
ランニングシューズの概念を変えたのが、ナイキのヴェイパーフライなのは、いまさら疑う余地もありません。ここから大きくランニングシューズが変わると感じた人もいるかもしれません。
ところが他社の新世代シューズ開発は思うように進まず、ナイキの次に名乗りを上げたのはHOKA ONE ONEで、そして次に新世代シューズを発表したのは、意外にもニューバランスでした。
すでに発売になっているスピードを追求した「FUELCELLシリーズ」。ここではFUELCELLシリーズがどのようなランニングシューズなのか、現在分かっている情報をまとめてご紹介します。
FUELCELLシリーズはどんなランニングシューズ?
● スピードを追求したランニングシューズ
● 5280・REBEL・PROPEL・ECHOの4種類展開
FUELCELLシリーズのいいところ
● 手頃な価格帯
● かつてないスピードを手に入れられる
● 軽量でフィット感が高い
FUELCELLシリーズの残念なところ
● 5280は1マイル(約1.6km)専用
● 走ってみないと良さがわからない
● シューズに合った走り方を求められる
FUELCELLシリーズとは

まずはFUELCELLシリーズについて説明します。FUELCELLの読み方は「フューエルセル」で、ニューバランスが開発した、まったく新しいミッドソール素材「FUELCELLソール」から名付けられています。
「FUELCELLソール」はTeam NBの陸上中距離選手として世界で活躍するジェニー・シンプソン選手のパフォーマンスデータをもとに、新たなデザインや素材を試しながら何十足ものプロトタイプを試作して作られています。
ニューバランスのミッドソールの中でも最も高い反発弾性を備え、他社のミッドソールにはないゴムのような反発力を得ることができます。
FUELCELLシリーズはそのFUELCELLフォームを使ったランニングシューズということになります。このシリーズは用途やスピードに合わせて4種類がラインナップされています。
● FUELCELL 5280
● FUELCELL REBEL
● FUELCELL PROPEL
● FUELCELL ECHO
それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
FUELCELL 5280

FUELCELL 5280は1マイルレース(約1.6km)の中距離を走るために作られたシューズです。FUELCELLフォームにマルチダイレクションカーボンファイバープレートを組み合わせることで、かつてない推進力を得ています。
トラックで履くスパイクシューズのようなものだと考えてください。地面を蹴り出す必要があります。しかも踵をほとんど付けることなく。おそらく5kmのレースでも厳しいはずです。
覚えておいてください。これはフルマラソンを走るためのシューズではありません。スピード練習には使えても、レースでは足が耐えられなくなるので、使い方だけは間違えないでください。

価格:未定(US $200)
重さ(推定):170g(Men’s 30cm)
発売日:2019年9月
FUELCELL REBEL

「FUELCELLフォーム」をフォアフットに搭載し、蹴り出しの際に弾むような推進力を得ることができます。こちらも、フォアフットに適したランニングシューズで、おそらくフルマラソンでも対応します。
フォアフット前提ですので、サブ3レベルよりも速いランナーでないと、シューズのスペックを持て余すかもしれません。5280との違いはカーボンプレートの有無で、こちらにはカーボンプレートは内蔵されていません。
アッパーに最新技術の「TRACE FIBER」を採用したことでフィット感が高まっていますので、追従性が高くストレスが少ない仕上がりになっています。



価格:12,500円(税抜)
MEN’Sサイズ:D/25.0-29.0cm
WOMEN’Sサイズ:B/22.0-25.5cm
重さ(推定):204g(Men’s 27cm)
発売日:発売中
FUELCELL PROPEL

FUELCELL PROPELは、やや立ち位置が難しいランニングシューズです。「FUELCELLフォーム」をミッドソール全面に使用していますので、ミッドフットで着地して、足裏全体で反発力をもらいます。
ただ、そのことによってシューズが重たくなっています(反発があるので走り出すとあまり重さを感じません)。また、フォアフット部のカーブから分かるのは、こちらもある程度の蹴り出しを計算に入れているということです。しっかり地面を蹴り出してスピードを出すシューズです。
このため、最後まで走り抜くだけの走力があり、きちんと鍛えられているランナーが気持ちよく走るための1足となります。重ささえ気にならなければ、まずはここから初めて見ることをおすすめします。



価格:12,000円(税抜)
MEN’Sサイズ:D,2E/25.0-29.0,30.0cm
WOMEN’Sサイズ:B,D/22.0-25.5cm
重さ(推定):255g(Men’s 27cm)
発売日:発売中
FUELCELL ECHO

FUELCELL ECHOはやや立ち位置が不明で、デザイン性を重視したということはプレスリリースなどからも分かりますが、どれだけ走れるシューズなのかは分かりません。
価格帯が100ドルということで、TPUヒールカウンターが付いていることから、おそらく安定性の高い初心者向けモデルになるのだとは思います。とはいえFUELCELLシリーズにラインナップされていますので、スピードを出せるシューズに仕上がっているはずです。
10月発売ということですので、それまでどのようなシューズなのか分かり次第ご紹介します。
価格:未定(US $100)
重さ(推定):不明
発売日:2019年10月
FUELCELLシリーズは買いか?
FUELCELLシリーズはかつてない、スピードを追求したランニングシューズです。5280にいたっては、フルマラソンどころか1マイルを速く走るためだけに作られており、その発想が新しいため、私たちは混乱するかもしれません。
マラソンランナーとして手に入れるべきは、5280ではなくREBELかPROPELです。実際に履けていないので断言はできませんが、フォアフットならREBEL、ミッドフットならPROPELというような考え方で良いかと思います。
ただ、いずれも「蹴り出す」タイプのシューズです。強く蹴り出せば蹴り出すほど高い反発力を得られ、かつてないスピードを手にすることができます。そういう意味では、鍛えられたランナーのシューズでもあります。
万人向けではなく、シリアスに走ることと向き合える人におすすめの1足。買いかどうかはそこで決まります。
ただし、このシューズもランニングの未来を変える可能性がある1足です。オールドタイプのランニングシューズに、飽き飽きしているというランナーなら、価格も手頃なFUELCELLシリーズは、ランニングの楽しさを再構築してくれるかもしれません。
ニューバランス:FUELCELL COLLECTION
https://shop.newbalance.jp/shop/e/eEnb-fuelcell