【走力別・気温別】冬のマラソン大会は服装をどうすればいい?ランニングウェアの最適な組み合わせを解説

服装を制するものが冬のマラソン大会を制すると言っても過言ではないほど、冬のマラソンでは「何を着るか」が大切になります。スタート前の待機時間が長いから防寒対策をしっかりした結果、走り出したら暑すぎて後悔したというランナーもいるでしょうし、薄着の状態で後半に失速し、低体温症になってDNFした方もいるかと思います。

そこで、この記事では冬のマラソンの服装選びで失敗しないためのランニングウェア選びのコツを、走力別・気温別ご紹介していきます。「もう冬マラソンの服装で迷いたくない」という方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

目次

冬マラソンの服装を決める3つの基本ルール

まずは冬マラソンの服装を決めるための、基本となる3つのルールを解説します。この基本ルールをしっかり頭に入れたうえで、ランニングウェアを選ぶようにしてください。

基本ルール1:服装は「気温 × 走力(ペース)」で考える

同じ気温でも、ランナーのペースによって体感温度は大きく変わります。たとえば、気温が10℃だったすると、サブ3を狙うランナーにとっては「走りやすい」気温になりますが、完走目標のランナーにとっては「寒い」気温になります。

ペースが速いランナーは発熱量が多く、自分で体温を上げることができます。しかも短い時間で走り終えるので、寒さに苦しめられることなくレースを終えることができます。一方でゆっくりペースのランナーは体温の上昇を外気の冷たさが妨げるので、ずっと寒く感じることになります。

「レース当日に何度になるか」ではなく「レース当日の気温と自分はどれくらいのペースで走るか」を基準に、ランニングウェアを決めましょう。

基本ルール2:スタート前に「少し寒い」と感じるくらいが正解

冬マラソンでは、スタート前の寒さにより、厚着をしてしまうケースがよくあります。最高気温が5℃以下のような、超低温でのレースであれば、厚着したまま走り続けることができますが、時間とともに体温も気温も上がっていくと、想定以上の汗をかいてしまいます。

このため、基本となる考え方は「スタート前の寒さは耐える」ことになります。寒さに耐えられない場合は、使い捨てのポンチョなどを使って待機中の体温低下を防ぎ、走り出したら捨てるといった方法がおすすめです(捨てるときはスタッフに手渡すか確実にゴミ箱や回収ボックスに入れてください)。

基本ルール3:レース本番は「練習より1枚少なめ」

普段のランニングと同じ感覚で服装を選ぶと、レースではほぼ間違いなく暑くなりすぎます。レース本番は練習と比べてペースは速くなりやすく、そして信号待ちなどもないため、トレーニング時よりも体温が上がってしまうためです。

そのため、「いつもの練習着 − 1枚」を基本に考えると失敗しにくくなります。

たとえばTシャツにジャケット1枚で走っているランナーは、基本ルールとしてはTシャツだけでもOK。何枚も重ね着している場合は、それよりも1枚少ない状態で走りましょう。それが不安だという場合には、アームカバーやネックウォーマーなど、着脱できるアイテムを使って体温を微調整してください。

【気温別】冬マラソンのおすすめ服装一覧

冬マラソンの服装選びの最適解は、その日の気温で大きく変わります。ここでは、大会当日のスタート時気温を基準に、基本となる服装の組み合わせを解説します。

気温:0〜5℃

上半身
  • 半袖シャツ or 薄手長袖シャツ
  • アームカバー(必須)
  • ジャケット(初心者)
下半身
  • ショートパンツ or ハーフタイツ(上級者)
  • 薄手ロングタイツ(中級者)
  • ロングタイツ(初心者)
  • カーフカバー
小物
  • 手袋(必須)
  • ネックウォーマー
  • スタート前の使い捨て防寒(カッパ・ゴミ袋)

サブ3を狙うようなシリアスランナーでもない限り、徹底した寒さ対策が必要になります。できるだけ肌の露出を避けた格好で走り出しましょう。ただし、アームカバーやネックウォーマー、手袋などで体温調整しやすい小物アイテムと組み合わせるのがポイントです。

・走り出すと一気に暑くなるため「防寒しすぎない」ことが最重要
・上級者ほど薄着、初心者ほど保温寄りに調整

気温:5〜10℃

上半身
  • 半袖シャツ
  • アームカバー(ほぼ必須)
下半身
  • ショートパンツ or ハーフタイツ(上級者)
  • 薄手ロングタイツ(初心者)
  • カーフカバー
小物
  • 薄手手袋

スタート時に寒くても、そこから10℃以上に気温が上る可能性があります。防寒対策をしすぎないで、スタート時には肌寒く感じるくらいの格好をしてください。体温調整は手袋とアームカバーで行いましょう。

・冬マラソンで一番失敗が多い気温帯であることを意識しましょう
・アームカバーで体温調整できる構成がベスト

気温:10〜15℃

上半身
  • 半袖シャツ
下半身
  • ショートパンツ
  • ハーフタイツ
  • 薄手ロングタイツ(初心者のサポート用)
小物
  • アームカバー(スタート前用)

寒く感じるかもしれませんが、スタート時にこれくらいの気温があると、思った以上に汗をかく展開になることが考えられます。とくに日差しがしっかりとある晴れた日は、秋や春のマラソン大会を走るくらいの格好でスタートライン煮立ちましょう。

・体感温度は「ほぼ春マラソン」
・走り出したら脱げない服装は避ける
・しっかり水分補給する

【走力×気温】服装の早見表

スクロールできます
気温上級者(サブ3〜3.5)中級者(サブ4前後)初心者・完走目標
0〜5℃半袖シャツ
ショーツ or ハーフタイツ
アームカバー
カーフカバー
手袋
使い捨てポンチョ
半袖シャツ or 薄手長袖シャツ
ショーツ
薄手ロングタイツ
アームカバー
ネックウォーマー
手袋
使い捨てポンチョ
薄手長袖シャツ
ショーツ
ロングタイツ
アームカバー
ネックウォーマー
薄手ジャケット
手袋
5〜10℃半袖シャツ
アームカバー
カーフカバー
ショーツ or ハーフタイツ
半袖シャツ
ショーツ or ハーフタイツ
アームカバー
カーフカバー
薄手手袋
半袖シャツ
ショーツ
薄手ロングタイツ
アームカバー
薄手手袋
10〜15℃半袖シャツ
ショーツ or ハーフタイツ
半袖シャツ
ショーツ or ハーフタイツ
半袖シャツ
ショーツ
薄手ロングタイツ
アームカバー(スタート前)

冬マラソンで差が出る「小物」による寒さ対策

冬マラソンでは、ウェアそのものだけでなく、小物を上手く活用して寒さ対策を行います。ここでは走力に関係なく、どのレベルのランナーにも効果が期待できる小物と、使い方のコツを解説していきます。

アームカバー|冬マラソン最強の調整アイテム

・スタート前の寒さ対策になる
・暑くなったら簡単に下ろせる・外せる
・半袖ウェアと組み合わせやすい

気温別の使い分け
0〜5℃:ほぼ必須
5〜10℃:スタート前+前半用
10℃以上:後半失速時の寒さ対策として携帯

アームカバーは、冬マラソンで必ず装着もしくは携帯しておくべきアイテムです。スタート前に装着しておき、暑さを感じたらずらしたり、外したりすることで体温調整ができます。

速乾性と吸汗性を兼ね備えたものを選ぶことで汗冷えを防ぐこともできます。気をつけたいのはフィット感です。サイズの合わないアームカバーは防寒対策にもならず、ずり落ちる不安でレースに集中できないため、きちんとフィットしたものを使いましょう。

手袋|指先の冷えを防ぐ

・厚手は暑くなると蒸れるので薄手を選ぶ
・通気性の高いものを選ぶ
・スマホ対応がおすすめ(トレーニング時に便利です)

気温別の使い分け
0〜5℃:必須
5〜10℃:冷えやすい人は着用(着脱で体温調整)
10℃以上:基本不要

指先の冷えは痛みになり、走りの集中力を削がれてしまいます。走り出して寒さが和らぐまで装着しておきましょう。気温が低い日は最後まで装着し、5〜10℃の場合はこまめに脱着することで、体温調整できるといったメリットがあります。

選ぶときは通気性の高いものを選んでください。通気性が低い手袋はすぐに蒸れて不快になります。しっかり保護するというよりは、手がむき出しになっている状態を防ぐくらいの感覚で使いましょう。

ネックウォーマー(BUFF)|体感温度を一気に上げる

・防寒効果が高い
・暑くなったら外せる
・汗拭き・日差し対策にも使える

使用シーン
・スタート待機中
・0〜5℃の前半
・風が強い大会

BUFFなどのネックウォーマーは防寒対策アイテムとしてはとても優秀で、寒さを感じる日や冷たい風が吹いている日のレースでは必需品です。ただし通気性が低いため、体温の上昇により、大量の汗をかいてしまうといったデメリットもあります。暑さを感じたらすぐに外すようにしてください。

使い捨て防寒具|スタート前の寒さ対策に

マラソン大会の多くがスタート前の整列で、何十分も体を動かすことができず、寒さに耐えなくてはいけません。ただ、それに備えて厚着してしまうと、走り出してから暑さに悩まされることになります。それを解決するのが使い捨ての防寒具です。

  • 使い捨てポンチョ
  • 100円カッパ
  • ゴミ袋(穴を開けて着用)

着たまま走り続ける可能性があるなら、Amazonなどで売られているランニング用の使い捨てポンチョが動きやすくておすすめです。待機しているときに着て、スタート直前に回収してもらうのであれば、ゴミ袋に穴を開けて簡易ポンチョにしたもので十分です。100円カッパは動きづらいので、雨や雪を防ぎたいとき用と考えてください。

途中で歩いてしまう可能性があるならジャケットは必須

走り出したら体温は上がるので、基本的にはそこまでしっかり防寒対策をする必要はありません。ただし、それは「最後まで走りきれる」ことが大前提になります。もし、後半に歩いてしまう可能性があるなら、低体温症対策としてランニングジャケットを着用しましょう。

スタート時に着用し、走り出したら脱いで手に持つか腰に巻いて走ることになりますが、ジャケットがあることにより歩いてしまったときの低体温症リスクを下げることができます。雨が降るようであれば、防水加工されたレインジャケットでも構いません。

そんな服装で走っている人はいないから……と思うかもしれませんが、周りのランナーの格好は気にしないでください。「自分の身は自分で守る」が基本です。5時間以上かけて走る場合には、レース後半になると気温も下がってきますし、汗冷えすることもあります。本当に危険な状態になることもあるので、ジャケットは必須です。

もし上着を持たないのであれば、歩くしかなくなった時点で、潔くリタイアすることも検討してください。マラソンは苦しみに耐えるスポーツではなく、楽しむために行うスポーツです。ただ、楽しく走るには「備え」はとても重要です。走力不足やケガなどで歩く可能性があるなら、ジャケットは必ず携帯してください。

冬マラソンの服装に関するQ&A

スタート前に寒すぎたらどうすればいいですか?

寒さに耐える必要はありません。使い捨て防寒具を使って体温が低下するのを防ぎましょう。スタート直前に抜いてスタッフに回収してもらう必要があるので、スタート地点では沿道近くに位置取りすることを頭に入れておきましょう。

スタート時に体が震えるくら寒くても大丈夫ですか?

体が震えるくらいの寒いと感じるようですと、走り出しても体温が上がらない可能性があります。その日の天気予報をチェックして、気温が上がらない予報になっているなら、肌を露出させないランニングウェアを選び、しっかり防寒対策を行ってください。

長袖と半袖、どちらを選べばいいですか?

その日の最高気温次第ですが、迷うようでしたら半袖+アームカバーの組み合わせがおすすめです。アームカバーは上級者のアイテムと思われがちですが、寒さ対策という意味では走力に関係なく有効なアイテムです。走りのブレも抑えてくれるので、迷ったら「半袖+アームカバー」を選びましょう。

タイツは履いたほうがいいですか?

タイツは防寒具としては優秀ですが、ロングタイツは膝の動きを阻害するので、サブ4やサブ3.5を狙う場合には着用をおすすめしません。また、防寒具というよりは膝回りの負荷を下げる効果もあるため、膝の調子が不安だという場合は、タイム度外視で着用することをおすすめします。

寒さに加えて雨や風がある場合はどう考えればいいですか?

雨や風は体温を奪っていきます。防寒対策というよりは「肌を濡らさない」ことを意識してウェアを選んでください。たとえば手袋も雨が染み込む素材だと、体温を奪われてしまいます。冬の雨の日のマラソンでは防水性の高い手袋を選びましょう。また、最初から最後まで使い捨て防寒具を着用するのもおすすめです。

ホットクリームで寒さ対策するのはありですか?

適切な量を塗ることができるなら効果的です。まずは練習で使ってみて、どれくらい効果があるのかを何度か試してから、レースでも使うようにしてください。

まとめ|最適な服装選びで快適に冬マラソンを走ろう

冬のマラソン大会で大切なのは、状況に応じて体温調整できる組み合わせにすることです。アームカバーやネックウォーマーなどの体温を調整できるアイテムを活用して、スタート前の寒さ対策、走り出してからの体温上昇対策を行ってください。

ちなみに、フルマラソンでタイムが出やすい気温は10℃前後とされています。冷たい空気は私たちに快適なランニング環境をもたらしてくれます。だから、スタート前に耐えられる範囲の寒さを感じたらな「ベストコンディション」だと考えて、必要以上に重ね着しないように注意してください。

ただし、寒さが敵になることも事実です。走れなくなると低体温症リスクが一気に上がります。リタイアするだけでなく、多くの人に迷惑をかけることになるので、耐えられないと感じたり、雨や強い風が吹く予報があったりする場合には、自分の身を守るためにも、普段のトレーニングに近い服装をして安全にマラソンを楽しんでください。

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