【シューズレビュー】速さも楽しさも備えたスタンダードモデル「On Cloudmonster 3」

ランニングシューズとしてもファッションアイテムとしてもブレイクしたOnの「Cloudmonster」。インパクトの強いデザインからは想像できない圧倒的なクッション性と反発力で、多くのファンを獲得。そんな「Cloudmonster」の新作「Cloudmonster 3」が登場しました。

その独特なデザインから、本格的にランニングと向き合っているシリアスランナーから敬遠されがちで、失礼ながら私も「おもちゃ」だと思っていました。でも、Onから提供していただき、実際に走ってみると考えが180°変わりました。そこで今回は、Onの人気モデル「Cloudmonster 3」をレビューしていきます。

目次

想像していたよりも厚底ではない Cloudmonster 3

私のイメージで申し訳ないのですが、「Cloudmonster」はソール厚さが40mmを超える超厚底ランニングシューズだと思っていました。正確な情報はありませんが、初代も2代目もヒール厚さが40mm以下で、きちんと競技規則内に収まっています。

そして「Cloudmonster 3」はUSのプレスリリースでの公表値が「35mm」。提供いただいた25.5cmのサイズで簡易計測した数値も35mmでしたので、厚底ランニングシューズの中でも、実はそれほど厚さがないモデルということになります。

今回は3層構造になっている(具体的にどう3層構造なのかは私にはわかりませんが)ということで、見た目も厚さが増しているように感じるため、余計に厚底感が強まっているのも影響しているかもしれません。いずれにしても、超厚底でもなければ、どちらかといえば最近のランニングシューズの中では薄い傾向にあります。

想像と違ったのはもうひとつ。「思ったよりも重たい」ということです。これは履いて最初に走ったときには気づきませんでした。公表値はUS8.5(26.5cm)で295g。25.5cmの実測値で273g。私の手元にあるランニングシューズの中でもかなり重たい部類に入ります。

興味深いのは、走ったときには重さを感じなかったという点です。確かに履いて足を上げた瞬間に「軽い」と感じることはありませんでした。なので軽量ではないのはわかりますが、ここまで重いことは完全に想定外でした。

ただ「Cloudmonster 3」が示してくれたのは、「重さはただのスペックでしかない」ということです。詳細はこのあとレビューしていきますが、シューズが重たくてもそれを打ち消すテクノロジーが搭載されているのでしょう。

Cloudmonster 3 の個性的なデザインに隠された高い技術力

Cloudmonster 3 のフィット感は「薄く吸い付く」感覚があります。これは自分の足に合っているというのもあるのですが、他のメーカーのシューズでは体験したことのないフィット感です。優しく包み込むのではなく、皮膚のような一体感でもなく、スマホの保護ガラスフィルムのように吸着します。

サイズ感も普段履いているシューズのサイズ(25.5cm)でぴったり。前足部はスクエアトゥに近い形状なっていて、指の自由度が確保されているため、足の形がエジプト型(親指が出ている)の私でもストレスがありません。ただし、足の自由度が高くなるほどスピードは出しにくくなるので、ここは好みがわかれるところかもしれません。

そして、特筆すべきは立ったときの安定感。それは Cloudmonster 3 がレースシューズではないことを意味するのですが、立っても歩いても、走っても軸がブレることがありません。ただ、体重を前掛かりにするとロッカー構造が効いて、推進力が生まれます。

以前のプチレビューでもお伝えしましたが、最も驚いたのはクッション性でも反発性でもなく、アウトソールのグリップ力です。スイスのブランドだけあって、凍結した路面でも想定しているのか、どのような路面でも地面をきっちり掴んで離さないので、足裏を起点にグイグイ進むことができます。

それでも安心して着地できるので、スピードを出しても体の動きに余裕があります。キロ3分台でも筋力面で無理している感覚はなく(心肺機能面で無理しているので長くは走れませんが)、とても270gオーバーのシューズとは思えません。

ただ、Cloudmonster 3 の本質がアウトソールにあるとすれば、シューズの寿命はアウトソールの減り具合で決まることになります。今回はアウトソールの耐久性を上げたとのことですが、それは逆説的にアウトソールがとても重要であることを示しており、走り方によってはシューズ寿命が思ったよりも短くなる可能性があります。

また走っていて反発性はそこまで強く感じませんが、シューズの重さを感じないということは、実際にはかなり反発しているのでしょう(反発性が重さを相殺している)。その証拠として、ゆっくりダラダラ走ると足を重たく感じ、しっかり地面を踏むように着地すると軽々走れるようになります。

トータルで考えると「良いシューズ」となるのですが、それを実現するためにかなりのテクノロジーが導入されているのを感じます。Onのブランドイメージとしては、洗練されたおしゃれな人たちが選ぶブランドという印象がありますが、実際にはとてつもないテクノロジーを持ったブランドというのが Cloudmonster 3 を履いたあとの印象です。

唯一無二のソール形状も、何度も解析とテストを繰り返したことは容易に想像でき、それでいてクオリティに対する妥協を許さない姿勢。それが特定の開発者によるものなのか、OnのDNAによるものなのかはわかりませんが、高いテクノロジーを持っていることだけは間違いありません。

「洗練されたおしゃれさ」はOnの販売戦略であり、それでいて高いテクノロジーを保有していることを悟らせないための隠れ蓑なのかもしれません。難しいことは置いておき、ユーザーに好きかどうかだけを問いかける。そして、それは見事に成功しているような気がします。

Cloudmonster 3 での走行データ考察(Runmetrix)

ジョグペース
レースペース

感覚だけでは Cloudmonster 3 の魅力を伝えきれませんので、Runmetrixを使って走った結果を見てもらいましょう。左がジョグペースで右がレースペースです。数日前にフルマラソンを走ったばかりなので、レースペースはやや遅めですが、とてもわかりやすい結果が出ています。

共通しているのは「安定した姿勢」の評価点が高いということ。いくつものランニングシューズをレビューしてきましたが、これくらいの数値が出るのはほとんどありません。初心者向けの安定性重視のシューズと同等、それ以上の安定性を備えていることがわかります。

そしてジョグペースでは「スムーズな重心移動」、レースペースでは「骨盤を軸とした全身の連動」の評価点が高くなっています。これはペースによってまったく違う一面を持っていることを意味します。

ジョグでは反発力ではなくスムーズな体重移動を促すロッカー構造が効いていて、レースペースくらいの踏み込みになると反発力が発揮されて連動性のある動きを促してくれる。ペースごとの特性の変化は狙ったものかどうかはわかりませんが、Onのテクノロジーを考えれば「狙い通り」の可能性があります。

もちろん走り方も影響するため、他のランナーがテストした場合にはまた違った結果が出るはずです。あくまでも私の場合ということで認識してもらいたいのですが、今回の結果から「Cloudmonster 3 はジョグでもスピード練習でも使えるシューズ」と判断しました。

それはゆっくり走るランニングの楽しさも、スピードを出して走る気持ちよさもどちらも手に入るということ。個性的でありながらも、ほとんどのランナーに寄り添ってくれる。Cloudmonster 3 はそんなランニングシューズです。

フルマラソン以外なら Cloudmonster 3 だけあればOK

冒頭でもお伝えしましたが、私はこれまでOnのランニングシューズの大胆なデザインから、どことなくその機能性については疑っているところがありました。実際に過去にシューズトライアルなどで履いたときには、そこまで魅力を感じることもありませんでした。

そこからOnのシューズが進化したのか、それとも私が変わったのかはわかりませんが、はっきりしているのは Cloudmonster 3 がとても魅力的な1足だということです。基本的にフルマラソン以外なら Cloudmonster 3 だけ持っていれば問題ありません。

ハーフマラソンなら最後まで反発力を維持できそう(18〜19kmくらいで苦しくなりそうですが)ですし、ジョグもできればペース走もOK。ここまで安定性があればスクワットやジャンプなどのフィジカルトレーニングにも使えます。

私は軽量なランニングシューズを好むので、もう少し軽いほうが好みですが、軽くなったことで反発性や安定性が損なわれる可能性もあるわけで、そうなるくらいならこの重さも許容します。きっと、この重さも含めてベストバランスだと判断してのこと。

初代Cloudmonsterや Cloudmonster 2 を履いていないので、比較はできませんが、少なくともはじめてCloudmonsterを履くという人や、はじめてOnのシューズを履くという人にも、自信を持って進められる1足です。

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この記事を書いた人

重松貴志のアバター 重松貴志 ランニングトレーナー

東京・神奈川エリアを中心に「走れるためのカラダづくり」をベースとしたパーソナルトレーニングを実施。ランニングを始めたいという初心者から、自己ベスト更新を狙うシリアスランナーまで幅広くサポートしています。

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