【シューズレビュー】ワークマン「アスレシューズ ドリブンソール」で御殿場線66kmを走ってみた

ワークマンから新しい厚底シューズ「アスレシューズ ドリブンソール」が2月に発売予定ということで、ワークマンアンバサダーという立場を利用して、発売前にどんなランニングシューズなのか試させていただきました。軽く試したところロング走に適してそうなので、御殿場線ランとして66kmに挑戦。

従来の厚底モデルである「アスレシューズハイバウンス」の弱点を補うことを目的に開発された1足は、どのような進化をして、どんなランナー向けに仕上がっているのか、RUNNING STREET 365なりにレビューをしていきたいと思います。

目次

アスレシューズ ドリブンソールは転がるように走れる

ワークマンのアスレシューズ ドリブンソールは厚底ですが、他のスポーツブランドのようにカーボンプレートが入っているわけではありません。従来の厚底モデルであるハイバウンスも同様にプレートがないモデルでしたが、こちらはソール材が柔らかいのもあって、補強(プレート)がないので安定性に弱点がありました。

アスレシューズ ドリブンソールはそれを改善するために、ソール材に硬めの素材を採用し、踵部に柔らかめのバウンステック、前足部に硬めのバウンステックを搭載する形になっています。ベースになるソール材が硬くて分厚いので、ソールにねじれが発生しません。

そして、ソールがゆりかごのように大きく湾曲しているのが特徴で、このタイプのランニングシューズは基本的に踵から着地して、前足部に向けて体重移動しながら走るのですが、ワークマンのアスレシューズ ドリブンソールも同様の走り方でシューズのポテンシャルを引き出せます。

「足裏を転がすように走る」と表現したほうが分かりやすいかもしれません。ローリングさせて、上手に体重を乗せていけば、自然と前へと進んでいきます。筋力がなくてもそれなりのスピードを出すことができ、基本的にはランニング初心者が楽しく走るのに向いています。

作業靴としても使えるものを目指したシューズなので、アッパーはやや厚めで軽さはありませんが、しっかりフィットするので安心感があります。フィット感が高いので反応性もいいのですが、シューズそのものがやや重く(26.0cmで300g)ピッチを上げて走るのには向いていません。

ファーストインプレッションは「クセが強い」

まずはいつも走っている公園のランニングコースで試してみます。体重を乗せるタイプのシューズとはわかっているものの、例えばフォアフットで走るとどうなるかなど、フォームごとにどのような特性が出るのかをチェックしていきます。

まずフォアフットで走るとオーバープロネーションが強くなり、膝に負担がかかっているのを感じます。ソールの外側よりも内側の反りが大きく、小指側で着地して親指側に流れるときに、膝が内側に持っていかれる感覚が強く、フォアフットはNGだとわかります。

ミッドフットで着地してみると、オーバープロネーションはそこまで強くは感じません。ただ着地するたびに足がストップする感覚があり、一歩ずつ進んでいるような走り方になります。悪くはないのですが、安定性の高さとシューズの重さが推進力を消しているのかもしれません。

そして最後に踵から着地して、前足部に体重移動を行ったのですが、これは本当に楽です。何もしていないのに前に進んでいくため。リラックスして走れますし、どこまでも走っていけそうな気がします。初心者は踵着地になる傾向が強いので、そういう意味でもこれからランニングを始める人には向いてそうです。

逆に「フォアフットが正義」と学んできた人は、少し苦戦するかもしれません。素直にソール形状に合わせて踵着地してみてください。ただし、踵着地でも前方に足を伸ばすのではなく、できるだけ体に近い部分で着地してください。自然と足がローリングしてくれます。

ワークマンといえば980円シューズの「アスレシューズライト」で注目されましたが、アスレシューズライトはまったくクセがなく誰でも履きこなせるシューズでしたが、アスレシューズ ドリブンソールはソールが変形しにくいため、クセが強く走り方を選びます。その点だけ注意が必要かもしれません。

御殿場線66kmを走ってみた

試走をして感じたのは、下記の3点です。

  • 体重移動だけで前に進む
  • 全体的な安定性は高め
  • グリップ力が高くしっかりと地面をつかめる

走り方を間違えなければ、初心者でもそれなりの距離を走れるシューズです。おそらく日々のジョギングで10kmくらいを気持ちよく走るのに適しています。ただ、実際に走ってみた感覚からすると、ロング走への適性も高いように感じたので、神奈川から静岡までを結ぶJR御殿場線沿線66kmを走ってみました。

スタートは国府津駅になり、御殿場駅までなだらかな上りが続き、そこからは沼津駅に向かってひたすら下るコースです。久しくフルマラソンも走っておらず、長い距離は昨年の夏に走った30kmが最長ですので、やや不安でしたがアスレシューズ ドリブンソールの特性を信じてスタートしました。

ペースはあまり意識せずに、足裏を転がす感覚を重視して走ったので、最初は6分/kmを少し切るようなペース、5分50秒/kmくらいになっていました。国府津駅から御殿場線まで40kmくらいありますが、標高差は450mで平均傾斜は約1.1%とほとんど気になりません。

前足部が幅広くなっているので、足の指の自由度が高いので窮屈さもありません。ただ上りを走っているときには「あと50gほど軽くなるといいのにな」という感覚はありました。軽量のアスレシューズライトに慣れていると、このクラスの重さだと足を前に戻すときの微妙な遅れが気になります。

ただ、アスレシューズ ドリブンソールが本領発揮するのは御殿場駅から沼津駅までの緩やかな下りです。さすがに30kmを超えてからは6分30秒/kmくらいにまでペースが落ちて、やっぱり普段から走っていないとダメかなと思ったのですが、下り区間に入ってすぐに5分50秒/kmペースを取り戻します。

そこから徐々にシューズに乗る感覚がわかってきて、ペースが一気に5分30秒/kmまで上がります。上げたのではなく自然と上がります。日が暮れてからはペース感覚が鈍り、疲労も出てきたのでペースをやや落としましたが、足が勝手に動く感覚は変わりません。

駅の写真を撮りながら、急ぐことなく走ったのですが、結果的には66kmを7時間10分で走りきりました。スピードはともかく、足にトラブルがまったくなく、食事できる場所を探して沼津駅周辺を歩き回れるくらいの余力も残っていました。予想通り、アスレシューズ ドリブンソールは長い距離を走れるシューズだったわけです。

目的に合わせて選ぶランニングシューズ

ワークマンの新作であるアスレシューズ ドリブンソールは厚底で、一見するとサブ3を狙うランナーのためのシューズに見えますが、実際には速く走るための1足ではなく、無理のないペースで長く走るための1足です。初めてのランニングシューズとしても使えますし、ウルトラマラソンにもおすすめです。

反対にスピードを出してフォアフットで走るようなポイント練習には適していません。その気になればキロ3分を切るスピードを出すことができますが、膝などにかかる負担が大きくなりやすいので、そういう場面ではアスレシューズライトのような軽いシューズがおすすめです。

大事なのは目的を考えて選ぶということです。どのようなシーンで履きたいのかを自分なりに明確にしてシューズ選びを行いましょう。これはワークマンのシューズに限ったことではなく、どんなランニングシューズを選ぶときでも同じことで、目的が明確でないと最適なシューズを選ぶことはできません。

また、シューズとの相性というものもあります。私はフォアフットでオーバープロネーションになりましたが、骨格や筋肉の付き方は人それぞれですので、フォアフットのほうが合う人だっています。そうなるとシューズの特性や使い方が変わってきます。

ただシューズの形状などを考えれば、踵着地から前足部に抜けていく感覚で最大のポテンシャルが発揮されるので、まずはその方法を試してみてください。そのうえで、自分に合った走り方を探ってみましょう。値段も税込で1,900円とリーズナブルですので、気になるならまずは買ってみる。その価値は十分にある1足です。

アスレシューズ ドリブンソール商品概要

アスレシューズ ドリブンソールの発売は2月中旬を予定していますが、全国一斉というわけではなく、店舗ごとに入荷日が違います。気になるという人は、ワークマン公式オンラインストアをチェックしておきましょう。ただし、シューズはフィット感が大事なので、お近くのお店に並ぶまで待つほうがいいかと思います。

しばらくはマラソン大会もないわけですし、慌てず暖かくなってから購入でもよいかなと。GWあたりにアスレシューズ ドリブンソールを履いて旅ランなどよいのではないでしょうか。長い距離を走れば、きっとアスレシューズ ドリブンソールの良さを体感してもらえるはずです。

ワークマン公式オンラインストア

価格1,900円(税込)
サイズ24.5-28.0cm
重さ約300g(26cm)
発売日2021年2月中旬
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