「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」の発売直前イベントのレポートで、どのようなシューズなのかについて簡単にご紹介しましたが、今回は「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」だけを取り上げて、実際に履いて走って感じたことをレビューしていきます。
結論からいえば、「買いの1足」です。カーボンプレートも入っていませんし、厚底でもありません。でも圧倒的におしゃれで軽量、そして何よりも地球に優しい1足です。プロトタイプはちょっとしたジョギング用でしたが、「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」はオールマイティに使えるシューズへと進化しています。
カーボンフットプリントは驚きの2.94kg CO2e
まずは「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」について解説しておきます。「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」はアディダスとオールバーズがカーボンフットプリント(温室効果ガス)ゼロを目指して、それぞれのノウハウを共有して作られたランニングシューズです。
昨年末に発売されたコラボレーション第1弾「FUTURECRAFT.FOOTPRINT(フューチャークラフトフットプリント)」は注目度も高く、抽選落ちで購入できなかった人も多い1足でもあります。このシューズではランニングシューズとしては異例のカーボンフットプリント2.94kg CO2e(二酸化炭素換算排出量)を実現。
この数字はadizero RC3と比較して、約63%もカーボンフットプリントを低減しています。カーボンフットプリントの低減も素晴らしいことですが、もっとも驚くべきことは本来競合である2社が、ノウハウを共有して1つのシューズを作り上げたということにあります。
アディダスもオールバーズも、そこまでしてでも地球に優しいモノづくりを今後の課題と考えているわけで、このシューズが完成したことは、他のメーカーにとっても競争から共創を考えるきっかけになる可能性もあります。
ただ「FUTURECRAFT.FOOTPRINT」はまだプロトタイプの状態であり、ランニングシューズとしてはまだ未完成。実際に走ってみると、フィット感に甘さがありスピードに乗りにくいという課題がありました。「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」はその課題をしっかりと解決したシューズに仕上がっています。
「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」の詳細については別記事がありますので、そちらをご参照ください。
アッパーを補強することでフィット感と追従性が向上
今回発売されることになった「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」は「FUTURECRAFT.FOOTPRINT」をベースに設計されており、いわゆるマイナーアップデートして量産されるのだと思っていたのですが、足を入れた瞬間にそれが間違いだと気付かされました。
「FUTURECRAFT.FOOTPRINT」のような頼りないアッパーではなく、しっかりと足を包み込んでくれて、明らかに追従性がアップしています。重さは27cm片足で153gしかありませんので、現在発売されているあらゆるランニングシューズと比較しても最軽量の部類に入ります。
軽くて追従性が高い。それはすなわち「スピードを出せる」ということでもあります。実際に履いて走ってみましたが、フルマラソンサブ3.5くらいの走力のランナーでも。簡単にキロ4分を切ったスピードを出せます。グリップも向上しているのかスピードを上げてもブレません。
なぜ短期間でこれほどにポテンシャルが上がったのか。その秘密はアッパーにあります。アッパーのステッチ密度を増やすことでアッパーの強度が上がっており、しっかりと足を包み込んでくれてくれます。これなら誰にでも「いいシューズ」としておすすめできます。
ポイント練習から街履きまでこなす最高の相棒
軽くて足の回転数を上げやすいので、インターバルなどのスピード系ポイント練習にも使えます。カーボンプレートや高反発素材のソール材などを使っていないので、自分の足でスピードを上げる感覚がある旧世代のランニングシューズ。
でも最近は「トレーニングは薄底シューズ」というトレンドも生まれつつあり、「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」はそれに耐えられるだけのシューズです。もちろん「FUTURECRAFT.FOOTPRINT」のように、ライフスタイルに寄り添うランニングにも利用できます。
「FUTURECRAFT.FOOTPRINT」と同じように伸縮性のあるシューレースを採用しているので、スリッポンシューズのように簡単に履けるため、「ちょっと走ってくる」という気分を緩めることなく走り出せます。軽量ですので出張や旅に持っていくのもOK。
そして何よりも、スニーカーのようなおしゃれなデザイン。どんなファッションにも合わせやすい、ホワイトをベースとしたデザインですので街履きとしても問題なく使えます。そういう意味では観光も早朝のランニングも楽しめる旅のお供にするのがおすすめ。
とにかく使い勝手がいい1足。あえて利用をおすすめしないシーンがあるとするなら、フルマラソンなどの長い距離のレースです。フルマラソンを走れないシューズというわけではなく、今は足に優しくてタイムも出るシューズがいくらでもあるので、あえて「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」を履く理由がありません。
ただ、ハーフマラソンくらいなら十分に対応できます。「ADIZERO」の冠は伊達じゃありません。本気で走るランナーにとっても選択肢になるからこその「ADIZERO」。地球にも優しくて、気持ちよく走れて、なんかいい感じじゃないですか。
美しさを維持するためにこまめなお手入れが必要
フルマラソンのような長い距離のランへの適応がそれほど高くないというのが、「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」のデメリットですが、もうひとつ購入する前に気をつけてもらいたいポイントがあります。それは思っている以上に汚れが目立つという点です。
白いシューズなので仕方ないことなのですが、これは推測ですがアッパーに木材パルプから作られた天然素材テンセルを23%使用していることで、汚れが付きやすいのかもしれません。「FUTURECRAFT.FOOTPRINT」も「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」も履いていますが、どちらも毎回洗っています。
ランニングシューズは洗わないほうがいい派の方もいるかと思いますが、私は普段履きとしても愛用しているので美しい状態を保ちたくて、こまめにお手入れしています。洗うかどうかは好みの問題ですが、美しいゆえに汚れが気になるということは頭の片隅に置いておくといいかもしれません。
結論:これぞADIZERO!買わない理由が見つからない
すでに結論はお伝えしましたが、「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」は迷っているなら買わない理由が見つからない魅力的なランニングシューズです。健康のために走るランナーから、サブ3を狙うようなシリアスランナーまで使いどころがある1足。
しかも価格が税込みで13,500円と、最近のランニングシューズの高騰を考えればかなりリーズナブル。ランニングだけでなく普段履きにもするなら、出番も多くなるはずなのでコスパ最高の1足です。問題はこのシューズに合わせるウェアが欲しくなるくらいでしょうか。
プロトタイプを持っている人も、買い増しして満足できるシューズを仕上がっています。ただし、想像している以上に走れるシューズになっているので、「FUTURECRAFT.FOOTPRINT」が完全に街履き用になってしまいますが。ぜひアディダスやオールバーズのショップで足を入れてフィット感を確かめてください。
ちなみにオールバーズ限定カラーもあります。写真ではあまりそれぞれの美しさが伝わりきらないので、やはりショップでチェックするのが1番です。原宿ならアディダス(MAP)とオールバーズ(MAP)がそれぞれにショップを出していますので、関東近郊のランナーさんはぜひ原宿でチェックしてみましょう。
アディダス オンラインショップ:アディダス アディゼロ X オールバーズ