
Garminが定番のランニングウォッチ「Forerunner 55」が「Forerunner 70」、「Forerunner 165」が「Forerunner 170」にそれぞれアップデート。円安の影響もあって、ランニングウォッチが高額になっているなかで、「Forerunner 70」は39,800円と、お手頃価格になっています。
「それくらいなら出せそう」となったランナーもいるかと思いますが、「Forerunner 70」も「Forerunner 170」、利用する人を選ぶランニングウォッチです。購入してから後悔しないためにも、それぞれの特長と合わせて、値段だけで購入を决めてはいけない理由とどんなランナーに適しているのかをご紹介していきます。
新モデルを値段だけで購入を决めてはいけない理由

これまで、低価格帯のForerunnerには、このようなコーチング機能やサポート機能が搭載されておらず、日々のランニングログを残す程度の役割しかありませんでした(Forerunner 165にはSuica機能や音楽再生機能がありましたが)。
ところがForerunner 70 と Forerunner 170には、新機能として初心者用のGarminコーチやおすすめワークアウトなど、初心者ランナーに特化したトレーニング機能やガイダンス、リカバリーサポートが搭載されました。
このため、どのようにしてトレーニングメニューを決めればいいのかわからないという初心者ランナーにとって、とても魅力的なランニングウォッチへと進化しています。ただし、この2つのモデルには「おすすめ」と言いづらい理由が2つあります。
デュアルバンドGNSS(デュアルバンドGPS)非対応
Garminのランニングウォッチはアンテナ設計に優れており、GPSの精度が高く、シングルバンドGNSSとデュアルバンドGNSSで大きな差はないとも言われています。仮にそれなりの精度差があったとしても、初心者ランナーであればシングルバンドGNSSで基本的にはまったく問題ありません。
ただ、東京マラソンのような高層ビルの間を走るような場合には、どうしてもシングルバンドGNSSの計測精度は落ちてしまいます。だから、運よく東京マラソンに当選したときにこう思うわけです。「やっぱり上位モデルが欲しい」と。
実際に精度がどれくらい高いかということよりも、不安をひとつでも消したいという思いから、よりよい精度で計測できるForerunner 265などの上位機種が欲しくなります。
また、中級者以上のランナーで、これまでデュアルバンドGNSSを使ってきたものの、値段が安いという理由でForerunner 70 や Forerunner 170に買い替えた場合、これまでと計測結果が少し違ったり、周りのランナーよりも計測精度が低いと感じたときに後悔することになります。
人気メーカーにこだわらなければ、デュアルバンドGNSS搭載のランニングウォッチを2万円以下で購入できます。そうなると「Forerunner 70」の39,800円は、計測精度の面だけで考えると割高感もあります。もちろん、機能も充実しており、信頼性も考慮すれば、必ずしも割高というわけではありませんが。
ナビゲーション機能が搭載されていない
また、Forerunner 70 と Forerunner 170はいずれもナビゲーションに対応していません。もちろんオフラインマップにも対応していません。ロードを走る場合、マップの有無はそれほど大きな問題ではありませんが、トレイルランニングを走るとなったとき、オフラインマップは自分の命に関わる機能になります。
コースをロストしたときに、スタート地点に戻れる機能が搭載されていると、安全かつ確実に遭難のリスクを回避できます。だから、トレイルランニングを始めたときに、どうしたって上位機種が欲しくなりますし、先輩ランナーに買い替えを促されるかもしれません。
もっともナビゲーションに非対応というのがGarminの数少ない弱点のひとつであり、単体で地図を表示したいなら「Forerunner 965」や「Forerunner 970」を購入する必要があり、それはほとんどのランナーにとってオーバースペックで高価格になってしまいます。
このため、トレイルランニングを始める可能性がある。もしくは、すでにトレイルを走っているというのであれば、「epix Pro」や「Enduro 3」などの10万円以上するモデルを選ぶか、他社のランニングウォッチを選ぶ必要があります。
Forerunner 70 & Forerunner 170 の魅力


安いというだけで「Forerunner 70」や「Forerunner 170」を選んではいけない理由をお伝えしましたが、これらのランニングウォッチに問題があるというのではなく、「安いのには理由がある」というだけの話です。
まず、はっきりさせておくことは「Forerunner 70」や「Forerunner 170」は、ランニング初心者、およびランニングウォッチ初心者のために開発した新モデルであるということです。
- Forerunner 70
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ランニング初心者に向けて、無理なくモチベーションを高め、“続けられる”トレーニングをサポート。
- Forerunner 170
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ランニングを日常に取り入れ、ランニングイベントを楽しみたい方のためのモデル。さらに音楽のあるランニングを楽しみたいという方のために「Forerunner 170 Music」をラインナップしています。
いずれも軽量で、Forerunner 70は40g、Forerunner 170は41gしかありません。さらに稼働時間もたっぷりあり、Forerunner 70は約23時間、Forerunner 170は約20時間の計測ができます。5ATM防水だから、防水性能も十分にあります。
また、いずれのモデルも初心者ランナー向けのランニング・トレーニング機能を強化しています。
Garminのオリジナルコーチングシステム「Garminランニングコーチ」に初心者用のワークアウトを追加。強度やボリュームを抑えたワークアウトや、ラン/ウォークメニューを含むパーソナライズされたトレーニングメニューの中から、今のパフォーマンスや体の回復状況に応じて、無理のないトレーニング内容を提案してくれます。
「Forerunner 70」と「Forerunner 170」の違い
お手頃価格のForerunner 70と、少し高額なForerunner 170。その違いは搭載されている機能にあります。
| Forerunner 70 39,800円 | Forerunner 170 47,800円 | |
|---|---|---|
| Garmin Pay | ||
| 3軸コンパス | ||
| 音楽機能 | Forerunner 170 Musicのみ対応 |
Suica機能を使いたい場合や標高の高い場所でランニングを行う場合には「Forerunner 170」。さらにスマホなしでも音楽を聴きながら走りたい場合は「Forerunner 170 Music」という選択肢になります。
いずれも該当しないなら、39,800円の「Forerunner 70」で問題ありません。
「Forerunner 70」でも、ランニングの距離や速度、心拍だけでなく、VO2 Max、ピッチや歩幅、接地時間(GCT)などのランニングフォームに関する指標を計測できる「ランニングダイナミクス」、など、ウォッチのみでさまざまな計測ができる機能を搭載しています。
もちろん睡眠管理もできますし、疲労具合もすぐにわかります。
製品仕様


【製品仕様】
| Forerunner 70 | Forerunner 170 | Forerunner 170 Music | |
| 重量 | 40g | 41g | 41g |
| サイズ(W×H×D) | 42.6 x 42.6 x 11.9 mm | 42.6 x 42.6 x 11.9 mm | 42.6 x 42.6 x 11.9 mm |
| ディスプレイサイズ | 直径1.2インチ | 直径1.2インチ | 直径1.2インチ |
| ディスプレイ種類 | AMOLED | AMOLED | AMOLED |
| ピクセル数 | 390×390ピクセル/カラー | 390×390ピクセル/カラー | 390×390ピクセル/カラー |
| ベゼル素材 | ポリマー(樹脂) | ポリマー(樹脂) | ポリマー(樹脂) |
| レンズ素材 | 強化ガラス | 強化ガラス | 強化ガラス |
| 発売日 | 2026年5月28日 | 2026年5月28日 | 2026年5月28日 |
| 価格 | 39,800円(税込) | 47,800円(税込) | 55,800円(税込) |
稼働時間
| Forerunner 70 | Forerunner 170 | Forerunner 170 Music | |
| スマートウォッチモード | 約13日間 | 約10日間 | 約10日間 |
| バッテリーセーブモード | 約28日間 | 約19日間 | 約19日間 |
| GPSモード | 約23時間 | 約20時間 | 約20時間 |
| マルチGNSS | 約16時間 | 約14時間 | 約14時間 |
| 音楽モード | – | – | 約6.5時間 |
搭載機能
| 防水機能 | 5ATM(50m防水) |
| 接続機能 | Bluetooth、 ANT Wi-Fi(Forerunner 170 Musicのみ) |
| 衛星測位 | GPS/GLONASS/Galileo/BeiDou/みちびき(補完信号) |
| センサー | 光学式心拍センサー(第4世代) 電子コンパス、気圧高度計など(Forerunner 170シリーズのみ) |
| ランニング サポート機能 | HRVステータス、トレーニングレディネス、レースウィジェット おすすめワークアウト、トレーニングステータス、 ランニングパワー、リアルタイムスタミナ、リカバリータイムなど |
| ライフログ機能 | 心拍数、呼吸数、Body Battery、睡眠スコア、フィットネス年齢 ストレススコア、消費カロリー、血中酸素トラッキングなど |
| スポーツ&フィットネス | ランニング、トラックラン、サイクリング スイミング、筋トレ、ヨガなど |
| スマート機能 | 音楽再生、Garmin Pay(Forerunner 170シリーズのみ) |
| その他の機能 | タッチスクリーン(オンオフ切り替え可能) |
| 標準付属品 | チャージングケーブル、製品保証書 |

Forerunner 70 & Forerunner 170 が適しているランナー

「Forerunner 70」も「Forerunner 170」も、初心者やランニングウォッチをこれまでほとんど使ってこなかったランナーの入門機という位置づけです。ただ、完全に初心者向けかというとそういうわけでもありません。そこで、最後に、この2つのランニングウォッチがどのようなランナーに適しているのかを解説していきます。
Forerunner 70 と Forerunner 170 が適しているのは、下記のいずれかに該当するランナーです。
- 現時点でマラソン大会にはあまり興味がないランナー
- 自分でトレーニングメニューを組めないランナー
- ペースや距離の感覚が身についているランナー
- スマホを持たずに走りに行きたいランナー
それぞれのケースについて理由を詳しく説明していきます。
現時点でマラソン大会にはあまり興味がないランナー
高い計測精度が必要になるのは、東京マラソンや大阪マラソンのような高層ビルの間を走ったり、山の陰に入るような険しいトレイルを走ったりするときだけで、それ以外の場合にはシングルバンドGNSSでもまったく問題がありません。
このため、そもそもマラソン大会を走るつもりがないランナーや、マラソン大会の結果にこだわりがないランナーにとっては「Forerunner 70」や「Forerunner 170」は、価格面でも機能面でも魅力的なランニングウォッチになります。
自分でトレーニングメニューを組めないランナー
ランニングを始めたけど、どんな練習をすればいいかわからなくて困るというのは、学生時代に真面目に部活動をしてきたランナーあるあるですよね。きちんとしたメニューに従ってトレーニングしないと、効率的なトレーニングにならないし、ケガのリスクがあるのも理解している。
でも、具体的にどうすればいいのかわからない。自分でトレーニングメニューを組めないというのであれば、初心者向けのトレーニングメニューを提案してくれる「Forerunner 70」と「Forerunner 170」は、最高の相棒になってくれます。
スマホを持たずに走りに行きたいランナー
ランニング中に余計なものはひとつも持ちたくない。ランニング中に電話がかかってくるとストレスだから、スマホも持ちたくない。でも、何かあったときのためにコンビニで買い物ができるようにしておきたかったり、音楽は聴きながら走りたかったりする。
そんな場合は、「Forerunner 170」や「Forerunner 170 Music」がぴったりです。ただ、その場合はApple Watchを選ぶという選択肢もあります。
ライフスタイル重視であれば「Apple Watch」、ランニング機能重視なら「Forerunner 170」や「Forerunner 170 Music」を選びましょう。もちろん、「Apple Watch」を選ぶなら、iPhoneを使っていることが前提になりますが。

ペースや距離の感覚が身についているランナー
意外かもしれませんが、シリアスランナーには「Forerunner 70」がおすすめです。シリアスランナーはペース感覚や距離感覚が身についているので、そもそもGPSに頼る必要がありません。レースではコース上の距離表示と、通過タイムさえわかればいいので、シングルバンドGNSSもデュアルバンドGNSSも関係ありません。
大事なのは軽さとフィット感。睡眠管理すらもそのレベルのランナーになれば、就寝時間も起床時間もきちんと管理しているはずなので不要です。トレーニング機能に関しては、専門のコーチが付いているか、自分でトレーニングメニューを决められるだけのノウハウもあるので不要です。
ただ、振り返りをするときに参考にできるので、ただのスポーツウォッチよりもランニングウォッチのほうが便利なので、「Forerunner 70」くらいは持っていてもいいのかなと。
このように、ランニングを極めているレベルのランナーになれば、「Forerunner 70」でもまったく問題ありません。実際にフルマラソンで人類初のサブ2を達成したサウェ選手の腕には「Forerunner 55」が巻かれていました。
どのレベルのランナーであっても、「ランニングウォッチの機能に頼らない」というスタンスであれば、「Forerunner 70」で困るということはありません。ただ、できることとできないことをきちんと把握しておき、それを理解したうえで選ぶことが大切です。
くれぐれも、値段だけで購入を決めないこと。後悔しないためにも、それだけは頭に入れておきましょう。
