
ここ数年のランニングシューズの進化は素晴らしく、毎年「これ以上どこを向上させるのか」というくらい完成度が高く、それでいて1年後にはさらに進化した1足が誕生しています。その結果、マラソンは「シューズ」という道具を使って競い合うスポーツになり、厚底シューズにより自己ベスト更新したランナーが続出しています。
ただ、自分自身が進化できているのかと考えたとき、胸を張って「している」と答えられるランナーはどれくらいのいるのでしょう。私たちは本来、自分自身の進化や成長を求めて走り始めたはず。ところが、いつの間にか道具でタイムを稼ぐ様になっています。
このままでは本質を見失ってしまう。それに気づきはじめましたランナーが選んでいるのが、MERRELLのベアフットシューズです。そんなMERRELLの26SS MERRELL Press Previewに招待していただきましたので、そこで聞いたこと、感じたことを交えてMERRELLのベアフットシューズについてご紹介していきます。
信念とまっすぐなモノづくり精神を持つMERRELL

ランナーにはそれぞれいくつかの転機があります。フルマラソンを走ることのなった転機。そもそも走り出した転機などなど。私もかつてはどこにでもいる1人のランナーでしたが、こうしてランニングに関する発信をするきっかけになったのがベアフットランニングとの出会いでした。
オーバートレーニングにより、アスファルトの上を一歩も走れなくなったときに「BORN TO RUN」に出会い、そこから裸足ランニングにハマっていきます。そして裸足ランニングの発信をしていたのが、RUNNING STREET 365の原点でもあります。
そんな私がMERRELLに出会ったのは、当時のラン仲間に東海道を走ろうと誘われ、そのチャレンジに「MERRELLを履いてみない?」と提案していただき、足をシューズに入れたその瞬間に「これは職人の作った靴」と確信。そこからファンになった経歴があります。
「信頼できるシューズメーカー」というのが私にとってのMERRELLのイメージで、それは今でも変わることはありません。そんなMERRELLが手掛けているのが、裸足感覚で走れる2種類のベアフットシューズ「Trail Glove」と「Vapor Glove」です。
かつてベアフットランニングブームというものがあり、どのメーカーも裸足感覚シューズを出していましたが、ケガのリスクなどの課題が浮き彫りになり、どのメーカーも開発を中止。それでもMERRELLはその信念を曲げることなく、ベアフットシューズを作り続けてきました。
MERRELLはベアフットシューズだけでなく、トレランシューズも手掛けていますが、いま若者の間でトレランシューズをファッションアイテムとする文化が広まっており、10代20代からはファッションブランドとして注目されています。
その流れもあってか、最近ではベアフットシューズも若い女性を中心に売れ始めているとのこと。普通に考えれば若い世代ほど厚底で歩きやすいシューズを選びそうなのですが、彼女たちがベアフットシューズを手にするのにはランナーにも通じる理由があります。
意識して体を整えることが求められる時代

ランニングシューズは厚底がスタンダードになり、最近ではソール厚さが40mmを超える超厚底のランニングシューズも珍しくなくなっています。ファッションアイテムとしてのシューズも厚底が人気で、スタイルがよく見えるだけでなく、クッション性の高さや歩きやすさからも厚底が選ばれています。
クッション性の高さや歩きやすさというのは、ランニングやウォーキングをするうえで足に優しくとでも魅力的な機能のよう思えます。マラソンのような高負荷な運動をする場合、もはやなくてはならないものになっています。
でも、それって過保護では?
あなたが望むものが、マラソンという競技でより良いタイムを出すことなら、それを支えてくれる道具としてのシューズは、ルールの範囲内で高機能なものを選ぶべきです。でも、よく考えてください。あなたが本当に手に入れたいものは自分自身の成長ではないでしょうか。
自分自身の成長、走力アップを考えたとき、過保護であることがネガティブに作用する可能性があります。私たちの体は破壊と再生を繰り返して強化されていきます。過保護なシューズは「破壊」を阻止するので、そのランニング中は快適であっても、強化がないからいずれ記録が伸び悩みます。
記録が伸び悩むから「もっと良いシューズを」となってしまい、ランニングシューズ依存のループから抜け出せなくなる。そこから抜け出すために必要なのは「自分を鍛える」意識であり、そのためには足を守るための機能を排除した、ベアフットシューズが注目されています。
ランナーではない若い女性がMERRELLのベアフットシューズを選んでいるのも、根底にある意識は同じです。あらゆる面で快適に暮らせるようになった時代、それは人間が本来持つさまざまな機能を使わなくなることを意味します。
それを回避するには、意識的に体を整える必要があります。そのために大切なのは環境を変えることですが、人間は習慣化された行動を変えるのは苦手。だから、習慣化された行動の中で道具を置き換えることで環境を変える必要があります。具体的には厚底を脱ぎ、MERRELLのベアフットシューズを履くというわけです。
そのときのデメリットはひとつだけ。厚底よりもスタイルが少し悪くなるくらい。ただ、それだけで体を整えられる環境を手に入れられるなら悪くありません。
MERRELLのベアフットシューズを選ぶ理由

裸足系のシューズいうのは以前からあり、ブームが去ったとはいえ、新しいメーカーが出てきたりするなど、ある程度のニーズはあります。ただ、継続できているメーカーは限られています。ナイキですら裸足感覚シューズの「フリー」をランニングシューズとして販売していません。
そして何よりもランナーそのものが、ベアフットシューズを続けられません。最初は熱中していた人も、いつの間にか普通のランニングシューズに戻ってしまう。ワラーチなどに流れる人もいますが、それはさらに少数派です。ちなみに裸足に流れる人もいますが、そこまでいくと天然記念物クラスです。
なぜベアフットシューズが定着しないのか。理由は2つあります。ひとつは履きこなせないことにあります。購入してすぐにウキウキしながら歩いたり走ったりしたら、10分もしないうちに足が痛くなる。早い人はそこでベアフットシューズを靴箱の奥にしまいこんでしまいます。
痛みに耐えた結果、炎症を起こして走れなくなるというのもあります。これはベアフットシューズの使い方が広まっていないことが原因です。そして厚底シューズが広まった弊害でもあります。ベアフットシューズは、厚底のランニングシューズのように、履いてすぐに走れるものではありません。
それに見合った筋肉をゆっくり育てながら走行距離を伸ばしていきます。だから最初は1分走って10分歩くでもいいのですが、真面目なランナーは最初から10km走ろうとしてしまいます(皮肉なことに真面目なランナーほどベアフットシューズに辿り着く傾向にあるのですが)。
1年かけて走れるようになる。これがベアフットシューズとの理想的な向き合い方。もちろん最初からフルマラソンを走れる人もいます。でもあなたはそうではありません。特別でない自覚があるなら、時間をかけて馴染ませていくことです。
そしてもうひとつの理由が、ベアフットっぽいシューズであって、ベアフットシューズでないシューズが幾つもあるということ。本格的な裸足感覚のシューズというのは、繰り返しの解析やテストが必要で、ただソールを薄くすればいいというものではありません。
でも、Amazonなどで調べるとソールが薄いだけのベアフットシューズがいくつも出てきます。そういうシューズを選んだ結果「なんか違う」となるわけです。足の指の感覚も育ちませんし、走ることがただただ苦痛になる。そしてベアフットシューズを脱ぎ捨ててしまう。
だからベアフットシューズ選びはとても重要で、だからこそ裸足歴15年の私はMERRELLを推しています。本格的な裸足感覚であり、走りやすさも備わっているから、ストレスなく走れます。そしてデザインもシンプルだから、ランニングだけでなく普段履きにもなります。

MERRELLのベアフットシューズはどちらを選ぶべきか

MERRELLのベアフットシューズには「Trail Glove」と「Vapor Glove」の2種類があります。名前からもわかりますように、トレイルで使うベアフットシューズが「Trail Glove」になりますが、トレイルでも使えるだけで、舗装路でも問題ありません。
むしろ、ほとんどのランナーにとって、選ぶべきベアフットシューズは「Trail Glove」になります。「Vapor Glove」よりもソールが厚いので、裸足感覚が「Vapor Glove」ほどは強くありません。このため、「Trail Glove」は「Vapor Glove」へのステップアップシューズと考えることもできます。
まずは「Trail Glove」を購入して、シューズを履き潰したら「Vapor Glove」に切り替える。これが安全にベアフットシューズを導入するための手順になります。ただ、これまでゼロドロップシューズを履いていたり、フォアフット走法を取り入れていたなら、最初から「Vapor Glove」を選んでもOKです。
もちろん様子見をしながらということになりますが、最初から長い距離を走ろうとしなければステップアップシューズなしで超薄底の「Vapor Glove」でのランニングをはじめられます。
ただ、それでも迷ってしまうなら、MERRELLの直営店などで試し履きしてください。そのうえで、無理なく走れそうなモデルを選びましょう。近くに直営店や取扱店がない場合には、無難に「Trail Glove」を選ぶことをおすすめします。
「Trail Glove」と「Vapor Glove」それぞれの、最新モデルを紹介します。
Trail Glove 8

「Trail Glove 8」は、舗装路だけでなく、石や木の根が点在する不整地、砂利道、ミックスサーフェスなど、変化に富んだフィールドでも安定して動けるよう、プロテクションと柔軟性のバランスを追求した1足です。
FlexConnect™テクノロジーが路面の凹凸に応じてソールをしなやかに屈曲させ、足の動きに的確に追従。アウトソールにはMERRELL専用開発のVibram® TC5+を採用し、多様な路面環境で安定したグリップ力を発揮します。

| サイズ | MEN:25.0-30.0cm WOMEN:22.5-25.5cm |
| カラー | MEN:BLACK, RATTAN, OOLONG, COMET WOMEN:BLACK, WHITE, CASPER |
| 価格 | 17,600円(税込) |
Vapor Glove 7

「Vapor Glove 7」のスタックハイトはわずか6mm。足と地面の距離を極限まで近づけることで、身体本来のバランス感覚や筋肉の自然な連動を引き出す設計となっています。
このシューズが目指したのは、機能を足すことではなく、本質を研ぎ澄ますこと。過度なクッションやサポートに頼らず、足裏から得られる情報をダイレクトに感じ取れる構造にすることで、動きそのものの質を高めます。ランニングやトレーニングはもちろん、日常の歩行においても、自分の身体と向き合う感覚を取り戻すことができる1足です。

| サイズ | MEN:25.0-30.0cm WOMEN:22.5-25.5cm |
| カラー | MEN:BLACK, WHITE SAGE, BLACK/COMET WOMEN:BLACK, WHITE, STUCCO/CASPER |
| 価格 | 15,400円(税込) |
ベアフットシューズで自分のポテンシャルを引き出そう
厚底シューズはタイムを出すためには必須のアイテムとなっています。このため、どのような形であれ自己ベスト更新を狙うなら手放す必要はまったくありません。ただ、自分を鍛える。自分のポテンシャルを引き出すという点では、最適解ではありません。
もっと自分のポテンシャルを引き出したい。眠っている才能を覚醒させたい。そう考えたときに選んでもらいたいのがMERRELLのベアフットシューズです。Vapor Gloveは裸足に限りなく近く、履き続けることで体の感覚が研ぎ澄まされ、細かな筋肉まで鍛えることができます。
ただ、すべての人がいきなりVapor Gloveを履きこなせるわけではありません。すぐにでも強い体を手にしたいかもしれませんが、まずはTrail Gloveで裸足感覚の基礎を身に着けつつ筋力アップを図り、次のステップとしてVapor Gloveを選ぶのがおすすめです。
また、いずれのシューズを選ぶにしても、最初は無理しないことです。短い距離からはじめて、無理なく走れる距離を徐々に増やしていきましょう。慣れさえすれば、MERRELLのベアフットシューズでフルマラソンを走れるようになるので、焦らずゆっくり鍛えていきましょう。
