
これまで数々の記録を更新してきたアシックスのランニングシューズのMETASPEEDシリーズに、新モデルが登場しました。今回のラインナップには軽量性にこだわった「METASPEED RAY」も含まれており、ランナーは3つのランニングシューズから、自分に適した1足を選べるようになっています。
いずれも、新開発のクッションフォーム材を採用しており、これまで以上の反発力と軽量性を実現。9月に東京で開催される世界陸上にて、多くのトップアスリートが着用し、活躍することが期待されています。ここではそんな新しいMETASPEEDシリーズの特徴について詳しくご紹介していきます。
クッションフォーム材「FF LEAP™」により大幅に進化

新モデルのMETASPEEDに共通しているのは、「軽さ」と「反発力」を高いレベルで実現していること。従来モデルでも高い完成度を誇っており、これ以上の進化は望めないのではないかと思われていましたが、新モデルにはこれまでにないクッションフォーム材「FF LEAP™」を採用したことで、大幅な進化を果たしています。
FF LEAP™はFF TURBO PLUS™と比較して、下記のように大幅な性能向上を果たしています。
▶ 約15%軽量化
▶ 約13.7%反発性向上
▶ 約30%クッション性向上
さらにはアッパーに強度を保ちつつもより軽く、薄い素材を採用しており、「METASPEED SKY PARIS」および「METASPEED EDGE PARIS」から、それぞれ約15gもの軽量化を実現しています。

METASPEED RAYの特徴

今回は新たに、軽量性を追求したモデル「METASPEED RAY」がラインアップに加わりました。「RAY」という名称は光線から想起されるスピードと、重さがないことを意味する「零(ゼロ)」からインスピレーションを得ています。
実際に「METASPEED RAY」は、重量わずか約129グラム(27.0cm/片足重量)しかありません。これは現時点で発売されているカーボンプレートが搭載された長距離用ランニングシューズのなかでもトップクラスの軽量性です。
弾むような軽やかな走り心地を重視するランナー向けに設計しており、特にフォアフット走法のランナーに適しています。
ミッドソール全体と中敷に、アシックスのクッションフーム材の中で最も軽く優れた反発性を発揮する新素材「FF LEAP™(エフエフリープ)」を採用。「FF TURBO PLUS(エフエフターボプラス)」と比較し約15.0%軽く、反発性は約13.7%、クッション性は約30.0%向上しています。
「FF LEAP(エフエフリープ)」は着地と同時に変形、圧縮し、素早く元の形状に戻ることで、跳ね返るような感覚が得られ、ストライドを伸ばすことが可能になります。また、軽量のカーボンプレートをミッドソール内部に搭載し、足の動きを安定させ、効果的に身体を前方向へ推進させるようにしています。
アッパー(甲被)は、軽量で通気性に優れた素材「MATRYX®(マトリックス)」を使用しています。フィット性が高く、スピード走行時のブレを抑制し安定した足運びをサポートします。
靴底は、さまざまな路面コンディションでも優れたグリップ力を発揮する「ASICSGRIP(アシックスグリップ)」を採用しています。
METASPEED SKY TOKYOの特徴

METASPEED SKY TOKYOはストライド型のランナーが、ストライドをより伸ばし、少ない歩数でゴールできることを追求したレーシングシューズです。
ミッドソールは新素材「FF LEAP™」と「FF TURBO PLUS」を組み合わせて使用しており、「FF LEAP™」は下層部に搭載しています。カーボンプレートはフラットな形状のものを「FFLEAP」の上部に配置。プレート全体でフォーム材を圧縮させることで、よりダイナミックで大きな反発力を生み出せるようになっています。また、中敷にも「FF LEAP」を使用しています。
アッパーは、「モーションラップアッパー3.0」を採用しています。軽量で通気性に優れ、スピード走行時にもブレを抑制し、安定した足運びをサポートしてくれます。アウトソールは「ASICSGRIP(アシックスグリップ)」を採用しています。
今回のアップデートにより、前モデル「METASPEED SKY PARIS」と比較し、約15グラム(27.0cm/片足重量)の軽量化と約18.8%のエネルギーリターン向上を実現しています。
METASPEED EDGE TOKYOの特徴

METASPEED EDGE TOKYOは、ピッチ型のランナーが、ピッチを調節しながらストライドを伸ばし、少ない歩数でゴールできることを追求したレーシングシューズです。
ミッドソールはMETASPEED SKY TOKYOと同じく新素材「FF LEAP™」と「FF TURBO PLUS」を組み合わせて使用していますが、「FF LEAP™」を上層部に搭載することにより、クッション性も反発力もまったく異なる1足に仕上がっています。また、中敷にも「FF LEAP™」を使用しています。
カーボンプレートはミッドソール内のつま先に向かって下がるよう傾斜を付けて配置。蹴り出しの際に力が必要な足の前部へ局所的にフォーム材を圧縮させることで、少ないパワーで大きな反発力を得ながらすみやかに足を前に出す、といった効率的な足運びが可能になります。
アッパーとアウトソールはMETASPEED SKY TOKYOと同じ素材を使用していますが、アウトソールの形状が異なり、足裏全体で着地できる構造になっています。
今回のアップデートにより、前モデル「METASPEED EDGE PARIS」と比較し、約15グラム(27.0cm/片足重量)の軽量化と約21.4%のエネルギーリターン向上を実現しています。
Bashir Abdi(バシル・アブディ)選手(ベルギー)コメント
アシックスは、私たちアスリートからのフィードバックに基づいてシューズを改良、アップデートしてくれました。これは、さまざまな科学的知見に基づいた開発の成果であり、私たちがシューズに求める要素がしっかりと反映されています。さらに、3つのモデルの中から自身の走り方に合った一足を選び、テストと評価を重ねることができたことで、自信をもってレースに臨めるようになりました。
アシックス スポーツ工学研究所長 兼 Cプロジェクト部長 竹村周平氏コメント
最新の「METASPEED」シリーズを世界中のみなさまにお披露目できることを大変うれしく思います。今回の3モデルは、多様な走り方やランナーそれぞれが求めるフィーリングに応えるよう設計しており、アスリートが快適さと自信をもってまだ見ぬスピードに到達できるようサポートします。

METASPEED プチレビュー

新製品の発表とトークセッションの後に、実際にMETASPEED SKY TOKYOとMETASPEED EDGE TOKYOを履いて試走する機会がありました。走ったのは短い距離ですが、それぞれ個性を感じることができましたので、シューズ選びの参考になるようレビューしていきます。
いずれのシューズにも共通しているのは「軽い」ということですが、最新のランニングシューズは軽量化がトレンドになっていて、片足200g以下のランニングシューズも増えていることもあって、驚くほどの軽さではありません。
スペック上は驚くほど軽いのですが、正直なところ200g以下になってくると、どのシューズも空気のように軽くて、大きな違いを感じないというのが正直なところです。どちらかといえば、軽さよりもアッパーのフィット感の高さが驚きで、「とりあえず」の感覚でフィッティングをしたレベルでも足をしっかりホールドします。
これに軽さが加わるので操作性が驚くほど高く、思い通りにコントロールできているときも、コントロールしきれていないときも、その感覚がはっきりします。それだけに、きちんとライドできていないときは、自分の未熟さにかわっかりするのですが。
METASPEED SKY TOKYO レビュー

まず履いたのはMETASPEED SKY TOKYO。ストライド走法用のシューズというだけあって、地面を押したときにスパッと前に進む爽快感があります。面白いのは「踵を着けられない」構造になっている点です。これはMETASPEED SKY TOKYOが足首を約90度よりも曲げさせないようにデザインされていることが影響しています。
足の甲と脛の角度が鋭角にならないので、重心の真下よりも後方に足が着地しているときに、どうしても踵が浮きます。無理に踵を付けて走ろうとすると、着地が重心よりも前になってしまい、ブレーキをかけた走りになるため、スピードに乗ることができません。
このため、METASPEED SKY TOKYOを履きこなすには、最後まで踵を着けないで走り切るだけの筋持久力が求められます。逆にいえば、それだけの脚があれば最後まで気持ちよく走りきれます。そういう意味では、エリートランナー以外はハーフマラソンくらいまでの距離で力を発揮してくれるかもしれません。
短い距離を走ったときに「気持ちよく走れる」という理由だけで選ぶと、後半まったく走れなくなる可能性があることを頭に入れておく必要があります。
METASPEED EDGE TOKYO レビュー

METASPEED EDGE TOKYOはピッチ走法用のレーシングシューズで、こちらは踵を付けて走ることになります。正確には「踵を着ける」ではなく「踵が着く」です。METASPEED SKY TOKYOのように足首をロックされる感覚もなく、自由度が高いように感じましたが、METASPEED SKY TOKYOのあとにMETASPEED EDGE TOKYOを履いて走るのはなかなか大変でした。
METASPEED SKY TOKYO は地面を押す力を推進力にしますが、METASPEED EDGE TOKYOは地面を押すことができません。足を地面に下ろした瞬間に、勝手に反発するので、地面を押そうとしてもすでに足が浮いているためです。ただ、それに戸惑ったのは最初の400mくらいのこと。
足を素早く下ろせば、あとはオートマチックに足が反発して戻ってくるため、慣れてしまえは走りをコントロールするのはそこまで難しくありません。ただ、しっかり地面を押したいタイプのランナーは強制的に接地時間が短くなる感覚が合わないかもしれません。
「足は置いてくるだけ」という感覚のランナーや、太ももやおしりの筋肉を使って、足裏全体で地面に対して足を下ろすような走りをしているランナーであれば、よりテンポよく走れる1足だと感じました。
レビュー総括
今回のモデルチェンジで、それぞれの個性がさらに明確になったというのがレビューの感想です。このため、きちんと自分の走りを把握して、走りにあったモデルを選ぶことがより重要になります。走りにあったシューズなら自分のポテンシャルを100%引き出せますが、そうでないなら思うような走りができません。
基本的にストライド走法かピッチ走法かで選ぶことになっていますが、そもそも自分がどちらなのかわからないというランナーもいるかと思います。その場合は、自分の走りの特徴として、走りの起点がどこにあるのかを探ってみるてください。
足裏で地面を押して脚を動かすならMETASPEED SKY TOKYO 。太ももを使って脚を下ろすならMETASPEED EDGE TOKYO。ただ、どちらのシューズも、履けばタイムが短縮されるというわけではありません。どちらも瞬間的にはスピードを出せますが、フルマラソンならそれを維持できなけれは意味がありません。
まずは自分の走りを分析して、最適なモデルを選ぶこと。その上でシューズの特性を活かした走りができるようにトレーニングを積み重ねること。新モデルのMETASPEEDを履きこなすにはこの2点がとても重要になります。自分で選ぶ自信がない方は、アシックスの直営店などでスタッフと相談しながら選ぶことをおすすめします。
METASPEED 製品スペック

「METASPEED RAY」は、8月上旬からアシックスオンラインストア、アシックス直営店各店(ファクトリーアウトレットを除く)で発売されます。
「METASPEED SKY TOKYO」、「METASPEED EDGE TOKYO」は、7月25日からアシックスオンラインストアで先行発売され、8月7日からアシックス直営店各店(ファクトリーアウトレットを除く)、全国のスポーツ用品店などで順次発売となります。
METASPEED RAY
品名 | METASPEED RAY |
品番 | 1013A176 |
価格 | 33,000円(税込) |
カラー | ホワイト×フラッシュレッド |
サイズ | 22.5-29.0cm(0.5cm刻み)、30.0cm |
ソールスペック | ソールの厚み:34.5-39.5mm ドロップ:5mm |
重さ | 約129g(27.0cm) |
素材 | アッパー: 合成繊維 アウターソール: ゴム底、合成底 |
生産国 | ベトナム |
METASPEED SKY TOKYO
品名 | METASPEED SKY TOKYO |
品番 | 1013A162 |
価格 | 29,700円(税込) |
カラー | フラッシュレッド×ブラック |
サイズ | 22.5-29.0cm(0.5cm刻み)、30.0cm |
ソールスペック | ソールの厚み:34.5-39.5mm ドロップ:5mm |
重さ | 約170g(27.0cm) |
素材 | アッパー: 合成繊維 アウターソール: ゴム底、合成底 |
生産国 | ベトナム |
METASPEED EDGE TOKYO
品名 | METASPEED SKY TOKYO |
品番 | 1013A163 |
価格 | 29,700円(税込) |
カラー | フラッシュレッド×ブラック |
サイズ | 22.5-29.0cm(0.5cm刻み)、30.0cm |
ソールスペック | ソールの厚み:34.5-39.5mm ドロップ:5mm |
重さ | 約170g(27.0cm) |
素材 | アッパー: 合成繊維 アウターソール: ゴム底、合成底 |
生産国 | ベトナム |