
中国の大手家電メーカー(総合テクノロジー企業)であるXiaomi(シャオミ)が、埼玉スタジアム2002にてランニングイベント「Xiaomi POP RUN JAPAN 2025」を開催しました。Xiaomi POP RUNは全世界で開催されているランイベントで、日本では3年連続3回目の開催となります。2年前の第1回イベントでは数十人の小規模開催でしたが、今年は300人の募集に対して700人を超える応募があり、抽選倍率2倍となる人気イベントになっています。
RUNNING STREET 365のスタッフはXiaomiの製品を愛用しており(空気清浄機、加湿器、ハンディクリーナー、ボールペンなど)、ずっとこのイベントに参加したかったのですが、残念ながら過去2回はタイミングが合わず。第3回となる今回、メディアとして参加させていただきました。ここではそんな「Xiaomi POP RUN JAPAN 2025」の内容をレポートしていきます。
Xiaomi好きゆえに、多少偏ったレポートになっていることはお許しください。
Xiaomiの認知度アップのためのイベント

Xiaomiについてどのようなイメージを持っているでしょうか?そもそもXiaomiを知らない人もいるかもしれませんが、多くの方にとっては、格安でスマートウォッチを販売、もしくはコストパフォーマンスの高いスマートフォン販売しているメーカーと言う印象が強いかもしれません。
実際にスマートフォンやスマートウォッチはXiaomiの強みであり、日本で力を入れて販売しているアイテムです。ところが中国では本格的な家電メーカーという位置づけで、北京などのXiaomiショップではエアコンや掃除機なども店頭に展示してあります(私はそれを見に行くのは好きなのですが)。

それどころか、Xiaomiは電気自動車も手掛けています。しかも度のアイテムもシンプルデザインで使いやすく、それでいて価格も安いということで、中国だけでなく、全世界にファンが増えています。実際にXiaomi Smart Band 10は、ベーシックスマートバンドとして、世界で一番売れています。
ただ、日本には世界的な国産家電ブランドがあり、その品質の高さから、海外ブランドがなかなか進出できずにいます。そんな日本の高い壁を超えていくために、まず必要なのが知名度で、「Xiaomi POP RUN JAPAN 2025」は知名度を上げるためのイベントという位置づけになります。

それもあって参加費は無料。それなのに今年の会場は埼玉スタジアム2002です(抽選でスタジアムツアー付き)。その上、かなりの数の豪華プレゼントが用意されていました。そしてスペシャルゲストとして埼玉スタジアム2002で活躍した、サッカー元日本代表の鈴木啓太さんがランイベントを盛り上げてくれました。それだけでXiaomiの本気度が伝わってきました。
この勢いで、まだ日本に入ってきていないXiaomiアイテムがどんどん日本でもラインナップが増えてくれるとXiaomi好きとしては嬉しいところです。ただ、それを実現するには、今の10倍くらいの規模にならないと難しいのかもしれません。もっとも、5年後に3000人規模のイベントにすると言われても、驚きはしませんが。
タイム計測なし!自分たちのペースで楽しむランイベント

「Xiaomi POP RUN JAPAN 2025」の会場は埼玉スタジアム2002。浦和レッズの本拠地でもあり、サッカー日本代表が名勝負を何度も繰り広げた会場です。しかもよくある「スタジアムの外周だけを走る」のではなく、サッカーコートの外側(芝生のないエリア)もコースに含まれています。
レース前には埼玉スタジアム2002のスタジアムツアーが行われ、実際に選手が使っているロッカーなどの施設を見学。抽選なので、すべての参加者が見学できたわけではありませんが、無料のランイベントに来て、スタジアム見学できるのはそれだけでも魅力的です。

その後、オープニングセレモニーと抽選会。抽選会ではXiaomiのオープンイヤーイヤホンやタブレット、プロジェクタが用意されており、そこでまず度肝を抜かれました。しかも、Xiaomiのプロダクトブースでも別に抽選会を実施。繰り返しますが「Xiaomi POP RUN JAPAN 2025」は無料のランイベントです。まるでバブル時代のようで、抽選会の景品がここまで豪華だと、取材しているこっちまでテンションが上がります。
そこからスタート地点に移動して、まずは5kmの部から走り始め、1時間後に2.5kmの部がスタートします。スタート地点はスタジアムの2階の外周ですが、そこからスロープを使ってグランドレベルまで降り、そこからサッカーコートの外側を走ってまた外周を走ります。1周2.5kmで、5kmはそれを2周します。

少し複雑なコースになっていて、誘導ミスもありましたが、そもそもタイムを計測しているわけでもなく、それぞれがベストを尽くして楽しみながら走るランイベント。誘導ミスに腹を立てる人もいませんし、そもそも誘導ミスに気づいていない人のほうが多かったかもしれません。
もちろん本気で走っていた人もいますが、家族や友人とおしゃべりしつつ、埼玉スタジアム2002という特別な場所のランニングを楽しむ。そもそもこの会場だから参加したという浦和レッズファンも多く、ゴール後に鈴木啓太さんがメダルをかけ、握手してくれたことで感激している参加者もいて、とても和やかな雰囲気での開催となりました。

Xiaomi Smart Band 10を活かせる環境が理想

メディアとしての参加だったのもあり、今回は貸していただいた「Xiaomi Smart Band 10」を使って走りました。Xiaomi Smart Band 10は6,000円台で買えるスマートバンドで、ランニングや睡眠のログなどを残すことができます。もちろん、走っているときのペースや距離も。
ただ、Xiaomi Smart Band 10は GNSS(GPS)を搭載していないので、位置計測の精度は接続しているスマートフォンの位置計測精度に依存します。そしてスマートフォンの多くが(iPhoneも!)搭載しているGNSSが高精度のものではなく(シングルバンド)、建物の陰などに入ると位置計測ができません。

今回はXiaomiユーザーも参加しており、私と同じようにXiaomi Smart Band 10を使っていたユーザーの中には、きちんと測定できていない人もいたかもしれません。これはXiaomi Smart Band 10が良くないという話ではなく、Xiaomi Smart Band 10が(正確には手持ちのスマートフォンが)、今回のコースと相性が良くないという話です。
埼玉スタジアム2002を走れるのはとても魅力的で、埼玉スタジアム2002だからエントリーしたという方もいたはずです。でも、Xiaomi Smart Band 10との相性を考えると、もっとも開けた場所のほうが適していたような気がします。

「Xiaomi POP RUN JAPAN 2025」はXiaomiに魅力を感じてもらうためのイベント。ところがXiaomi Smart Band 10を使った印象としては「ここでは使えない」でした。私はその理由をわかっており、しかもこうなることも予想していましたので、それがネガティブな評価になりませんが(何よりもXiaomiが好き)、人によっては「Xiaomiもまだまだ」といった評価になりかねません。
Xiaomi好きとしてはそれだけはあってはならないことなので、次回以降は空が開けた場所で開催してもらいたいなと(それはそれで本当にいいことなのかはわかりませんが)。ちなみにXiaomiにはデュアルバンドGNSSを搭載した「Xiaomi Watch S4」があります。決して高精度測定の技術がないわけではないということは付け加えておきます。

ランイベントの新しい可能性を感じた「Xiaomi POP RUN JAPAN 2025」

Xiaomiを知ってもらうという意味では成功だった「Xiaomi POP RUN JAPAN 2025」ですが、誘導ミスや会場選びという点において、まだまだランイベントとしての課題は感じました。ただ、参加人数を絞っており、むしろ今のうちに課題を浮き彫りにして、未来に繋げようとしているのかなとも感じました。
そういう意味ではXiaomi POP RUN JAPANが10回目を迎えたとき、どんな姿になっているのか楽しみでしかありません。そして、スマートウォッチを出しているとはいえ、家電メーカーがランイベントを開催する。このチャレンジは新しい可能性を感じます。

Xiaomi POP RUN JAPANがさらに大きくなれば、同じようにランイベントを通じて知名度アップを始めようとする企業がでてくるかもしれません。たとえば自社のお菓子をエイドに出すランイベントでもいいわけです。温泉街をアピールするランイベントとかもできます。
それはランニングがよりオープンなものになるきっかけにもなります。「Xiaomiのイベントを走ってみたい」がランニングを始めるきっかけになる(そういう意味では埼玉スタジアム2002開催は魅力的ですが)ように、「◯◯のイベントを走ってみたい」となるイベントが増えれば、ランニング業界はもっと活性化します。

とはいえ、イベントには費用が掛かりますので、どこでもXiaomiと同じように大きな予算をかけてイベントをできるわけでもありません。そう考えると、Xiaomiというメーカーの大きさや勢い、本気度がより伝わってきます。
「Xiaomi POP RUN JAPAN 2025」はXiaomiが大切に育てていくイベント。そして、1人のXiaomi好きとして、このイベントを1人でも多くの人に知ってもらいたい。だから声を大にして「来年もXiaomi POP RUN JAPANが開催されるなら、ぜひ参加してください」とお伝えしたい。
抽選会があまりにも羨ましかったので、来年は私もラン仲間を誘ってエントリーするつもりです。