先日9月29日に開催されたランニングマガジン・クリールのシューズトライアルに参加し、最新のランニングシューズを履いて走ってきました。そこで感じたランニングシューズのトレンドや、シューズを選ぶときの考え方についてご紹介します。
まず、今回の出典はランニングシューズメーカーが12社、その他のランニングアイテムが8社と、昨年以上のメーカーが集まっていました。誘致するのも大変かと思いますが、これだけの企業を集められるクリールさんの尽力は素晴らしいものがあります。
ただし、アディダスやナイキ、アシックスなどの大手メーカーは今年も参加がありません。今回出展のあったメーカーは下記の12社です。
アンダーアーマー
オン
カルフ
サッカニー
サルミング
スボルメ
ビブラム
ブルックス
プーマ
ホカオネオネ
リーボック
MBT
馴染みのメーカーもあれば、初めての出展となったメーカーもあり、個性豊かな顔ぶれになっています。
この日は残念ながらスタート直後からの雨模様。10時開始で14時30分まで走れることになっていましたが、雨が強い状態でしたので14時までに短縮されました。14時からはシューズ抽選会があり、雨の中残っていた12人がシューズを手にしています。
ちなみにこのイベントへの参加は1500円かかるのですが、シューズを手にする確率も高く、さらにはお土産として今年はメーカーのソックスが2足、エコバッグ、シューレースなども配られていますので、参加費以上の何かを手にすることができます。
これほど魅力的なイベントに参加しないのはかなりもったいないのですが、雨の影響もあり参加者はあまり多くありません。シューズを試す側にしてみれば、待ち時間なくいろいろ試せるのでいいのですが、もう少し参加者が多くてもいいような気がします。
ランニングシューズを買うときに、ほとんどの人がお店でのフィット感だけで決めていますが、実際に履いて走ってみないとシューズとの相性は分かりません。メーカーが「スピード用」として出しているシューズでも、思ったよりもスピードが出ないということも珍しくありません。
でもシューズトライアルなら、シューズを履き比べることができますので、より自分に合った1足を見つけることができます。メーカーの宣伝文句に惑わされず、自分の感覚でシューズを選べる。これはとても魅力的なイベントです。
さて、今回出展のあった12社ですが、今回はクッション性と安定性を重視したシューズが目立ちました。2年前のトレンドが安定性で、シューズの幅を広げたものが多く、1年前はクッション性と推進力でした。
今回なぜ安定性がまたトレンドに戻ってきたのかは分かりませんが、かつてのランニングシューズとは違い、履いてケガをするというリスクはかなり減っています。
気になっているのは多くのメーカーが独自のソール材を開発して、「高クッション性・高反発性」を掲げていることです。ところが、アンダーアーマーのホバークッション以外は、ただ柔らかいだけで反発はほとんどありません。
このため、接地した瞬間に力が逃げていくのが分かります。力が返ってこないので、当然スピードを出すことができません。ですので、速く走るには地面を蹴る必要があり、これでは結局足を消耗してしまいます。
各メーカーがこれだけクッション性を重視しているのは、ナイキやアディダスのランニングシューズの影響です。
ただ、ナイキもアディダスも反発力がベースにあります。それも最適なタイミングで反発するのが両者の特徴です。他のメーカーもデータ上は反発力があるのかもしれませんが、反力が欲しいときに反発がありません。
正直なところどのメーカーも高反発という部分では、まだまだこれからという感じがあります。現段階ではシューズに付加価値をつけるというよりは、そのポテンシャルを下げている要因にしかなっていません。
ただ、全てのシューズがクッション性を追求しているわけではありません。今回初出展となったサルミングは、クッション性をほぼ無視しています。モデルによってはもちろん柔軟性がありますが、ソールが硬く地面からの反発がダイレクトに入ってきます。
最近このようなランニングシューズが減ってきましたので、このようなシンプルなランニングシューズがこれからまた流行る可能性があります。少なくとも機能していない高反発ソールを使うよりは、よっぽど気持ちよく走ることができます。
今シーズンからランニングシューズを作り始めたスボルメも、トレンドに流されないシューズを作っていました。サッカーシューズを作ってきたメーカーらしく、ホールド感がすばらしく、しかも気持ちよくスピードを出すことができます。
とても9,000円のシューズとは思えないクオリティの高さがあり、スボルメもサルミングと同様に今後の動きが気になるメーカーです。
他にも個性のあるランニングシューズがいくつもあり、その個性がかなり成熟した状態になりつつあります。MBTは圧倒的な安定感を手に入れていましたし、リーボックの100gランニングシューズは、ランニングシューズの新境地を開拓したように感じます。
オンのクラウドエースは、価格帯がかなり高くなってしまいましたが、これまでオンのランニングシューズを履いていた人にとっては、新しい定番になるようなバランスのよさを感じました。
昨年に引き続き、迷走し続けているメーカーもありますが、着実に存在意義を高めているメーカーもあります。これだけ素晴らしいメーカーがあるなか、やはり大手メーカーのシューズばかり売れてしまうのが現実ですが、もはやランニングシューズはブランド名で買う時代ではありません。
自分の足の形、自分の走り方に最適なランニングシューズを見つけることが、自己ベスト更新に繋がります。そのためには、メーカーにこだわらず多くのシューズを履き比べることが必要になります。
そういうシューズで走ることができるシューズトライアル。次の開催は1年後になりますが、来年はもっと多くのランナーが来場して、シューズを履き比べすることを期待しています。