シューレースレスへの挑戦「ナイキ ファントム リアクト フライニット」

ランニングシューズとシューレースの関係。ランニングシューズを開発する者にとっての永遠の課題がそこにあります。シューレースは本当に必要なのか。この課題に多くの開発者が挑み、跳ね返されてきました。

シューズの役割は足を守ることと思っている人もいるようですが、本当の役割は足を拘束することにあります。「拘束」というとネガティブなイメージをするかもしれませんが、これはシューズに安定感を与えるために必要なものです。

このため、ランニングシューズに限らず、多くのシューズにはシューレースがあり、足を拘束するわけです。

シューレースに関しては各メーカーがかなり工夫をしています。トップアスリートが履くランニングシューズは、フォアフット系のランナーが多いことから、前足部までシューレースがあります。

ところがナイキのペガサス35やペガサスターボは踵着地のシューズですので、ヴェイパーシリーズよりもシューレースが1段少なくなっています。シューレースを見れば、そのシューズをどう履きこなせばいいのかが見えてきます。

それくらいランニングシューズとシューレースは切っても切れない関係にありますが、シューズ開発者は問い続けるわけです「本当に必要なのか」と。

そして、常に革新的なチャレンジを行い、現在のマラソン界を席巻しているナイキが永遠の課題にひとつの答えを出しました。「ナイキ ファントム リアクト フライニット」シューレースのないランニングシューズです。

ナイキのアッパー素材であるフライニットは、発売当初から「シューレースは飾りではないか」と言われることもあるほど、抜群のフィット感がありました。そのフライニットも進化を遂げ、様々な種類の糸を使ったり、編み方を組み合わせることが可能になっています。

そして、今回のナイキ ファントム リアクト フライニットでは、シュータンと履き口に伸縮性の高い糸を使うことで、これまで以上に高いフィット感を実現し、シューレースなしでもブレないランニングシューズを誕生させました。

ただし、リアクトシリーズに採用したことからも分かりますように、このランニングシューズはフルマラソンを2時間台で走るようなシューズではありません。1分1秒を削り出すためのシューズではなく、ランニングをもっと手軽に快適にするための1足です。

玄関に立ち、その数秒後には走り出すことができるランニングシューズ。

もちろんスピードに乗れないかというとそういうわけでもありません。そんなランニングシューズをナイキが世に送り出すわけがありません。サブ4ペースくらいなら余裕でこなすでしょうし、履く人によってはサブ3.5も出せるはずです。

ナイキ ファントム リアクト フライニットは、それくらいのポテンシャルを備えたランニングシューズではありますが、ただタイムを削りたいのであれば、ズームフライシリーズのほうが適しています。

いくらフィット感が高いとはいえ、伸縮性のある素材を使っている以上、ほんの少しだけ始動に遅れが生じることが考えられます。そのわずかな遅れが気になるレベルの選手ですと、まだシューレースによる拘束が必要かもしれません。

それでも、これは新しいチャレンジでもあります。ナイキ ファントム リアクト フライニットが成功すれば、5年後10年後には、シューレースのついたランニングシューズは絶滅している可能性すらあります。

シューレースがないことで、デザインの自由度も増します。パーツ点数を減らすこともできますので、さらなる軽量化も期待できます。シューズの未来が一気に開けていきます。

とはいえ、ナイキ ファントム リアクト フライニットは実際に足を入れてもらわないことには、フィット感も実感できないかと思います。発売は4月27日からで、NIKE.COMなどで販売されますので、まずは店舗で試し履きしてみましょう。

世界に先駆けてGW初日の発売(中国ではすでに発売中)なのは、きっとGW中にナイキ ファントム リアクト フライニットでの走りを楽しんでもらいたいというナイキの想いも込められているのでしょう。

マラソンはオフシーズンに入りましたが、オフシーズンはストイックさを手放して、気持ちよくランを楽しみたいというランナーさんは、ぜひナイキ ファントム リアクト フライニットをこのGWに試してみましょう。

ナイキ ファントム リアクト フライニット 16,200円(税込)
ナイキ ウィメンズ ファントム リアクト フライニット 16,200円(税込)

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