2,900円ランニングシューズは使える?ワークマン「Neoism N-TECH BOOST」を徹底レビュー

ランニングシューズは1.5万円するのがあたり前になってきて、これからランニングを始める人や2〜3か月でシューズを1足履き潰すシリアスランナーにとって、ランニングシューズが高すぎというのは悩ましい問題のひとつ。

そんな問題を解決してくれるランニングシューズ「Neoism N-TECH BOOST」がワークマンで販売されています。軽量かつスタイリッシュで、見た目はどこからどう見てもランニングシューズ。それでいて2,900円という破格。気になるのは「本当に走れるの?」ということですよね。

そこでここでは、ワークマンアンバサダーという立場なのに、本音でレビューしたいからという理由で自腹購入してRUNNING STREET 365スタッフの私が、「Neoism N-TECH BOOST」を徹底レビューしていきます。

目次

Neoism N-TECH BOOST はワークマンの軽量モデル

ワークマンのランニングシューズとしては、発売されたばかりの「ハイバウンス ファントムライド SG390」が店舗でも目を引きますが、「Neoism N-TECH BOOST」も同時期に店舗に並んでいます。

「ハイバウンス ファントムライド SG390」ほど推されていないのは、ワークマンが開発したシューズではなく、埼玉県行田市にあるセーフティシューズメーカーであるサノシューの製品であるためです。ワークマンは自社製品以外にも、こうした協力会社のアイテムもラインナップしています。

そんな「Neoism N-TECH BOOST」ですが、最大の特徴は「軽量であること」です。ただ、超軽量というわけではなく、スタンダードなランニングシューズと同等レベル。具体的には25.5cmの実測値が250gですので、驚くほどの軽さというよりは、「これならいけそう」と感じるくらい。

「ハイバウンス ファントムライド SG390」の25.5cmで301gでしたので、50gの差はかなりあります。

また、アッパーに反射糸を織り込んでいるのも、他のランニングシューズにない特長です。これにより夜間のランニングでも車からの視認性が上がり、事故のリスクを軽減できるといったメリットがあります。

さらにかかと部分のホールド感があるので、履いたときの安心感もあります。

ちなみに製品説明に「高反発ソール」との表記があるのですが、これについては後ほど詳しくレビューしますが、おそらく多くの人が想像している「高反発」とは違います。ランニングシューズの「高反発」というよいは、マットレスの「高反発」に近く、沈み込みがないタイプだと考えてください。

ただし、かかと部分はクッション性と反発性があり、ヒールストライクでウォーキングすると反発を感じながら歩くことは可能です。ランニングになるとその恩恵がなくなり、「反発を感じないソール」という印象に変わります。

Neoism N-TECH BOOST の気になる3つのポイント

2,900円という驚きの価格の「Neoism N-TECH BOOST」ですが、当然ながら1.5万円以上するようなランニングシューズと比べると不満に感じる点はあります。気になったポイントは3つ。

  1. インソールが柔らかすぎる
  2. クッション性のない硬いミッドソール
  3. 普段履きしにくいデザイン

それぞれの気になるポイントについて、詳しく説明します。

インソールが柔らかすぎる

実際に足入れをしてまず感じたのが、インソールが柔らかすぎるということです。すでにお伝えしましたように、ソールが沈み込まないので、ソール単体ではクッション性を感じにくく、それを補うためにふかふかしたインソールを採用したのだと考えられます。

ここは好みがわかれるところで、私は弾性のないふかふか感が得意ではないので、履くたびにインソールの柔らかさが気になります。逆に初心者ランナーだと、ふかふかした履き心地が安心感に繋がるかもしれません。

このため、私は手元にZAMSTのオーダーメイドインソールがあったので、そちらに交換しています。交換した結果どうなったのかは、後ほど走行データと合わせてご紹介します。いずれにしても、インソールを交換できるタイプなので、この問題はすぐに解決します。

むしろカスタムできるポイントとして、ポジティブに受け取ることもできます。

クッション性のない硬いミッドソール

Neoism N-TECH BOOST 最大の特長ともいえるのが、機能性のないミッドソールだと私は感じています。どのランニングシューズもミッドソール素材にこだわっており、そこが現在のランニングシューズ価格の高騰につながっているのですが、シューズの個性を生み出す重要なポイントになります。

でも、Neoism N-TECH BOOSTにはその個性がありません。もちろん軽量であるといった個性はありますが、沈み込みのない高反発ということもあり、中国メーカーの低価格帯ランニングシューズと同じように、ほとんど反発しません。

今どきのランニングシューズは、とにかく反発を重視しており、厚底になっているのも「より高いクッション性と反発性」を実現するためです。でも、Neoism N-TECH BOOST はクッション性も反発もないけど、ソールが少しだけ厚くなっています。

これなら、ソールを薄くしてもう少し軽いほうが日本人ランナーにはウケそうなのですが、厚底トレンドは抑えたいという考えがあったのかもしれません。

ただ、クッション性も反発性もないことは、必ずしもネガティブなことではありません。冷静に考えれば「それ本当に必要?」となる機能であり、レースはともかくトレーニングにおいては「不要」と考えることはできます。

普段履きしにくいデザイン

Neoism N-TECH BOOST はワークマンのランニングシューズとしては珍しく、「ランニングシューズらしいデザインのランニングシューズ」です。それはいいことのように思えますが、最近のトレンドは「街履きできるデザイン」であり、このデザインは1〜2周遅れなのは否めません。

もちろんランニングで履くだけなら問題ありません。カラーは水色と黒色の2食展開ですが、水色は個人的に好みではないということで、合わせるウェアが手元にほとんどありません。黒色は好きなのですが、ソールまで黒色なのはやはり好みではありません(これは完全に好みの話ですが)。

もう少しなんとかならないかということで、シューレースを白に交換してみました。

シューレースを白くすることでレトロ感が出て、ファッションアイテムとしても使えそうです。もっと遊び心を加えるなら、シューレースを黄色にするのもありかもしれません。いずれにしても、シューレースでイメージが変わるので、ここもインソールと同じく「カスタムできる」と受け取ればOK。

ちなみにシューレースは店舗によってはワークマンでも販売しています。

走行データ分析&「ハイバウンス ファントムライド」との比較

先に気になる点をお伝えしましたが、個人的にはあらゆるランナーにおすすめできるシューズだと判断しています。その理由は「ストレスなく走れる」ことにあります。まず重たくないことが重要で、フィット感もワークマンのシューズの中では高いモデルになります。

弾むような反発はありませんが、それだけのことです。では、その弾むことのないシューズには、どのような特性があるのか、Runmetrixでの分析結果を見ていきましょう。

ノーマルインソールとオーダーメイドインソールの比較

まずは個人的には「好みではない」としたノーマルインソールと、オーダーメイドインソールでどのような違いがあるのかを確認しつつ、ジョグとレースペースそれぞれのランニング解析の結果を見ていきましょう。

ジョグペース

ノーマルインソール
オーダーメイドインソール

まずはジョグペースでノーマルインソールとオーダーメイドインソールで、走りがどう変わってくるのかを見ていきましょう。オーダーメイドインストールは走りが安定するように形作られているだけで、そもそもクッション性を持たせていないため、着地での衝撃吸収は明らかにノーマルインソールが勝っています。

ただし、オーダーメイドインソールにしたことで姿勢が安定し、さらに重心移動もスムーズになっています。ペースはやや上がっているのもかかわらず、動きの力強さが下がっているのは、おそらく軽く走れているためです。

レースペース

ノーマルインソール
オーダーメイドインソール

レースペースに上げると、インソールを変更したことによる特性の違いがほとんどなくなります。これはノーマルインソールではスピードを出したときの着地衝撃を受けきれていないためと考えられます。

姿勢の安定性も崩れ、重心移動も雑になっています。スコアはあまり変わっていませんが、どちらも力任せでスピードを出しているのがわかります。一般的なランニングシューズは、スピードを出すことで高い反発性を生み出し、軽く走れるのですが、Neoism N-TECH BOOSTにはその恩恵がないことがはっきと現れています。

もっとも、厚底化する前のランニングシューズの多くは似たような傾向にあり、ある意味でオールドスタイルのランニングシューズともいえます。昨今の高反発シューズに慣れていると物足りなく感じるかもしれませんが、足を鍛えるという意味ではこのシューズの強みにもなります。

「ハイバウンス ファントムライド」との比較

ワークマンを代表する人気ランニングシューズとなった「ハイバウンス ファントムライド」ですが、Neoism N-TECH BOOSTとどちらを選ぶか迷っている人もいるかと思いますので、「ハイバウンス ファントムライド」との比較も見ていきましょう(Neoism N-TECH BOOSTはノーマルインソール)。

ジョグペース

Neoism N-TECH BOOST
ハイバウンス ファントムライド

ジョグペースで走る場合、結論からいえば Neoism N-TECH BOOST のほうが優れているという結果になりました。ただ、安定感はハイバウンス ファントムライドのほうがありますし、反発を利用して全身を使った走りもハイバウンス ファントムライドのほうができています。

ただ、やはり重さが影響して着地が雑になっています。走りのスムーズさもありません。とはいえ、これくらいの差であれば「好み」の範囲内で、ハイバウンス ファントムライドを選んだから失敗というわけではありません。ジョグペースなら、どちらのほうが好きかで選んでOKです。

レースペース

Neoism N-TECH BOOST
ハイバウンス ファントムライド

レースペースでは、かなり興味深い結果になりました。すでにお伝えしましたように、Neoism N-TECH BOOSTは動きの力強さとトレードオフとして安定性や接地の柔らかさを損なっていますが、ハイバウンス ファントムライドはその傾向がさらに顕著になり、走りのバランスが完全に崩れています。

Neoism N-TECH BOOSTはレースペースでも走れないことはないのですが、ハイバウンス ファントムライドはレースペースで走ってはいけないシューズということになります。ジョグ専用という割り切った使い方をするならハイバウンス ファントムライドもありですが、スピードを出すこともあるならNeoism N-TECH BOOST一択になります。

そういう意味では、健康のために30分くらい走るというのであれば、どちらも選んでOK。見た目の好みで選んで構いませんが、マラソン大会も視野に入れるなら、選択肢は「Neoism N-TECH BOOST」のみ。もちろん、ハイバウンス ファントムライドをジョグシューズと割り切って、スピードを出すシューズは別に選ぶという考え方もあります。

私もデザインが気に入って、ジョグは「ハイバウンス ファントムライド」を選んでいます。街履きできるデザインも気に入っています。でも、スピード練習には使わないし、マラソン大会で履くこともありません。

「Neoism N-TECH BOOST」もマラソン大会に向いているとは言い難いのですが、走れないことはありません。スペックは低くても、しっかりとしたランニングシューズであり、だからこそランナーにおすすめしたい1足としています。

あらゆるランナーのベースシューズになるNeoism N-TECH BOOST

データからもわかりますように、Neoism N-TECH BOOST は1.5万円するようなランニングシューズには劣りますし、速く走ったときにも推進力を受けることができません。何もチューニングされていませんし、Neoism N-TECH BOOST だけの特別な機能も個性もありません。

では魅力がないのかというとそんなことはなく、むしろ普段のトレーニングに履くシューズとしては、「最強」の1足になります。なぜなら、このシューズは2,900円しかしないから。仮に寿命が1,000kmだとして、月間300km走るランナーなら年間で4足、11,600円にしかなりません。

アウトレットで9,000円のブランドシューズを4足買ったら、36,000円にもなります。そんなには出せないからといって、シューズが寿命を迎えているのは履き続ける人もいますが、Neoism N-TECH BOOSTならその必要はありません。

シューレースとインソールを交換しても、それらは次のシューズに引き継げば追加費用はかかりません。

反発力やクッション性といった機能が低いものの、トレーニングでそれらが必須になるシーンはありません。トレーニングは筋肉や心肺に高い負荷をかけることとを目的にしているので、むしろ高機能であることがトレーニング効果を下げている面もあり、機能が低いNeoism N-TECH BOOST は高いトレーニング効果を期待できます。

それでいて、「ハイバウンス ファントムライド SG390」のような重さもありません。個人的には「ハイバウンス ファントムライド SG390」のデザインが好きなので、そちらをメインに使っていますが、シューレースを変えれば、Neoism N-TECH BOOSTも悪くありません(できればオールホワイトのモデルが欲しいのですが)。

これからランニングを始めるのに高価なシューズを買うのは躊躇する。シューズは消耗品だから安ければ安いほうがいい。そんなランナーはもちろんのこと、あらゆるランナーにとって「Neoism N-TECH BOOST」はベースとなるランニングシューズです。

気になっているなら間違いなく「買い」です。ぜひ最寄りのワークマン店舗で試し履きをしてみて、フィット感に問題がないようなら、即決で自宅に連れて帰りましょう。

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この記事を書いた人

重松貴志のアバター 重松貴志 ランニングトレーナー

東京・神奈川エリアを中心に「走れるためのカラダづくり」をベースとしたパーソナルトレーニングを実施。ランニングを始めたいという初心者から、自己ベスト更新を狙うシリアスランナーまで幅広くサポートしています。

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