【シューズレビュー】もうこれ1足でいいかも!アディダス「ADIZERO SL 2」【PR】

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フルマラソンを走る人のランニングシューズは厚底×カーボンが主流になっていますが、シリアスランナーでもなければオーバースペック。ほとんどのランナーがキロ4分よりもゆっくりのペースで走ることを考えたとき、ランニングシューズの最適解は別にあります。

そこでおすすめしたいのがアディダスの「ADIZERO SL 2」。ジョグシューズという位置づけとなっているこの1足は、ほとんどのランナーにとってレースシューズにもなるポテンシャルを備えています。アディダス ジャパンに「ADIZERO SL 2」を提供していただきましたので、実際に履いて走って感じたことをレビューしていきます。

目次

アディダス「ADIZERO SL 2」はランナーの理想が詰まっている1足

アディダスの「ADIZERO SL」は軽量なジョグシューズという位置づけで、ADIZEROシリーズの中でも、ランナーを陰で支える存在ではありました。このため、ランニングシューズとして注目されにくい1足でしたが、アディダスはこの「ADIZERO SL」を大幅に刷新したことで、とんでもないシューズへと進化しました。

アディダスのコンセプトとしては、「ADIZERO SL 2」はあくまでもトレーニングシューズで、日々のジョグやテンポ走などで使うための1足となります。「ADIZERO SL 2」を練習のベースシューズとして、レースでは「ADIZERO ADIOS PRO 3」や「ADIZERO TAKUMI SEN 10」を選ぶといったイメージのラインナップになります。

実際に新谷仁美選手など、アディダスの契約選手の多くがそのような使い方をしています。一般のランナーでも、サブ3以上を狙うというのであれば、そのような使い分けをするのが理想です。ところが「ADIZERO SL 2」があまりにも高いポテンシャルを備えてしまったことで、アディダスの狙いとは違う方向に向かう可能性があります。

結論からお伝えすると、ほとんどのランナーは「ADIZERO SL 2だけ買えばいい」となってしまいそうです(アディダスにとって、それが必ずしもいいこととは言えませんが)。なぜなら、「ADIZERO SL 2」はランナーが求めるすべてが備わっているからで、それでいて価格が14,300円とお手頃です。

まず、足を入れた瞬間に感じたのはフィット感の高さです。前作の「ADIZERO SL」は足を包み込むタイプのフィット感で、どことなくADIZEROらしさに欠ける感じがありましたが、「ADIZERO SL 2」は肌に貼り付くような一体感があり、シューズが体の一部になったかのように錯覚するようなフィット感を備えています。

フィッティングをしてて立ち上がり、1歩を踏み出してみると、体全体が持っていかれる感覚があり「おぉ」となってしまいました。おそらく10mmのドロップが影響しているのでしょう。このドロップによりナチュラルに前傾姿勢が作られるので、力を入れなくても前に進めるようになっているのでしょう。

ジョグシューズなのにキロ3分台も難なくこなせる

フィット感が素晴らしくても、気持ちよく走れなくては意味がありません。走り出しでまず感じるのはミッドソールが柔らかいということ。ファーストインプレッションとしては柔らか過ぎるという印象でしたが、しばらくすると柔らかさが心地よく感じるようになります。

これはLIGHTSTRIKE PROを内蔵していることによるもので、ゆっくりのペースであればリカバリーサンダルのような柔らかさを感じ、ペースを上げていくとその柔らかさが薄れて反発力を感じるようになります。キロ4分台くらいまでペースを上げれば、完全に反発力優位になります。

ただカーボンプレートのように強く踏み込む必要もなく、自然の着地で弾むようになるので、走力があまりないという人でも正しくシューズに乗ることができれば、無理なくペースを維持できるようになります。そして、ここで活きてくるのがシューズの軽さです。

「ADIZERO SL 2」は27cmで232gしかありません。これはレース用のシューズに引けを取らない軽さで、そこに高いフィット感が加わって、シューズが素早く反応してくれます。前作の「ADIZERO SL」も追従性はそれほど悪くなかったのですが、「ADIZERO SL 2」は遅延なく足と一緒にシューズがついてくるので、ストレスがありません。

シューズのお披露目会となったADIZERO SL 2の先行体験イベント「adidas ADIZERO SL ATHLETE SESSION」では、400mトラックでビルドアップ走をしたのですが、私は日本記録ペースまでは付いてくことができました。本来なら「ADIZERO ADIOS PRO 3」や「ADIZERO TAKUMI SEN 10」を履く領域でも、「ADIZERO SL 2」はまったく問題なく走れてしまいました。

こうなってくると、「もうADIZERO SL 2でいいんじゃないか」となります。キロ3分台にも対応できるなら、サブ3を狙うこともできるわけです。もちろんアディダスとしてはレーシングシューズを買ってもらいたいのでしょうが、「ADIZERO SL 2」があることで、それらのシューズが必須ではなくなってしまいました。

フィジカルトレーニングと体の前での着地は不向き

クッション性に優れていて、安定感も高いシューズですので、「ADIZERO SL 2」はロードだけでなくクロカンコースのような不整地でもしっかり走ることができます。基本的に何でもこなせるシューズというのが「ADIZERO SL 2」なのですが、ひとつ苦手なことがあるなら「フィジカルトレーニング」でしょうか。

立ち止まったときにミッドソールが柔らかいので、バランスボールに乗っているような感覚になります。このため、スクワットやランジなどのフィジカルトレーニングをしようとすると、バランスが崩れやすく、人によってはしっかりと鍛えられなくなってしまいます。

筋力アップのためにフィジカルトレーニングも定期的に行うなら、地面の硬さをしっかりと感じられるADIZERO JAPANやADIZERO DURAMO SPEEDを使うのがおすすめです。ただ体幹がある程度しっかりしているなら、あえて「ADIZERO SL 2」を履くというのもありです。

そして、もうひとつ気をつけなくてはいけないのが、「ADIZERO SL 2」を履いて走る場合には、体の前で着地をしないということです。体の前で着地してしまうと、LIGHTSTRIKE PROからの反発力が後ろ向きに発生するため、ブレーキを掛けながら走ることになります。

実際に「体の前で着地」「体の真下で着地(ミッドフット)」「体のやや後ろで着地(フォアフット)」で走った結果が次のようになります。

ペースを見れば明らかなのですが、何よりも体の前で着地したときの「前に進まない感」がかなり高く、かなり息を切らしながらのランニングになりました。自分の重心よりも前で着地するクセのある人は、「ADIZERO SL 2」で走りにくさを感じるかもしれません。

「ADIZERO SL 2」を履いたのに推進力を感じないどころか、前に進めてない感覚があるなら、自分の体の真下で着地するイメージで走ってみてください。おすすめはミッドフット。フォアフットのほうがスピードを出せますが、フルレングスのLIGHTSTRIKE PROを活かしきれてないので、「ADIZERO SL 2」のポテンシャルを引き出すためにも足裏全体で着地してみてください。

ちなみにこちらがペースを上げて走ったときのデータになります。どのような着地をしてもペースを変えても、「安定した姿勢」は高い評価となっています。ペースを上げると「骨盤を軸とした全身の連動」ができるようになり、「動きの力強さ」も向上しており、ジョグだけでなくスピード走にも対応していることがデータからわかります。

シューズ選びは「ADIZERO SL 2」一択でいい

フィジカルトレーニングに向いていないなど、100%万能というわけではありませんが、シューズのポテンシャルと価格を考えたときに、「ADIZERO SL 2」はとても優れたランニングシューズであることは間違いありません。これさえ持っておけば大抵のシーンで困ることはありません。

クッション性と安定性を備えているので、旅行に行くときに履いていき、旅行先で朝ランするといった使い方もできますし、ホテルの目の前に素敵なトレイルがあったとしても、迷うことなく走りに行けます。長期出張でも「ADIZERO SL 2」を持っていれば、出張先でポイント練習もできます。

あえて「ADIZERO SL 2」の弱点を挙げるとするなら、「インパクトがない」といったところでしょうか。デザインもシンプルで、ネーミングも頭に残るものではありません。本来の役割は日々のランニングのベースとなり、見えないところでランナーを支えるシューズなので仕方ないのですが、ADIZERO好きでない人への知名度も低め。

もしかしたら「隠れた名作」なんて言われることになる可能性もあります。それでもランニングシューズとしてのクオリティは高く、きっと多くのランナーに「これがいい」と感じてもらえるシューズに仕上がっています。それだけで「ADIZERO SL 2」を選ぶ理由としては十分です。

  • これからランニングをはじめる
  • ジョグシューズは軽いほうがいい
  • トレーニングもレースも同じシューズで走りたい
  • サブ3.5〜5レベルのランナー

このいずれかに該当するなら、シューズ選びの選択肢に入れておきましょう。むしろ、足を入れてしっくりくるようなら、他のランニングシューズと比較する必要はありません。シリアスランナーも初心者ランナーも、今よりも速くなりたいなら、ベースシューズに「ADIZERO SL 2」はいかがでしょう。

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この記事を書いた人

重松貴志のアバター 重松貴志 ランニングトレーナー

東京・神奈川エリアを中心に「走れるためのカラダづくり」をベースとしたパーソナルトレーニングを実施。ランニングを始めたいという初心者から、自己ベスト更新を狙うシリアスランナーまで幅広くサポートしています。

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