日本一早いマラソンレポート「2026 中部電力 MIRAI TOWER STAIRCLIMBING CHALLENGE 名古屋大会」

血の味がするほど、心拍数を上げて自分を追い込んだ経験はありますか?それにどんな意味があるのかという質問に対しては、残念ながら答えは持ち合わせていません。ただ、その領域でしか得られない達成感があり、1度でもその達成感の味を知ってしまうと、もう逃れることができなくなります。

自分のポテンシャルを超えたところで、さらに力を振り絞った者だけがたどり着ける領域。それを味わいたくて「2026 中部電力 MIRAI TOWER STAIRCLIMBING CHALLENGE 名古屋大会」に参加してきました。そこで私が感じた大会の魅力について、詳しくレポートしていきます。

目次

関東から日帰りで参加できるステアクライミングレース

「2026 中部電力 MIRAI TOWER STAIRCLIMBING CHALLENGE 名古屋大会」は、その大会名からもわかりますように、名古屋にある中部電力 MIRAI TOWERの階段(高さ90m・段数415段)を駆け上がるレースです。

私は神奈川在住ですので、この大会に出場するのに遠征をすることになります。遠征を当初は前泊や後泊を予定に組み込んで、名古屋グルメや観光を満喫していましたが、ある年にふと気づいてしまいました。「この大会は関東から日帰りできる」と。

たとえば、私は取材があるので7時すぎの新幹線こだま号に小田原駅から乗車して、9時すぎに名古屋に到着しています。それで10時45分から開始する開会式には十分に間に合い、最後の表彰式を終えてから新幹線に乗り込んでも、当日中に帰宅できています。

最初から最後まで会場にいた私が日帰りできるのですから、レースだけならもっとスケジュールに余裕があります。もちろん、名古屋グルメを楽しんだり、観光も楽しみたかったりするなら前後泊がおすすめですが、日帰りできるというのは多くのランナーにとってかなり魅力的なポイントです。

そうなると、今度はたった数分のために参加する意味はあるのかという話になります。中部電力 MIRAI TOWERのコースは、速い人で1分40秒前後で走り切ってしまいます。ゆっくりの人でも一般男性なら8分台で終わってしまいますが、コスパで考えるとかなり割高です。

ただ、コスパという指標では測りきれない魅力が、ステアクライミングにはあります。たった数分のために1年をかけて準備をする。それを非効率と思わない。むしろ、非効率だからこそ情熱を注ぎ込みたくなってしまうのがステアクライミングです。

ちなみに名古屋大会応援団長の森脇健児さんは、朝のラジオ放送を京都でしてから中部電力 MIRAI TOWERを向かうというスケジュールでした。参加者の中には、午前中にサウナに行ってから会場に来たという猛者も。このように、もし日帰り遠征にしても、名古屋を満喫する時間はたっぷりあります。

週末の1日に「中部電力 MIRAI TOWER STAIRCLIMBING CHALLENGE 名古屋大会」を入れるだけで、その1日は名古屋観光もできて、名古屋グルメも満喫できて、それでいてステアクライミングレースが最高の思い出を作ってくれます。もっとも、最高の思い出になるかどうかは自分次第ですが。

これまで以上の盛り上がりを見せる会場

名古屋大会は毎年、森脇健児さんとキャッスルひとみさんが盛り上げてくれますが、今年はなんとパンサー尾形さんが開会式から登場しました。やっぱりテレビで売れている芸人さんはすごいもので、いつもならゆっくりと上がっていく大会熱気が、開会式から最高潮に。しかも会場にはこれまでにない人数の応援者。

ステアクライミングを10年以上追ってきましたが、認知度が高まってきたからか、今年は参加する人の層が幅広くなっているようにも感じました。それに連動して、初めて参加したり、応援したりする人も増えているのでしょう。

しかも名古屋大会は屋外の階段を走るので、たとえばお母さんやお父さんの勇姿を子どもに見せることもできます。通りがかりの人たちも足を止めて見ている方も増えたように感じます。きっと会場の熱気がそうさせているのでしょう。

これまでは「何かしている」と認識しても、足を止めて見てみようとまではなかなかなりませんでした。ただ、熱気に吸い寄せられるかのように、たくさんの人がスタート地点の応援エリアに集まっていました。

大会のコースそのものはこれまで通り。これまでよりもただ新種目を追加するなどして、間口を広くしたことで、これまでよりもポップな雰囲気になっている時間帯もありました。とにかく追い込むきついレースでありながらも、眉間を寄せてピリピリするというよりは、もっと気軽に参加できるというのもステアクライミングあんらではかもしれません。

この日の天候は曇天。夕方以降は少し気になる程度の小雨でしたが、昨年のように手すりが滑るというほどではなく。そういう意味ではベストコンディションでした。ただ、個人的には晴天で暑さを感じながら走る方が気持ちいいタイプで、苦しさと暑さを走り終えて生ビールで流し込むのがまた最高で……

そういえば、前回は気づかなかっただけかもしれませんが、中部電力 MIRAI TOWER周辺にクラフトビールのお店が増えてたような。他にも飲食店がたくさんあるので、走り終えて打ち上げや反省会をしやすいのも、この大会の魅力のひとつです。

もちろんホテルも多く、宿泊するとなっても部屋が見つからずにこまることもまずありません。ただ、最近の名古屋は東京や大阪と同じようにホテル代が高くなっています。来年以降に「中部電力 MIRAI TOWER STAIRCLIMBING CHALLENGE 名古屋大会」に参加するつもりという人は、そのことを頭に入れておきましょう。

ひとつのピースが足りないだけで満足度が天と地ほど変わる

私の昨年のタイムは3分9秒。かつては2分台で走っていましたが、昨年は雨で思うように走れず。そこで満を持しての今年と言いたいところですが、万里の長城マラソンWings for Life、そして先週のRed Bull 400で体はボロボロ。免疫力も下がって風邪を引く始末。

さすがに今年はどうにもならないと分かった上で名古屋に向かいましたが、ここまでの連戦で掴んだ感覚があるので、密かに何とかなるのではと期待もありました。ただ、結果からお伝えすると「どうにもならず」でした。まるで夢を見ているかのように、あっという間にレースが終わってしまいました。

とにかく高い集中力で乗り切るつもりが、かなり早い段階で頭も回らず。本来ならラストスパートをして自分の内側にあるすべて出し尽くすつもりが、なぜかスピードアップするタイミングを見つけられず。ゆっくりペースをずるずると引っ張ったままフィニッシュしてしまいました。

それでも、心肺はかなり追い込んでいますし、ゴールしてすぐに倒れ込んでしまうほど頑張りました。でもどことなくエネルギーは残っているのに気づいた瞬間に「やらかした」の思いが頭を駆け巡り、後悔の気持ちに支配されました。これがステアクライミングの怖さ。

足りなかったのは集中力。スタートからどこかふわふわしていました。憧れの森脇健児さんがMCをしていたからか、そもそもコンディションが整っていなかったせいなのかもわかりません。ただ、明らかに大切な何かを置いたままスタートし、集中しきれずにレース終了。

困ったのは完走タイムが3分9秒で昨年と同じだったということ。ものすごく失敗したと思っていたのに、そこまで悲観するほどではなかったという結果に。こうなると喜んでいいのか、残念がるべきなのか。走り終えて数時間経過しているのに、まだ気持ちの着地地点を見つけられずにいます。

それもまた自分らしくていいかなとは思いますが。昨年と同じタイムで、力を出しきれなかったと感じるなら、来年はもっといいタイムを期待したくなります。さすがに上位を狙うことは無理でしょうけど、年代別でトップ3を狙うくらいにはなりたいところ。

ちなみに今回は一般男子出走者278名中94位。50代では63人中13位。ここから伸び代があるなら悪くありません。今回の走りを思い出すと何ひとつ納得できませんが、それこそがステアクライミング。失敗は成功の糧にすればいいだけのこと。来年は納得できるレースをして、クラフトビールで乾杯したいところです。

競技の発展への礎を感じたエリート部門

「2026 中部電力 MIRAI TOWER STAIRCLIMBING CHALLENGE 名古屋大会」では、選ばれしエリート選手によるステージレース「STAIRCLIMBING JAPAN CIRCUIT(SJC)」の2026年度の開幕戦も実施されました。

日本には世界的なステアクライマーが何人もいて、このSJCにも参戦している人もいます。正確にはこのSJCのステアクライマー同士で切磋琢磨しながら、世界に通じる技術や精神力を身につけたうえで、世界中のステアクライミングに挑戦しています。

ただ、エリート選手であり続けるには、成績を残し続ける必要があります。日本のステアクライミングはまだまだ歴史が浅いこともあり、どんどん新しいスター選手が出てきて、しかも若手も加わってくるので、エリートの地位を維持するだけでも簡単ではありません。

当然のように今年も選手の入れ替えがあり、昨年までエリートだったステアクライマーが一般の部に出ていました。そこに残酷さを感じつつも、健全な競い合いの場であり、しかも他の競技で活躍している選手が新しく加わったことで、日本のステアクライミングは間違いなくレベルが上がってきています。

そうなれば観戦する楽しみも増え、ステアクライミングの競技人口も増えます。競技人口が増えれば選手層が厚くなり、より高いレベルで競い合えるようになります。今はそれを実現するために、土壌づくりをしている段階です。

30年前にJリーグができて、日本人がサッカーの魅力を知り、そして今では世界のトップクラスと対等に戦えるようになりました。ステアクライミングはまだまだマイナーな競技ですが、トップレベルのステアクライマーが、それぞれに魅せる走りをできるようになれば、サッカー界と同じようなことを起こせるはずです。

これからもっとレベルが上がっていく。その先のビジョンとしては、そろそろエリートは「SJC1」と「SJC2」といったような仕組みがあってもいいのかなと。SJC2は一般の部と混ぜて開催でもいいのですが、登録選手として年間ポイントを競い合って、SJC1と入れ替える。

なかなか面白そうじゃないですが、ただのステアクライミング好きの妄想でしかありませんが。

ステアクライミングのブレイクスルーがやってくる

今回の「2026 中部電力 MIRAI TOWER STAIRCLIMBING CHALLENGE 名古屋大会」では、完走メダルが完走した人に用意されていました。このレースはリタイアができないので、そもそも完走できない人もいないため、完走メダルというよりは参加記念メダルなところもありますが。

予算の関係かと思いますが、完走メダルがやや薄くて軽いという点をもったいなく感じますが、完走メダルがあるということがとても大切です。なぜなら、たとえば小学生が完走メダルを手にしたら、当然のように友人に見せびらかすことになります。それはもう優秀な営業担当のようにステアクライミングを広げてくれます。

そして参加選手にとっては、完走メダルを見るたびに悔しさが湧いてきて「来年こそは」という気持ちを維持してくれます。完走メダルが営業担当にもならわけです。完走メダルなんていらない勢がいたとしても、完走メダルがあるだけでリピーターも新規参加者も増えます。

運営がそこまで意図して完走メダルを用意したのかどうかはわかりませんが、新規の大会参加者を増やすのにとても有効です。今年は過去最大のエントリーがあったようですが、完走メダルの存在により、来年はその人数を簡単に上回ることを容易に想像がつきます。

もちろん完走メダルだけが参加者が増える要因というわけではありません。ただ、ステアクライミングはブレイクスルー直前の状況にあり、いつトレンドになってもおかしくありません。完走メダルはブレイクスルーするきっかけのひとつ(だからこそ重さがあったほうがいいなと思ったわけです)になると感じています。

いずれにしても、ブレイクスルーのための条件はほぼ満たしています。ここから多くのアスリートを魅了する競技になっていくのは確実で、数年のうちに「こんな選手が参加?」となるようなレベルのアスリートが参戦しても、まったく不思議ではありません。

そしてそのブレイクスルーは、駅などで意識して階段を選ぶ人を増やし、健康な人を増やすことにもなります。そうなると、それはただのトレンドではなく、日本の文化に近い存在になります。買い被りすぎている?私はそうは思いません。

ステアクライミングにはそれくらいの可能性があり、もっともっと人気になって発展すべき競技です。毎週日本のどこかで開催されている。いずれそれくらいの規模になっていてもおかしくないくらい素晴らしい競技。そして、その時はもう目の前に迫っています。

この流れに乗るかどうか。それはあなた次第です。別にステアクライミングのレースに出なくても、普段のトレーニングにステアクライミングを取り入れるだけでもOK。まずは階段を駆け上がってみませんか?

ちなみに今後のステアクライミングレースとして「太郎坊チャレンジ 2026」がすでに参加者を募集しています。こちらも屋外で、さらに短距離勝負のレースです。初めてのステアクライミングレースだったとしても楽しめる大会になっていますので、参加枠がなくなるまえにお申し込みください。

そして、あなたもステアクライミングを盛り上げる1人になってみませんか?

STAIRCLIMBING CHALLENGE:https://sjc-kaidan.jp/scc/

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この記事を書いた人

重松貴志のアバター 重松貴志 ランニングトレーナー

東京・神奈川エリアを中心に「走れるためのカラダづくり」をベースとしたパーソナルトレーニングを実施。ランニングを始めたいという初心者から、自己ベスト更新を狙うシリアスランナーまで幅広くサポートしています。

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