トレイルの下りが楽しくなる！HOKA ONE ONE「テンナイン（TenNine）」

2020年3月7日

常に革新的であることを目指しているホカオネオネ（HOKA ONE ONE）ですが、今度は驚くようなデザインのトレランシューズ「テンナイン（TenNine）」の発売を開始しました。踵部が後方に飛び出しており、「これで本当に走れるの？」と思うかもしれませんが、実に理にかなった構造になっています。

テンナインがどのような部分で革新的であり、そして私たちランナーにどのような効果をもたらしてくれるのかについて解説していきます。

テンナイン（TenNine）は下れるトレランシューズ

まず結論からお伝えしておきましょう。テンナイン（TenNine）はトレイルの下りを快適に走るためのランニングシューズです。実際にホカオネオネも「飛ぶように山を駆け下る革新的なトレイルランニングギア」と位置づけています。

下りに特化していることは、踵側に飛び出したソールを見れば分かります。

トレイルに慣れていない人は、下りを走るときに恐怖心からどうしても重心を後ろに持っていきます。私たち人間の重心は土踏まず前後にあるのが普通です。走っているときには、重心がそれよりも前になる人もいるかもしれません。でも重心が踵より後ろに来ている人はいません。

ところが、トレイルを走るときには腰が引けて、足だけが前に出てしまうなんてことがあります。このとき、重心が後ろになるので、足の筋力で踏ん張ることになります。数秒ならその体勢を耐えられるとしても、何分もそれを続けると足が簡単に疲労してしまい、レース後半に響いてしまいます。

ところがテンナインは踵部にソールがあるので、その部分で体を支えてくれます。スキー板をイメージすると分かりやすいかもしれません。スキー板は前にも後ろにも長く伸びています。これがあるので、重心が多少前後しようと安定して滑ることができます。

テンナイン（TenNine）は下りが苦手、下りで恐怖心のあるランナーが履くと「こんなに下りが快適になるなんて」と驚くはずです。腰が引けても安定しているので徐々に恐怖心も薄れていき、いつの間にか下りへの苦手意識がなくなるはずです。

ということは、そもそも下りが得意で恐怖心もないトレイルランナーにとって、テンナインはそれほど効果を期待できないかもしれません。そういうランナーは踵に重心をかけることもないので、飛び出したソールが役に立たないためです。

ただしホカオネオネは、いつだって私たちの数歩先を進んでいるシューズブランドです。飛び出したソールにはもっと大きなメリットが隠されている可能性も考えられます。

例えば「前足部で着地→踵の接地」という動きをするときに、踵部でより大きな反発力をもらえます。これが「飛ぶように」という感覚を生み出すはずです。さらに接地面積が増えたことで、悪路でも走りがブレにくいというメリットもあります。

ただ、いずれも推測でしかありません。物理的な推測はできても、その先に秘められたポテンシャルは実際に履いてみないとわかりません。はっきりと言えるのはひとつだけ「これはワクワクするトレランシューズ」ということだけです。

テンナイン（TenNine）は下りを快適に走るためのシューズですが、上りにおいてはそれほど大きなメリットがありません。むしろ片足360gという重さが、上りでトレイルランナーを苦しめるかもしれません。

トレランシューズは重たいものというのは過去の話で、すでに300g以下のトレランシューズも多く、250g以下というものまであります。

日本のトレイルは欧米のフラットなトレイルとは違い、どうしてもアップダウンが大きくなります。それゆえに下りが苦手な人にとって、テンナインはとても魅力的な1足ですが、上りでは錘を付けて走るような状態になります。

下りの快適さとのトレードオフで、上りが少しだけキツくなる。テンナインはそういうシューズであることが、スペックから分かります。とはいえ重たく感じるかどうかは人によって違いますので、できればお店で試し履きすることをおすすめします。

また、ホカオネオネはこのシューズを「ランニングギア」と位置付けし、ランニング以外での利用を推奨していません。「本製品は階段の上り下りや運転中に使用しないでください」となっていますので、あくまでもトレランをするときだけのシューズであることも覚えておいてください。

テンナイン（TenNine）は限定発売となっており、発売店舗も限られています。

発売は3月6日ですので、すでにお店に並んでいます（売り切れていなければ）。気になるというランナーさんは、在庫状況を問い合わせしてから、試し履きのためにお店にでかけてください。

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