【シューズレビュー】超高反発性は本物か?ワークマン「ハイバウンス ファントムライド SG390」

とてもワークマンのラインナップとは思えない。そんな本格的なデザインのランニングシューズ「ハイバウンス ファントムライド SG390」が登場。ワークマン2026年春夏新製品発表会でチェックした数日後に、ふらっとワークマンの店舗に立ち寄ったら、もう発売されているじゃないですが。

これはもう買ってレビューするしかないということで、ワークマンアンバサダーなのに自腹で購入(3,900円だから懐も傷まない)。自腹であることをいいことに、実際に履いて走って感じたことを本音でレビューしていきます。

目次

300gオーバーで重たいけどもっさりしていないファントムライド

「ハイバウンス ファントムライド SG390」はワークマンのハイバウンスシリーズの中でも、反発性の高さを売りにした1足です。そのキャッチコピーは「走りを追求したい方へ ハイバウンスPROモデル」これを読むと1秒を削るためのレーシングシューズのように思うかもしれません。

結論からお伝えしますが、「ハイバウンス ファントムライド」は安定性に優れたジョグシューズです。そのデザインとカーボン混の部材を使っていることから、それこそサブ3を狙うようなシューズのように思えますが、レースで履くとなるとサブ4も難しいかもしれません。

それはシューズのスペックが低いという話ではありません。単純に「マラソン大会で速く走るためのシューズ」ではないということ。「PROモデル」といううたい文句がゆえに、少し混乱を招きそうですが、「プロがトレーニングに使うシューズ」であって「プロがレースで使うシューズ」ではありません。

反発性については後ほど詳しくお伝えするとして、マラソン大会に適していない理由についてまず説明しておきます。理由はいたってシンプルで、25.5cm片足の実測値が301gであること。いくら高反発とはいえ、これではさすがに重すぎます。

明確な基準はありませんが、私がフルマラソンで履く場合には、250g以下のランニングシューズを選びます。個人的な好みでいえば200g以下であることが理想です。このサイトでバズった「アスレシューズライト」は26cmで150gしかなく、その軽さがサブ3.5に繋がっています。

ただ一般的な300gオーバーのランニングシューズのようなもっさり感はありません。それは重さを高い反発性で相殺しているためで、足でランニングシューズを持ち上げる必要がないので、キロ6分くらいのジョグペースなら重いと感じることはまったくありません。

それでもレースで履くとなると、さすがに重量がありすぎます。フルマラソンを4時間半よりもゆっくり走るならマラソン大会で履けないことはありません。でも選択肢がいくつもある中で、あえて「ハイバウンス ファントムライド」を選ぶ理由がないというだけのことです。

正直なところ、あと50gなんとかならなかったのかと思いますが、ただ、この50gがもたらすメリットもあります。どのようなメリットに繋がっているか、次章以降で詳しく解説していきます。

スキーブーツのようなフィット感と安心感

「ハイバウンス ファントムライド」に足を入れたときのファーストインプレッションは、「少し大きいかも」でした。いつもランニングシューズは25.5cmを選んでいますが、前足部にかなり余裕がある感じがありました。ただ25cmを履くと親指が少し窮屈になったので選んだのは25.5cmです。

ただ、前足部に大きな空間があるので、少し足のボリュームがあるタイプの人のほうがフィット感が高くなるかもしれません。私の場合は前足部が少し遊びますが、中足部よりも上部でしっかりフィットするので、不安定な感じはありません。

むしろ足首周りがしっかり足を掴むので安定感や安心感があります。どこかで感じたことがあるフィット感で、いろいろ思い出してみたところ、スキーブーツやスノーボードブーツのフィット感に似ています(20年以上前のことなので最新のスキーブーツやスノーボードブーツは違うのかもしれませんが)。

足首周りに圧をかけて足との一体感を作り出す。これはこれまでのランニングシューズになかった発想で、作業靴も手掛けるワークマンらしい機能のひとつ。ただ、足首周りのボリュームが大きいので、足に馴染むまでは違和感になるかもしれません。また、このようなボリュームも重量アップにつながっています。

とはいえ、履き心地という点ではかなり高く、足入れをしてストレスはありません。軽さと引き換えにこの安心感がなくなるのだとすれば、ジョグシューズならこの安心感を選びたいところ。軽いだけのシューズは他に任せればいいだけですから。

気をつけたいのは、従来のランニングシューズのフィット感とはまったく別物だということ。あまり馴染みのない感覚だと、足入れをしたときに違和感になるかもしれません。ただ、それは走ってしまえば消える可能性が高いので、試し履きの段階では気にしないほうがいいかと思います。

キロ5〜7分くらいが「ハイバウンス ファントムライド」の適正ペース

「ハイバウンス ファントムライド」はフォアフット向けと、ワークマンの担当者が説明してくれましたが、「重心の後ろで着地できるランナーに適している」のほうが適切かもしれません。反発性が高いので、重心よりも後ろで着地することで、より高い推進力を得られます。

ただ、ヒールストライクで重心よりも前で着地するのでなければ、ミッドフット走法でもまったく問題ありません。重心よりも前で着地した場合、反発力のベクトルが後方に向くため、驚くほどブレーキがかかります。「ハイバウンス ファントムライド」の反発力を体感したい人は、1度体の前で着地してみてください。笑えるくらい前に進みません。

キロ6分くらいのジョグのつもりが、キロ7分にしかならないくらいのブレーキ。なので、走法としてはミッドフットかフォアフット。スイートスポットは指の付け根よりもや後方です。反発力はフォアフットのほうが高くなりますが、どのペースでも反発力を得られるわけではありません。

たとえばキロ6分で走ると、着地でミッドソールに「グッ」と力がかかり、それを「グッ」と押し返してくれます。それもナチュラルに反発するので、弾む感覚ではなく無意識にペースを上げてくれます。ただ、反発をもらえるペースには幅があります。

個人差はありますが、キロ5〜7分くらいがベスト。キロ4分15秒まで上げてみましたが、足の回転にミッドソールの反発が間に合わないので、300gの錘になってしまいます。またキロ7分よりも遅い場合も、反発しきってから足を上げるので、やはり錘になるだけです。

反発するタイミングと足を上げるタイミングがシンクロすると気持ちよく走れるのですが、そうでない場合にはせっかくの反発性を活かすことができません。とはいえ、ほとんどのランナーにとって、普通のジョグペースで走っていれば、反発性を活かした走りができます。

また、安定性がかなり高くなっています。ここがワークマンらしさであり、50g重たい分だけの強みでもあります。とにかく着地がブレません。とくにミッドフット走法をしたときの安心感、快適さは最近のランニングシューズにはあまり見られないものでした。

ワークマンは安全靴なども手掛けており、安全性や安定性はシューズづくりで最も重視すべきポイントのひとつとなります。それを手放せないから軽量化が難しいわけですが、そこがワークマンのアイデンティティでもあります。「ワークマンのシューズは安心して履ける」これが、他のモデルも含め多くのランナーに支持される理由のひとつです。

ハイバウンス ファントムライド SG390
総評:デザイン◎・反発性◯・安定性◎・重さ✕・価格◎

総評をするなら「重さ以外はすべて満足」というのが私のレビュー結果になります。ただ、すでにお伝えしましたように、重さはワークマンのアイデンティティとも関連するので、これ以上を求めるのは難しいかもしれません。

そして何よりも3,900円で軽量性まで備えたら、それはもう世界のランニングシューズに革命を起こしてしまいます。もちろん3万円前後のハイスペックランニングシューズには、価格に見合うだけの価値があります。でも、誰もがそのスペックを必要としているわけではありません。

私が個人的に最も気に入っているのはデザイン。もう1足の新作シューズ「ネオイズム N-TECH BOOST」をレビューしたら変わるかもしれませんが、現時点ではランニングシューズと普段履きはしばらくこれだけでいいと思えるほどお気に入りのデザインです。

反発性もペースが限定されるとはいえ、クセもなく走りをより快適にしてくれるので「◯」。スピードを出して自己ベストを更新するための反発性ではないので「◎」にはできませんが、ジョグシューズと考えれば、これ以上を望むことはありません。

安定性も高く、着地時にまったくブレないのもお気に入りポイントです。ただ、決まった着地フォームに促されるので、人によっては最初だけ膝に違和感が出るかもしれません。その場合は、痛みを感じた時点で走るのをやめておき、徐々に距離を延ばしていくのがおすすめです。

繰り返しになりますが、重さについてはこれでよしとは言いません。「ハイバウンス ファントムライド SG390」が250gになればランニングシューズ業界に革命が起こると断言しますが、50gの軽量化は簡単ではありませんし、それではワークマンのシューズではなくなります。

軽くなるとせっかくの利点も消えてしまう可能性があるので、「ハイバウンス ファントムライド SG390」はこういうシューズだと受け取っておくとしましょう。ただ、やっぱり期待せずにはいられないんですよね。ここまで面白いランニングシューズを作れるわけで、本格的なレーシングシューズも開発できるのではないかと。

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