日本一早いマラソンレポート「第16回渋谷・表参道WOMEN’S RUN」

マラソン大会は男子も女子も関係なく、走力に応じてスタートブロックに整列します。種目は違えど、スタート直後の混雑を考えると女性ランナーの多くが、安全に不安できるか不安を抱えています。そんな女性ランナーの不安を解消してくれるのが、名古屋ウィメンズマラソンと、渋谷・表参道WOMEN’S RUNです。

どちらも女性ランナーだけが参加できる大会ですが、この2つには大きな違いがあります。名古屋ウィメンズマラソンは、トレーニングを積み重ね、フルマラソンで不安を感じることなく、ベストを尽くせる環境を提供。渋谷・表参道WOMEN’S RUNは、まだマラソンを走ったことのないランナーや、初心者向けの大会になっていますランニング。

今回はそんな「第16回渋谷・表参道WOMEN’S RUN」の現地取材をさせていただきましたので、どんな大会だったのかレポートしていきます。

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2年前と比べて男性応援が増えた会場

実は渋谷・表参道WOMEN’S RUNは2年前にも取材させていただいているのですが、そのときと明らかに違うのは、会場の活気が何倍にもなっているということでした。2年前も女性ランナーだからこそのおしゃれな雰囲気がありましたが、今回は男性の姿が多く見られました。

もちろん男性が参加できるようになったわけでも、ノンバイナリー枠ができたわけでもありません。ラン仲間や家族、恋人が出場するから、その応援で会場に足を運んだ人が大勢いたのでしょう。2年前は取材しながら心細さや場違い感もありましたが、今回はそんなこともなく。

この2年間で多くのランナーが、パンデミックで失われたつながりを取り戻したか、新たに構築したか。いずれにしても、マラソンやランニングが盛り上がっている証拠であり、それはランナーとして喜ばしいことでもあります。

それでも渋谷・表参道WOMEN’S RUNの主役は女性ランナー。男女混合の大会にはない華やかさがあり、反対にマラソン大会にありがちなピリついた緊張感もありません。それは10kmの大会であり、初マラソンにえらぶ女性が多いことも影響しているのでしょう。

勝利やタイムよりも参加することに意義がある。もちろん、それぞれに目標はあったはずですし、自己ベスト更新を目指してスタートブロックに整列したランナーもいたはずです。ただ、その割合が他のマラソン大会よりも少なく、むしろ「みんなで走る」ための大会なのかなと。

また、大会名から若い女性ランナー向けというイメージがあるかもしれませんが、実際には年齢に関係なく、初マラソンの若者もいれば、その初マラソンのランナーが生まれる前から走っているランナーもいます。親子で10kmに参加したランナーもいたようです。

それぞれが自分のベストを尽くせるコース

第16回渋谷・表参道WOMEN’S RUNは5000人規模の大会で、渋谷や表参道といった東京の真ん中を走ることもあり、序盤はかなり混雑します。スタートしてから渋谷方面に向かい、そこから戻ってくるまで、Aブロック以外は周りのペースに合わすしかありません。

素晴らしいなと感じたのは、男女混合のマラソン大会のように、強引な追い抜きをしている姿を見かけなかったということです。私がたまたま見なかっただけかもしれませんが、混雑した状態でも協調しながら進んでいるは、これぞウィメンズマラソンという感じがあります。

それぞれがもどかしさもあったはずです。今年は途中で緊急車両が通過したのもあって、1km過ぎて、前が詰まって最後方のランナーが立ち止まるしかないシーンもありました。こういうことが発生しないのが理想ですが、発生しても混乱することもなく、競技が続きました。

渋谷エリアは往路復路で1車線ずつしかないので、コースの中でも最も混雑するエリア。ここをもう少しスムーズに走れると気持ちいいのですが、現在の参加人数とコース幅を考えると仕方ないのかもしれません。もしかすると、ウェーブスタートにすることで少しは解消されるかもしれませんが。

表参道エリアに移動すると、道幅も広くなって走りやすくなるのですが、渋谷も表参道も「坂」のあるコース。10kmとはいえ、実は難易度が高いのが渋谷・表参道WOMEN’S RUN。しかも、この日は最高気温が17℃くらいになるとのこと。

フルマラソンに慣れたランナーにとっては、たった10kmと思うかもしれませんが、初マラソンでこの10kmというのは想像以上に大変です。それゆえにゴールしたときの喜びは大きいもの。エントリーしたことをほんの少しは後悔した人もいるかもしれませんが、それぞれがいい表情をしていました。

走って終わりじゃないのが渋谷・表参道WOMEN’S RUNの魅力

2年前の渋谷・表参道WOMEN’S RUNでの印象と違ったのは、会場に男性が増えたことだけでなく、レース後の会場滞在率が高くなっていることでした。2年前もレース後のイベントをしていましたが、多くのランナーが走り終えて帰宅しており、もったいないなと感じました。

ところが今年は会場のあちこちでフォトスポットを用意したり、ブースごとのプレゼント、リカバリーヨガなどのアクティビティなど、さまざまなお楽しみが用意されているのもあって、レースが終わってからもしばらくは会場の熱気が続いていました。

ラン仲間と一緒に記念撮影をしたり、キッチンカーで美味しいものを食べたり(すべてがお手頃価格!)。その間に歩き回ることになるので、おのずとクールダウンにもなります。10kmなので、走り終えたときにオールアウトしたとしても、すぐに回復してイベントを楽しめるのがいいところ。

しかも、この日は気温も高くて、ランナーが走っている間に開花した桜もあって、会場はさらに明るい雰囲気になっていました。少し興味深かったのは、イヤホンやランニングウォッチといったランニングガジェット系のブースが少しさみしくなっていたこと。

これもウィメンズマラソンだからこその現象なのか、ランニングに求めるものが男女で違うことが明確になっていた気がします。もっともランニングガジェット系の出展ブースも渋谷・表参道WOMEN’S RUNに合わせて、これからさまざまな工夫をし、大会を盛り上げてくれるのだと思いますが。

原宿には銭湯もありますし、代々木公園にランステもできたので走り終えたあとに汗を流してから、ラン仲間と表参道や渋谷で打ち上げなんてできるのも渋谷・表参道WOMEN’S RUNの魅力。走るだけでは終わらない。初マラソンでそんな体験をしたランナーは、これからマラソンの世界にどっぷりハマること間違いありません。

「女性のため」という境界線がフラットな世界を作り出す

今回たまたま代々木公園に来ていた女性の2人組が、「表参道を走れるのっていいよね」と話しているのを耳にしました。マラソン大会はどちらかといえば、ランナー以外からは「ちょっと迷惑」な存在になっているのが実情ですが、女性だけの大会だからか、そうやって偶然居合わせた方が優しく見守っているような印象もありました。

ちょっとずるいなというのはあるのですが、開催をポジティブに受け止められている大会というのはとても貴重で、そうなるように見えないところで支えている運営の方々がとても苦労していることが容易に想像がつきます。

だからこそ、もっと多くの女性ランナーに走ってもらいたいところです。キャパシティを考えれば、これ以上に参加者数を増やすことはできないのでしょうし、すでに走りたくても走れないという方もいるのだと思いますが。

今回は海外からのランナーも目立ちました。英語対応枠が100名でしたので、半数が外国人ランナーになる東京マラソンほどではありませんが、100名を遥かに上回る外国人ランナーが参加していたように感じました。おそらく一般枠での当選された方もいたのでしょう。

国際色豊かなのに、それを強く感じさせないのは、ほとんどのランナーが同じTシャツを着用していたから。これも渋谷・表参道WOMEN’S RUNならではの光景です。ここでは国籍も年齢も関係なく、走ることが好きな人が集まって、走ったり応援したり。

「女性のため」の大会だから、誰でも参加できるわけではありません。でも、そこに境界線を作ったことで、境界線の内側がフラットになっている。順位やタイムすらもただの数字になってしまう。そんな印象を受けた第16回渋谷・表参道WOMEN’S RUNでした。

渋谷・表参道WOMEN’S RUN:https://womensrun.jp

第16回渋谷・表参道WOMEN’S RUN PHOTO

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この記事を書いた人

重松貴志のアバター 重松貴志 ランニングトレーナー

東京・神奈川エリアを中心に「走れるためのカラダづくり」をベースとしたパーソナルトレーニングを実施。ランニングを始めたいという初心者から、自己ベスト更新を狙うシリアスランナーまで幅広くサポートしています。

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