マラソンの世界でもトップアスリートの多くが、ランニングパンツではなくタイツを着用するようになりつつあります。単純に空気抵抗が減るというメリットもありますが、実は最新のランニングタイツは、とてつもないテクノロジーが導入されています。
その中でも2XU(ツータイムズユー)は注目度が高く、以前ご紹介した記事もかなり多くの人が読んでくれました。ただ、そのときのレビューは廃盤になるモデルで「最新のモデルはもっとすごいから」と最新のタイツやアームスリーブなどを2XUからレビュー用に提供していただいたので、再レビューいたします。
12年ぶりにハーフマラソンで自己ベスト更新
まず、結果から書いておきましょう。東京・赤羽ハーフマラソンで、なんと12年ぶりにハーフマラソンの自己ベスト更新を達成しました。もちろん2XUのアイテムだけのおかげではありませんが、しっかりとサポートしてくれたという実感はあります。使ったアイテムは次の2つです。
タイツ:MCSランコンプショーツ MA5331B
アームスリーブ:フレックスアームスリーブ UA4009A
この日のレースは、フルマラソンに向けての調整レースで、あまり飛ばさないことを意識して前半はかなり抑え気味に走りました。ほとんど追い込まずに4分10秒/kmくらいのペースを意識し10kmまで行くと、足の疲労感がまったくないし、心肺機能も余裕が感じられたのでここでペースアップ。
1時間25分54秒と12年前の記録を30秒近く上回って、自己ベスト更新となりました。タイムそのものは人それぞれなので、あまり参考にはなりませんが、後半に失速することなく21km走れたというのは、間違いなく2XUの効果によるものです。
残り数キロで、少し疲労を感じはじめて「失速するかな」と不安になりましたが、そこで集中力を高めて加速できたのも、十分な力が残っていたからで、最後にひと踏ん張りしたことで、ハーフマラソンで初めて満足できるレースとなりました。
もうひとつの筋肉が追加された感覚を得られるタイツ
走りに大きな影響を与えたのは、MCSランコンプショーツです。以前のレビューで着用したのはELITEシリーズのタイツで、足の引き上げがスムーズにできるようになったという印象があります。今回のMCSランコンプショーツも引き上げ力を感じますが、同時に引き下げ力も感じます。
太ももを持ち上げるときもサポートされながら、地面を掴むために引き下げるときにもサポートされている感覚があり、その両方があるので足がどんどん回転していきます。それはまるでもうひとつの筋肉が追加されたような感覚です。
実際には筋膜になるのかもしれませんが、いずれにしても自分の体で使える筋肉が増えていて、しかもその筋肉は疲労知らず。自分の筋肉はそれだけ負荷が減りますので、いつもよりも軽く走っているつもりでも十分にスピードが出ています。むしろ、オーバーペースになるのを抑えなくてはいけません。
「ちょっとこれはズルいな」という気持ちになるくらい、タイツの効果が実感できます。MCSランコンプショーツは税抜で1万円ですので、ナイキのヴェイパーフライを買うよりも安いわけで、それと同等クラスのスピードアップ効果が期待できます。
1秒を削りたいランナーは、これを履かない理由はどこにもありません。
ちなみにMCSランコンプショーツはランニングパンツなしで履けるように、チャックの付いたポケットが2ヶ所あります。ちょっとした小物や鍵などを入れて走れるのはかなり便利です。私はiPhone SEを持って走るのですが、ジャストサイズに収まりました(大きいサイズはむずかしいかも)。
安定した腕振りができるフレックスアームスリーブ
走りそのものに影響を与えたのはMCSランコンプショーツでしたが、個人的にはフレックスアームスリーブも気に入っています。アームスリーブもMSCテクノロジーを導入して筋肉を保持できるアイテムがありますが、今回使ったのはワンランク下のアームスリーブです。
そもそも揺れて困るほどの筋肉が腕には付いていないので、私の場合にはどちらを利用してもそれほど変わらないのかもしれません。フレックスアームスリーブでも十分に効果を感じられますし、腕の振りがスムーズになるのが分かります。
私はあまり腕振りを重視しておらず、キロ4分台の後半くらいなら腕なんて振らなくてもいいと思っています。でも、キロ4分ジャストくらいになってくると、ランニングは全身運動になり、すべての動きを連動させることになります。
そうなったときに、最初から最後まで腕の動きが変わらないというのが理想です。ただ、集中力が切れやすい後半には腕の動きが乱れやすく、走りが不安定になります。ところがフレックスアームスリーブを使えば、最後まで変わらずに腕を動かすことができます。
ただタイツのように筋肉が追加されるという感覚ではなく、こちらはどちらかというと矯正器具のような感覚があります。ここにMCSテクノロジーがあるかないかの違いがあるのかもしれません。そういう意味では腕振りを重視するランナーさんは、MCSコンプレッションアームガードのほうが適しています。
抜群のリカバリー力があるパフォーマンスカーフスリーブ
実は今回提供いただいたアイテムの中に、パフォーマンスカーフスリーブがありました。ただ私はカーフカバーが苦手で、カーフカバーがあると足が重たく感じて走りにくくなるということもあって、レースでは着用しませんでした。
ただ、2XUのカーフスリーブは疲労軽減効果もあると説明を受けていたので、レース数日前から、寝るときに着用していました。実は東京・赤羽ハーフマラソンの直前にかなり疲労が残っていて、レースを回避しようかと思ったほどでしたが、カーフスリーブを使ったことで走れそうな感覚に戻りました。
実際に使ってみると、朝起きたときの足の細さに驚きます。すっきりとしたというよりもほっそりとするので、筋肉が落ちたのではないかと不安になるくらい足の見た目が変わります。もちろん疲労も抜けているのできちんとリカバリーできているのを実感できます。
人によってはマラソンで着用しても効果があるかとは思いますが、こちらもスポードを追求するなら「MCSコンプカーフガード」のほうがいいかもしれません。ただ疲労抜きをしたいだけなら、パフォーマンスカーフスリーブでも効果を実感できるはずです。
アイテムを有効に使うことが記録向上の近道
MCSランコンプショーツを履くのと履かないのとでは、ほとんどの人が履いたときのタイムが良くなるはずです。ただ、それは自分自身がレベルアップしたわけではないということをきちんと理解しておきましょう。だとすれば着用は無意味かというとそうでもありません。
例えばMCSランコンプショーツを使ってサブ3の壁を超えれば、それが自信になってさらに競技力が上がる可能性があります。心理的な壁を乗り越えるのにアイテムを使うのは決して悪いことではありません。大事なのは、このようなアイテムを使った後に、さらにもうワンランク上がる気持ちを持つということです。
アームスリーブやカーフスリーブも、リカバリーアイテムとして使えば、普段のポイント練習の質を上げることができます。しっかりリカバリーできるなら、ケガのリスクを下げることもできます。
アイテムを頼ることはおすすめしませんが、頼るのではなく上手に活用するのは悪いことではありませんし、むしろ積極的にしていきたいところです。なので、今の自分を超えていきたいという思いがあるのなら、ぜひ2XUのアイテムを手にしてみましょう。
2XU公式サイト:https://www.2xu.com/jp