【シューズレビュー】MEDIFOAM アクティブリカバリーモデル RUNNERS HI 2

リカバリーにこだわったシューズづくりを行っているMEDIFOAMが、サブ3.5〜サブ4ランナーをターゲットにしたランニングシューズ「RUNNERS HI 2」を発売しました。ジョグで履くための1足ですが、もちろんレースにも利用でき、さらにはスピード練習にも使える可能性があります。

MEDIFOAMからレビュー用にRUNNERS HI 2を提供していただけたので、このランニングシューズの特長について解説しながら、いったいどのような魅力があるのかについて実際に履いて走った感覚を元にご紹介していきます。

目次

MEDIFOAMの3本柱

RUNNERS HI 2のレビューをする前に、まずはRUNNERS HI 2がどのようなコンセプトのランニングシューズなのかについて簡単にご紹介していきます。MEDIFOAMは「走るリカバリーシューズ」がコンセプトで、ランナーのケガを少しでも減らすことを目的にランニングシューズの開発をしています。

そのMEDIFOAMにはこれまで、初心者からフルマラソン4時間台のランナー向けとして「ベーシックリカバリー」があり、さらにはサブ3.5からサブ3ランナー向けの「パフォーマンスリカバリー」をラインナップさせています。そこに新カテゴリーとして「アクティブリカバリー」がこの秋追加されました。

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詳細はこの記事を参考にしてもらいたいのですが、RUNNERS HI 2は新カテゴリーの「アクティブリカバリー」に属する1足です。

ベーシックリカバリー:初心者からフルマラソン4時間台
アクティブリカバリー:フルマラソンサブ4からサブ3.5
パフォーマンスリカバリー:フルマラソンサブ3.5からサブ3

このようなカテゴリー分けがされており、RUNNERS HI 2はサブ4からサブ3.5を狙うランナー向けに開発されています。ランニングにハマり、これから記録更新を目指して練習量が増えていく層向けで、1kmを5分から6分かけて走るくらいのランナーに適しています。

軽量ではないがフィット感が高く重さを感じない

RUNNERS HI 2は25.5cmで片足が実測値で273gになります。ベーシックリカバリーのRUNNERS HIが実測値で274gですので、重さにそれほど違いはありません。もっともRUNNERS HIはソールもすり減っているので、新品ですともう少し重くなります。

いずれにしてもランニングシューズとして、軽量モデルではありません。ただし、従来のモデルよりもフィット感が高く、中足部をしっかりとホールドしてくれるので追従性が高く、実際の重さほどは重量は感じません。あと50g軽かったら嬉しいのですが耐久性を考えると仕方ないのかもしれません。

中足部には高いフィット感がありますが、私の足がスクエア型というのもあって、親指の外側がアッパーに当たります。これはMEDIFOAMの他のモデルでも同じように当たるので、本来なら0.5cm大きめを履くべきなのかもしれませんが、レビューということでフィット感を重視して25.5cmを選んでいます。

親指は当たるものの、前足部には少し余裕があり、指を1本ずつ動かすことができます。親指の当たりは走り出しには気になりますが、走っているとアーチが上がっていく感覚があり1〜2kmくらい走るとほとんど気になりませんでした。

踵のホールド感も高く、足全体が包み込まれるようで安心感があります。やや過保護かなとは思いますが、そこはリカバリー重視のランニングシューズですのでコンセプトを考えると過保護くらいでちょうどいいのでしょう。

柔らかく粘り強いソールと高いグリップ力

ベーシックリカバリーのRUNNERS HIはソールがとても硬いシューズでしたが、アクティブリカバリーのRUNNERS HI 2は柔軟性と反発力を兼ね備えています。指で押すとかなり柔らかく感じますが、EVAカウンターをとEVAカップインソールがあるので、沈み込むような柔らかさではありません。

走るとクッションが効いているのがわかりますが、フカフカした感じではなく粘り気を感じます。そして、ラバーアウトソールがしっかりと路面を掴んでくれます。ラバーアウトソールは以前のモデルも採用していますが、パターンを変えたからか、グリップ力まったく別物になっています。

路面に食いつく感覚があり、一歩がとても力強く、上り坂をガンガン上がっていけます。従来モデルは下り坂が得意で、上りはもっさりしている感じがありましたが、RUNNERS HI 2は上りで面白いようにスピードに乗ることができます。

試しに1kmのタイムトライアルをしてみましたが、3分33秒という結果。2週間ほど前に行ったAdizero Adios Proでの記録が3分24秒ですので、やはりスピードを出して走るためのシューズではないことがわかります。Adizero Adios Proがやや特殊ではありますが。

ただ、パフォーマンスリカバリーのITENを履いたときも1kmのタイムトライアルが3分32秒でした。そのときとはコンディションも違いますので、比較することに意味はないのかもしれませんが、個人的にはパフォーマンスリカバリーモデルよりも高いポテンシャルを感じます。

ITENも好きなシューズのひとつですが、RUNNERS HI 2をあと50g軽くできたら、パフォーマンスリカバリーモデルは必要なくなるような気もします。

のんびり走るのには適していない

RUNNERS HI 2を履いて走ると、足裏のアーチ(内側縦アーチ・外側縦アーチ・横アーチ)を使えている感覚が伝わってきます。ミッドフットで着地をすると親指の付け根、小指の付け根、踵の3点がしっかりと接地しており、グリップ力の高さと合わせて推進力を生み出されます。

人によっては履き初めの数回は、足裏が張ってしまうかもしれません。できるだけこまめに足裏をほぐしてあげたほうがいいかもしれません。ただ、この感覚はそれなりにスピードに乗ったときだけ。キロ6分以上かけてのんびりジョグしている時にはありません。

ジョグ用のリカバリーシューズですので、ゆっくり走るために作られていますが、RUNNERS HI 2は足を回す(足を折りたたむ)ことで推進力が生まれるシューズですので、気持ちよく走ろうと思うとジョグでも足はきちんと回さなくてはいけません。

そうなると、自然とキロ5分くらいにはなります。キロ6分くらいでのんびり走りたいなら、RUNNERS HI 2である必要はありません。ジョグをしながらでもきちんと地面を掴んでグッと前に出る。RUNNERS HI 2はそういうシーンでの利用に適しています。

3分/kmの先にチートモード搭載

いろいろなスピードや走り方を試していると、自分の体重を感じなくなる瞬間があるのに気づきました。かなりスピードを上げ、接地時間を短くしたときに地面から身体が浮いているような感覚になり、力を入れなくてもスピードをキープできるようになります。

ただ、そのスピードが2分45秒/kmくらいの領域なので、サブ3を達成できないレベルの私にはそれを長く維持することができないのですが、力を入れていないので他のシューズでそのスピードを出すよりも持続できます。そうなってくると、これまで使ったことのないような筋肉が稼働しているのを感じます。

実際翌日にはいつもと違う場所が筋肉痛に……

高いグリップ力があるので、コーナーでもスピードを落とす必要がなく、面白いほどハイスピードを維持できます。おそらく200〜300mくらいはトップスピードを維持できていたかと思います。普段経験することのない領域でのスピード維持ができる。

開発者が意図したものなのか、偶然の産物なのかはわかりません。ただ、このチートモードを使えば、例えば100mや200mのショートインターバルや、HIITなどでこれまで以上にスピードを上げることができ、筋力に刺激を入れられるようになります。

あまり無理をするとMEDIFOAMでもケガをするリスクもあるので、様子見しながらということにはなりますが、そういう使い方ができるということは、このシューズの使い方が大きく変わってきます。基本はジョグ用や距離装用として利用できますが、そのような短いインターバルにも使え、トレーニングならペース走でも活躍します。

シューズが重いので1kmや5kmのインターバルにはおすすめしませんが、マラソン大会がない状況で毎日履く1足としてはオールマイティ感が高く、ケガを回避しながら走れる足を作るのに面白いシューズです。トレーニングはこれ1足で、あとはレース用の厚底×補強プレートのシューズを1足持っておけば、レースシーズンにも使えます。

ソールの剛性が高く、シューズがねじれないのでプロネーションも起こりにくく、まっすぐに足を動かせるというMEDIFOAMのDNAはきちんと受け継いでいますので、美しいフォームが身につきやすいというメリットもあります。12,500円でこの万能性、かなり魅力的な1足です。

目先のタイムを追求するのではなく、本質的な速さを手に入れたいなら、RUNNERS HI 2は買いの1足です。

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