「月末の金曜日は、早めに仕事を終えて豊か・幸せに過ごす」というコンセプトで始まったプレミアムフライデーですが、「早く終わっても何していいかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
そんな人たちのために、プレミアムフライデー推進協議会は毎月ひとつのテーマに絞って、月末の金曜日を有効に利用する方法を提案しています。
11月はスポーツの秋ということで、大切な人や仲間と一緒にランニングをして汗を流そうというテーマで開催されました。今回は健康増進に取り組んでいる住友生命保険相互会社が特別協賛ということで『スミセイ バイタリティ アクション Presents プレミアム“カラダ”フライデー RUN』として開催されました。
このイベントの目玉となったのは浅田真央さん、浅田舞さんの2人と一緒に走ることができるということです。たくさんの応募があったなか抽選で選ばれた300人のランナーが東京・日比谷公園に集まりました。
「金曜日なんて早く帰れるわけがない」という人でも、浅田姉妹と走れるなら有給を使ってでも参加したい。そう思って申し込みをした人も多かったかと思います。こういう取り組みは、ランナー人口の減っているランニング界にとって、活性化のための大きなヒントになるかもしれません。
ランニング業界では「走れば健康になる」「体を動かすのは楽しいこと」というようコンセプトでランナーを増やしてきましたが、浅田真央さんのような影響力のある人が走ることで、そのファン層が一緒になって走ってくれます。
浅田姉妹だけでなく、芸能人でも本気でマラソンをしている人たちがたくさんいます。そういう人たちと走れる場を提供することで、「ちょっと走ってみようかな」という人が増えていくかもしれません。
プレミアム“カラダ”フライデー RUNでは、まず浅田姉妹と4×100mの銀メダリストでもある飯塚翔太選手が、健康と走ることについてのトークショーを行いました。アスリートが日頃どのように過ごしているのか、休日の過ごし方などを語ってくれました。
ランナーとしては飯塚翔太選手の食事への考え方や、休日の過ごし方などがとても参考になったかもしれません。馬肉や羊肉などを積極的に食べたり、体の補強のためにバスケットボールをするなど、すぐにでも真似できる内容でした。
浅田真央さんと飯塚翔太選手の話を聞いていると、努力することを特別なことだと考えない人たちだということが伝わってきます。この日のイベントがあっても朝はきちんと練習をしてきたそうです。
市民ランナーの多くが、何かと理由をつけて「今日はいいかな」と思うようなときでも、あたり前のように日々の練習を積み重ねる。世界と戦うにはこのような地道な部分がとても重要です。
トークショーのあとは、実際にランナーたちと皇居コースを1周走るのですが、実際に浅田姉妹と一緒にはしれたのは先頭のグループのみです。300人もいるのですから、当然といえば当然ですが「一緒に走りたかったなぁ」と残念に感じた人も多かったかもしれません。
でも本来のこのイベントは大切な人と一緒に走ることがメインです。そのため2名以上での申し込みに限定され、実際にたくさんの仲間と特別な金曜日の夜を楽しんでいるように感じました。
浅田真央さんや浅田舞さんのような魅力的な人がいても、走り出したら自分たちが主役です。これがランニングの素敵なところでもあります。
大きなマラソン大会でも、芸能人がゲストランナーとして呼ばれることがありますが、走り出したらファンの人たちに囲まれるということはまずありません。コースに出てしまえば、それぞれが1人のランナーであり、そこではすべての人が平等です。
有名人に会えるというのは走り出す大きなきっかけになりますが、走り始めれば自分と向き合うことの楽しさに夢中になれる。ランニングはそんなスポーツです。その証拠に、6.5kmのコースを走り終えて戻ってきた人たちは、みんないい笑顔をしていました。
ランニングイベントとして欲を言えば、浅田姉妹や飯塚翔太選手がゴールで全員をハイタッチで迎えるという形になっていれば、参加者全員にとって本当にプレミアムな金曜日になっていたかもしれません。
このイベントはプレミアムフライデーを推進するためのイベントでしたが、できることなら、定期的にこのようなマラソン大会ではない、楽しめるランイベントが開催されれば、ランニングブームが息を吹き返すかもしれません。
地域活性化のためにマラソン大会を始めた地方もたくさんありますが、マラソン大会はやはりお金がかかります。でも、こうやって影響力のある人と走ることができるランイベントなら、それほど大きなお金をかける必要はありません。
それでも数百人の人を集めることができ、そこで初めてランニングをするという人もいるはずです。
そしてもっと重要なのは、プレミアムフライデーでないにしても、豊かな時間を過ごすために、頑張りすぎないで仲間との「共走」をもっと楽しむということです。「走る=苦しい」という思考をどこまでなくすことができるのか、これがランニング業界がこれから取り組まなくてはいけない課題です。
仲間や大切な人と楽しく走って、美味しい食べ物やお酒を飲んで語り合う。「走ったのに体重増えるんですけど」なんて笑える日が増えていくといいですよね。もちろん真剣に記録を狙う楽しさもありますが、それだけがランニングではありません。
走ることは毎日をプレミアムな日に変えることができる。そんなことを感じさせてくれたプレミアム“カラダ”フライデー RUNでした。
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