思わぬニュースが飛び込んできました。中国で高い人気を誇るスポーツブランドの「361°(スリーシックスティワン)」。アメリカやヨーロッパでも、シェアを拡大しているところでしたが、ついに日本でも発売されることが決定しました。
現時点で発表されているのはシューズだけですが、361°はデザイン性の高いウェアも揃っているため、全アイテムを取り扱うようになったときには、日本でも愛用者が増えるかもしれません。そこで、ここでは「361°(スリーシックスティワン)」についての最新情報をご紹介していきます。
361°は中国で誰もが知る人気ブランド
361°の販売を行うゼットのプレスリリースを読むと、中国メーカーであることを表に出していませんが、361°は中華人民共和国福建省晋江市を拠点とするスポーツブランドです。まだ中国というと「安かろう悪かろう」のイメージが残っているので、世界的なブランドとして売り出そうとしているのかもしれません。
私は1年間に2〜3回中国を訪れていますが、中国に行くときの楽しみのひとつがスポーツショップに行くことです。中国には街のあちこちにスポーツブランドの直営店や系列店があり、日本とは違ったデザインのウェアやシューズが低価格で並んでいました。
10年前はそれらのブランドも、明らかに安っぽくてデザインも見劣りするものでしたが、行くたびにその質が高まっていて、ここ数年は「これはちょっと欲しいかも」と思うようなアイテムが徐々に増えています。その中でも361°は圧倒的なデザイン力で中国の若者を中心に人気があるスポーツブランドです。
最近ではガンダムとのコラボレーションアイテムが発売され、中国国内でも話題になりましたが、361°はガンダムとコラボができるくらいの規模のブランドで、世界的にも注目されています。
技術力という意味では、中国のトップブランドであるLi-ningには劣るという印象がありますが、その進化のスピードは速くランニングシューズでも、問題なく走れるシューズから、「あえて361°を選ぶ」レベルにまで到達しています。
フラグシップモデル「361-SPIRE 4」
2020年3月4日現在、361°のサイトではメンズ6種類、ウィメンズ5種類のランニングシューズがラインナップされていますが、最も力を入れて発売されることになるのが、カーボンシャンクを搭載した361-SPIRE 4です。
速く走るためのカーボンではなく、走りを快適にするための要素として取り入れているのがポイントです。このため、フルマラソンで1秒を削るような走りをするのには適していませんが、日々のランニングを心地よく楽しめるような1足です。
このシューズがフラグシップモデルになっていることからもわかりますように、現時点では勝ちにこだわるシューズというよりは、「もっとランニングを自由に楽しもう」という考え方が361°のベースにあります。
もちろん、361-SPIRE 4でフルマラソンを走れないわけではありません。ただ、片足286gとやや重たく感じるシューズですので、勝負シューズとしてはややスペック不足が否めません。ただ、足を入れてみると履き心地の良さに驚くことになるかもしれません。
そういう意味ではロング走やウルトラマラソンなどへの適性も期待できます。そして何よりも、日本のランニングシューズとはまた違ったデザインがほどこされていますので、ランニングだけでなく日常生活でのスニーカーとしての役割も期待できます。
残念ながら価格はそれほど安くない
361-SPIRE 4の値段を見て、以前から361°を知っている者としては驚きでした。税抜で16,800円という強気の価格。中国では361-SPIRE 3が899元(約13,800円)ですので、それよりも20%近く高い値段設定です(もしかしたら361-SPIRE 4は中国でも価格が上がっているかもしれませんが)。
ここ数年で中国の物価がかなり上がっていて、中国に行っても安いのは交通費と食費くらいのもので、何かを買おうとすると「日本で買ったほうが安い」と感じることが増えています。もう中国は安く買える国ではなくなっています。
中国国内でも、この価格設定ならNIKEなどと並ぶくらいの値段になります。それでも売れるという自信があり、なおかつそれだけのテクノロジーが導入しているという自負でもあるのでしょう。
そう考えると、いくら日本で発売されるとはいえ、現時点では中国に行ったときに買うというのが賢いかもしれません。今は情勢があまりよろしくありませんが、新型コロナウイルスの騒動が落ち着いて、中国への出張が再開されたら、中国で361°のショップを訪れてみてください。
もちろん日本でもスポーツショップに並ぶことになりますので、まずは足入れをしてみるのもいいでしょう。他の人とは少し違うシューズを履きたいなら、361°はとても魅力的なランニングシューズです。
ただやはりネックは価格と情報の少なさでしょうか。この値段の価値があるのかどうか試してみたいところです。発売は今月からということですので、機会があればどこまで走れるシューズなのかレビューしますので、楽しみにしていてください。
361°公式サイト:https://361sport.jp/