを作ることができます。完全オーダーメイドの環境はすでに整っているわけです。

ではなぜ、ALPHAEDGE 4Dをマラソン用のランニングシューズとして、RUNNING STREET 365で推していないのか。それには3つの理由があります。

・ランニングシューズとしては重たすぎる
・耐久性や耐候性が未知数
・価格が高い

すでに簡単に触れましたが、1足368gというのはランニングシューズとしてはかなり重たい部類に入ります。ランニングシューズの重さは後半の疲労に繋がりますので、筋力をつけるトレーニングには適しても、スピードを出して走るランニングには不向きです。

ただし、ミッドソールの樹脂素材は日々進化している状態ですので、1年後には超軽量でランニングに特化したミッドソールとして、私たちの手にするランニングシューズにも使われる可能性があります。

次に耐久性や耐候性ですが、これに関してはアディダス社の開発者も、カーボン社の担当者も声を揃えて「問題ない」としています。他のシューズと同じ環境試験をクリアし、熱による変化もないということです。

ただ、カーボン社の担当者は「標高によって微調整が必要になる」という回答がありました。これに関してはまだ正確な回答待ちですが、製造上の問題なのかそれとも実用上の問題なのかは分かりません。

また、樹脂製というのも「問題ない」という言葉だけでは納得してはいけない難しさがあります。-20℃の環境と50℃の路面で同じポテンシャルを発揮できるとは物理的にも考えられません。使用環境温度が変われば、何らかの特性の変化は見られるはずです。

その変化が走りには影響しない範囲なのかもしれませんが、こればかりは実際に販売されて、ユーザーが使ってみないと分かりません。パソコンやスマホでは「初物には手を出すな」というのが定石ですが、ALPHAEDGE 4Dも革新的すぎて正しく評価ができないという情報発信側の悩ましさがあります。

そして何よりも、消耗品のランニングシューズとしては税別38,000円はあまりにも高価です。少なくとも数ヶ月に1足を消耗している人のランニングシューズにはなりません。ただ、これはいずれ解決することです。

今後出てくるADIDAS 4Dを作ったランニングシューズは、もっと手頃な値段に落ち着くことが予想されます。今回のALPHAEDGE 4Dは量産品とはいえ、生産数も限られていますので、「誰よりも先に未来を感じたい」という革新的なアイテムを好む人むけの商品です。

ランニングシューズとして向いていない3つの理由を挙げましたが、だからALPHAEDGE 4Dは良くないと言っているわけではありません。このシューズは未来のランニングシューズの原点となる1足であり、未知数な部分がとても多い1足でもあります。

どういう位置づけなのかを理解して、その革新性に触れたいという理由で購入するのであれば、間違いなくこれは「買い」の1足です。例えばiPhone3Gが発売されて、すぐに飛びついたような、新しいもの好きの方にはぜひ履いてもらいたいところです。

興味はあるけど、そこまでお金を出せないというランナーさんは、来年以降に発売されるADIDAS 4Dテクノロジーを使ったランニングシューズに期待しましょう。ここはまだスタートラインに過ぎません。

もっと軽量なシューズも出てくるでしょうし、他の素材と組み合わせるという使用方法もあるかもしれません。今は製品化できるレベルに到達したという段階です。そして、とてつもないミッドソールに化ける可能性も秘めています。

製品が成熟してから手に入れるか、それとも未知の可能性にワクワクするために今すぐ手に入れるか。それはランナーそれぞれが決めればいいことですが、少なくともこんな魅力的なアイテムが、アディダスから発売されるということだけでも覚えておきましょう。

ちなみに2018年11月17日(土)からアディダスの店舗などで発売が開始されますので、気になるという人は、まずはお店でチェックしてみてください。国内は2タイプで500足限定、50足限定ですので、売り切れる前に来店することをおすすめします。

アディダスオンラインショップ
https://shop.adidas.jp/4d/

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ALPHAEDGE 4D商品概要

アディダス ブランドコアストア 新宿 50足限定販売

500足限定販売

『ALPHAEDGE 4D』のアッパーには軽量なプライムニットを採用しています。継ぎ目の無いソックスのように足 を包み込み、糸の角度や密度に変化をつけることで、どんな動きにもサポー ト力とフィット感をもたらしてくれます。

アウトソールには耐久性の高いコンチネンタルラバーを採用し、路面コンデ ィションや天候に関わらず、安定した摩擦力を発揮し、急な切り返しや加速 にも対応でき「走れる1足」に仕上がっています。

ALPHAEDGE 4D (アルファエッジ フォーディー)
サイズ25.0-31.0cm
重量約368g(27cm)
発売日2018年11月17日(土)
自店販売価格38,000円(税別)
取扱店アディダス オンラインショップ
アディダス ブランドスコアストア 渋谷・原宿・新宿・大阪
atmos Shibuya
ABC-MART グランドステージ銀座・原宿
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