日本一早いマラソンレポート「東京マラソン2026」

2026年3月1日、天候は晴れ。最高気温の予想は18℃。スタートの時点ですでに10℃を上回るというフルマラソンを走るにはやや高い気温のなか、東京マラソン2026がスタートしました。昨年は沿道からの取材でしたが今年はランナーとしての視点。

前回出場したのがちょうど10年前。あれから多くのマラソン大会を走ってきましたが、10年経過して見えるようになってきたものがあるのか、そして東京マラソンが10年でどう変わったと感じたのかを詳しくレポートしていきます。

目次

シンプルだけどよく考えられた大会受付

東京マラソンの受付は3日間。私は取材も兼ねて初日となる木曜日に受付をしてきました。ゼッケンを受け取るだけなのでとにかくシンプルなのですが、それでも「さすが東京マラソン」と感じる点がいくつかありました。

まずは受付会場が広いということ。土曜日にどのようなことになるかはわかりませんが、4万人のランナーを迎え入れるのに十分な広さがあります。そしてQRコードでの受付だからスマホと運転免許証などの本人確認書類があれば受付できます。

海外のランナーに受付票を送る必要がなく、それでいて日本人であっても受付票を忘れて退会本部が再発行するという作業を省けます。もちろん上手くQRコードを表示できないなどのトラブルはあるのでしょうが、ランナーとしては受付の荷物が減るのはありがたいところ。

そして10年前は参加賞がTシャツでしたが、今年は携帯できるコップが配られました。3月開催になってから暑くなる日も多く、コップが足りなくなるという問題を解決する必要があったのでしょう。マイカップというのは素晴らしい判断です。

よく考えられていると感じたのは、ゼッケンにつけられたチップの動作確認です。これにより不良チップを事前に排除でき、それでいてゼッケンの渡し間違いを防げます。

4万個もあれば、不良の発生率が0.01%であっても400件発生します(実際にはもっと少ないと思いますが)。受付で検査することで「計測できていない」を未然に防ぐことでき、大会終了後のクレーム対応の負担が減るといったメリットもあります。

外国人ランナーへの対応もしっかりしており、基本的に英語でサポートをしています。私も万里の長城マラソンで外国人の受付をすることがあるのですが、時間をかけての対話を求められることがよくあります。東京マラソン受付では、それができるようにフリーで動けるサポート専用のスタッフもいました。

受付で「これはどうだろう……」となったのがリボンタイプの本人確認バンド。このタイプのバンドを利き腕に付けてしまうと、余った部分が食事をするときやトイレなどで邪魔になります。愛媛マラソンも以前はこのタイプでしたが、今年から紙タイプのバンドになっていました。

いろいろ検討したうえでこれがベストと判断してのリボンタイプなのかもしれませんが、正直「なんとかならないかな」という思いはあります。とはいえ、受付で感じたネガティブな部分はそれくらいしかありません。あとはすべてが快適でした。

東京マラソン受付といえば東京マラソンEXPOのほうが印象に残るかもしれませんが、実はスマートな大会運営になるようにいろいろ考えられています。トラブルを未然に防ぐ仕組み、外国人ランナーに対する準備など他の大会も参考になる取り組みが詰まっていました。

ちなみに東京マラソンEXPO 2026については別レポートがありますので、そちらをご参照ください。

待機ブロックでの衣類の脱ぎ捨て対策は必要かも

今年の東京マラソンは最高気温が高くなるという予報で、大会からもしっかり備えるようにアナウンスがありました。実際に当日は雲ひとつない開催。ただ、流石に7〜8時台の新宿は暖かいとは言えず(それでも10年前よりは全然快適ですが)。

私は後方のKブロックスタートで、新宿中央公園の脇ということもあって、太陽が顔を出す場所もちらほら。ビルの間で待機するよりは何倍も快適でしたが、スタートまでに25分。ブロックに入ってからトイレに行ってしまったので、スタートブロックの移動に少し遅れてしまいましたが、仮に前に並べたとしても20分近いスタートロスに。

もっとも東京マラソンは「そういうもの」です。4万人が走り出すわけですから、その程度で済むのがむしろ驚きです。トイレといえば、会場入りしてすぐに1回目のトイレに向かいましたが20分くらい並びました。それでも比較的スムーズで、焦ることはありませんでした。

2回目のトイレが余計でしたが、走り出してからコースにあるトイレに並ぶとさらにロスになります。この辺りは判断が難しいところですが、グロスタイム至上主義でないなら、スタート位置が遅くなってでもスタート前に行っていくとをおすすめします。

途中で気になったのは衣類の脱ぎ捨て。東京マラソンではスタート直前で衣類の回収をしているのですが、それを知らない人が多かったのかもしれません。スタートブロックが動き出したタイミングで防寒着を脱いでそこに捨てたのでしょう。

後でスタッフが回収するわけで別に問題ないように思えますが、東京マラソンは多くの外国人が参加しており、クリーンな日本というイメージをより強く持ってもらうためにも、待機ブロックでの衣類の回収も行なっていいような気がします。もしくは先で回収しているアナウンスをするのでもいいのですが。

気温が高くなったものの選手がしっかり対策

予報されていたように、この日はかなり気温が高い中でのマラソンとなりました。ただ、スタートからしばらくは暑さをそこまで感じず、序盤は給水をスキップした方も多かったようですが、これが大きな罠。こういう日の給水は序盤から全てのエイドでするのが基本。

もっとも東京マラソンの運営も、早い段階から暑さ対策をするようにアナウンスしていましたので、気温の上昇に比べて暑さにやられて歩いているランナーは少なめ。少なくとも私が走った4時間半5時間くらいのレベルで暑くてリタイヤした人はそう多くないはず。

むしろ暑いからこそ、エイドで水分補給しながら元気ももらえて、やる気が湧いてきていいのかもしれません。そして暑いとわかっているから、みんなこまめに給水して、体温上昇とミネラル不足を補たのかもしれません。それなら大会側のファインプレーです。

マラソンの暑さ対策などは大会側がしっかり対策するという考え方のランナーもたくさんいますが、大会側でできることには限りがあります。そして4万人分の水やスポーツドリンクを直前で増やすというのも簡単なことではありません。

昨年は後半のランナーの水やスポーツドリンクが足りなくなりましたが、今年は比較的余裕がありそうでした。実際に足りていたかどうかは今の状況ではわかりませんが、不足していなかったとしたなら、それもすごいことです。

おもてなしエイドも充実していましたが、どことなく他の大会のエイドと比べるとワクワクが足りなく感じるのはなぜでしょう。地方のマラソン大会でエイドは楽しみのひとつですが、理由は分かりませんが、なぜか東京マラソンだけはそういう感覚になりません。

ただ「東京バナナ」は意外性があって◎。バナナも食べつつ糖エネルギーも補給できるので、個人的にはもう少し手前で出てきたほうが嬉しかったのですが、どこで出てきても嬉しいのは変わらず。これもみんなに行き届いているといいのですが。

いずれにしても、これだけの規模の大会と今回の気温なら、コース脇で倒れている人がもっといてもおかしくないのですが、それがなかったのがか素晴らしい運営だったなと。もとろん、現場のスタッフの臨機応変さなどがあってのことで、「みんなでひとつになって暑さ対策をした結果」であることは言うまでもありません。

まだまだ応援を盛り上げられる東京マラソン

10年ぶりに東京マラソンを走ったわけですが、沿道の声援ってこれくらいだっけ?というのが最初に感じたこと。清澄白河のようにエネルギーの塊のような応援を受けられるエリアもありましたが、どちらかというと「静かだな」と感じるところがいくつもありました。

自分の応援する人が来るのを待っているときに、他のランナーに声援を送ってある人が思ったよりも少ないかなと。いやいや、沿道の声援ってそういうもんだろと思うかもしれませんが、国内のマラソン大会でも沿道の声援が途切れない大会もあります。

あえて大会名を挙げたりはしませんが、角を曲がった瞬間に声援の圧に押されて足を止めそうになったこともあります。そういう意味では東京マラソンの応援は品があっておとなしめ。それを外国人の応援団が補っているような感じがありました。

東京がひとつになる日というのが東京マラソンのテーマですが、あと一歩のところでひとつになれていない。そんな感じを受けたのは私だけでしょうか。もっとも外国人ランナーが増えてきたのはここ数年で、まだ戸惑いも大きいのかもしれません。

外国人ランナーに対して、どのように声をかければいいのかわからない。外国人応援団と混じり合うのは勇気がいる。応援に関しては、いまはまだその部分が過渡期なのかもしれません。そしてそれは時間をかけて馴染んでいくはずです。

それに気づいてから「頑張りましょう」と「レッツゴー」を繰り返し、沿道の外国人応援団とも積極的に交流してみました。それは小さな灯火かもしれませんが、5年後10年後につながると信じて。東京マラソンはもっと盛り上がる余地がある。それが10年ぶりに走った感想。

ただ、沿道の力強さを感じなかったのが、なかなか当たらなくて興味が薄れてきたとか、外国人ランナーの割合が増えて知り合いが走らなくなったとかでないことを願っています。かなり倍率も高くて、本当に10年に1回走れるかどうか。これだと興味を失っても仕方ありません。

それが私の杞憂であり、実際には過去最高に盛り上がっていたというのであれば何も問題ないのですが。仮に盛り上がりがそこまででなかったのだとすると、やはり心配ではあります。ちなみに私のラン仲間も3人ほど同じ日に東京マラソン以外の大会を走っていました(決して、応援に来てくれなかったと嘆いているわけでは……)。

東京マラソンは世界トップのマラソン大会になる

10年前との最大の違いは外国人の多さです。以前から台湾のランナーを多く見かけましたが、台湾人も増えて、中国人の応援団も何度か見かけました(台湾にも日本にもつながりがある立場としては、今のような状態でも東京に走りに来てくれるのはありがたいことです)。そして欧米人も多数参加。

そして、彼らみんなに共通しているのは、本当に楽しそうだということ。笑顔の人もいればシリアスな表情で走る人もいます。楽しみ方の種類は違えど、みんな楽しんでいる。走り終えて「トウキョウアリガトウ」と言っている方もいて、スポーツってすごいなと改めて感じました。

ただ、先ほどもお伝えしましたように、まだ日本人と交わりきれていない。そこは日本側に課題があるのか、それとも時間が解決することなのかはわかりません。もし国という垣根が本当になくなることがあれば、東京マラソンは世界一のマラソン大会になるのかもしれません。

スポーツに国境はない。それを体現できる国内のマラソン大会としては東京マラソンが頭ひとつふたつ飛び出ています(もしかしたら世界的にも)。そこに、日本ならではのクリーンさが広まり、さらに世界記録でも出ようものならあっという間に世界の東京マラソンになります。

そうなると益々日本人にとって出場のハードルが高くなりそうですが、それこそ当選したときの喜びはさらに大きくなり、その1回を大切にするためにしっかりと準備するようになり、暑さにも寒さにも負けずに笑顔で走り切るようになるはずです。

もっとも現時点ではまだ私の妄想レベルの話です。ただ夢物語ではないことなので、RUNNING STREET 365としては、これからもしっかり東京マラソンを追いかけ続けつつ、その未来に近づけるように微力ながら盛り上げていきたいところです。

とりあえず、まずは外国語での応援方法のバリエーションを増やすことから始めるとします。

東京マラソン:https://www.marathon.tokyo

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この記事を書いた人

重松貴志のアバター 重松貴志 ランニングトレーナー

東京・神奈川エリアを中心に「走れるためのカラダづくり」をベースとしたパーソナルトレーニングを実施。ランニングを始めたいという初心者から、自己ベスト更新を狙うシリアスランナーまで幅広くサポートしています。

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