RUNNING STREET 365はワークマンのアンバサダーもしており、今回は「走れるJOGサンダル」を提供してもらいました。格安ランニングシューズで人気のワークマンから発売される「走れる」サンダルということでかなり気になっていたのですが、最初に見たときにひらめきました。これトレランに使えると。
というわけで、今回は「走れるJOGサンダル」を履いて、小田急鶴巻温泉駅から丹沢山系の大山(標高1,252 m)までの往復23kmを走ってきました。ひらめきどおりトレイルを走れるサンダルなのか、それともさすがにトレイルは無理なのか、実際に走った感覚をレビューしていきます。
グリップ力が高く安定感がある
「走れるJOGサンダル」のファーストインプレッションは「重たい」です。Mサイズで326gもあるので、いくら走れる設計になっていても、軽量のランニングシューズが揃っているワークマンで、この重たいサンダルを走るためにあえて選ぶ必要はありません。
さらに他のシューズのようにサイズが細かく分かれておらず、「M・L・LL・3L」の4種類だけですので、ベルトで多少調整はできるものの、ランニングシューズのような高いフィット感はありません。それでもトレランで走れると思ったのはグリップ力と安定感の高さを感じたからです。
ソールのラバーにかなりの厚みを持たせているので、それが重さの原因になっていますが、ハイキングシューズのようなしっかりとしたグリップ力があり、さらに前足部の幅があるので着地したときにブレることがありません。重さがあるとはいえ、トレランシューズだと考えれば標準的。
履いて気なったのは土踏まずのサポートが強いことです。私は裸足で走ることもあって土踏まずの筋肉が発達しているのもあって、強制的なサポートが苦手なのですが、おそらくほとんどの人はそこまで気にはならない、もしくはサポートがあるから走りやすく感じるかもしれません。
フラットなトレイルならキロ5分30秒まで出せる
大山はこれまで何回も走っている地元の山なのですが、昨年はコロナ禍ということもあり1度も山頂までは走っておらず、普段からトレイルを走ることも少ないので、往復23kmを走りきれるのかかなり不安でしたが、シューズ(サンダル)の性能を確認するにはある程度ハードでないと意味がありません。
このコースはスタートからしばらくは走りやすい里山で、「走れるJOGサンダル」でもしっかりと足を回せます。ただし、自分の体力に自信がないのでジョグ感覚で走りましたが、それでもキロ5分30秒くらいまで上がる瞬間が何度かありました。
重さがあるのでそこまでスピードが出ないかなと思ったのですが、足元のグリップがしっかりしているので、自然と1歩が力強くなったのでしょう。またミッドソールにBounceTech(バウンステック)を使っているので、ほどよく衝撃を吸収してくれます。
ただし、上りは足元が重たいのもあって、ほぼ歩き状態になってしまいます。もう少し鍛えていれば走れるのでしょうが、1年以上も山をまともに走っていないので、まずは無事に帰ってくることを重視して、上りは歩きと割り切るようにしました。
上りも下りも滑ることなく走れる
「走れるJOGサンダル」を履きながら走って(歩いて)感じたのは、滑らないということ。普通のトレランシューズならあたり前のことですが、このサンダルはトレイルを走ることどころか、山道を歩くことすら想定していないわけです。ただ想定外の使われ方であってもしっかりと機能するのが面白いところ。
そもそもワークマンは現場などで使うことを想定して商品開発をしてきた歴史があり、滑りにくいという安全性の部分をとても大事にしているメーカーです。トレイルくらいで滑らないのはあたり前のことかもしれません。乾いた路面でもしっかりとグリップします。
安全性という意味では、つま先部が革で補強されているので、木の根などを蹴ってしまっても指先を傷めることがありません。これは実際に走ってから気づいたことですが、つま先が守られている安心感があり足元をそれほど気にせず走れてしまいます。
トレイルを走ることを想定していないことによる欠点が1つあります。それはソールのサイドエッジが立っていることで、着地するときに何度かサイドエッジが引っ掛かって足を捻りそうになりました。きちんと前足部で着地ができているときには問題ありませんが、疲労が溜まってきてフォームが崩れたときには注意が必要です。
気になる人はソールのエッジを面取りしたほうがいいかもしれません。特にO脚気味で小指側から着地するタイプの人は気をつけてください。
反応が遅れるので下りが怖い
ここまで「走れるJOGサンダル」の良いところばかり挙げてきましたが、もちろん弱点もあります。それは下りがこわいということ。そもそも私がビビりというのもあるのですが、ジャストサイズではなくソールも重たいということで、シューズの操作性があまりよくありません。
足を上げるときにわずかながらシューズの追従するタイミングが遅れてしまうので、そのわずかなタイミングのズレが足さばきを躊躇させます。フィット感の高いシューズであれば、足を小さく早く動かすことで素早く下れるのですが、「走れるJOGサンダル」は反応が遅いのでゆっくり丁寧に下りる必要があります。
特に大山の山頂付近は岩がゴロゴロしており、小さなステップが必要になるのですが、さすがに1,900円のサンダルではこれに対応できません。里山や整備されたトレイルを走るのにはまったく問題ありません。でもガレ場を走るのはかなり難易度が上がります。
走らずに歩くのであればいいので、ハイキングくらいなら問題なく履けそうですが、サンダルでハイキングしていたら「山を甘くみるな」と山屋さんに叱られそうな気も……。とにかくガレ場を軽快に走るというのはあまり得意ではないシューズだということを頭に入れておきましょう。
往復したタイムは普通のシューズとほとんど変わらない
毎年シーズン最初のトレイルはほぼ100%途中で足が攣っていましたが、今回は安全重視で走ったということで、最後まで足が攣ることはありませんでした。ただし、1年以上もトレイルをまともに走っていないので、筋肉への負担は大きく鶴巻温泉駅に戻った頃には足がボロボロ。
それでも最後まで走り抜くことができ、往復のタイムが4時間23分(往路2時間19分・山頂休憩4分・復路2時間)と、これまで走っていたのとほぼ同じタイムで戻ってこれました。そういう意味では「走れるJOGサンダル」でも問題なく山を走れるということです。
サンダルのサイドとヒール部が開口しているので、途中で2回ほど小石と木の枝を取り除く作業が発生しましたが、これは想定内。むしろもっと入り込むかと思いましたが、靴下を履いていたのもありほとんどノンストレスで走り切れました。
本格的なトレランをするなら、きちんとしたトレランシューズを買うことをおすすめしますが、年に数回だけトレランを走るというのであれば、「走れるJOGサンダル」でもまったく問題ありません。数回のトレランのためにシューズを買うのはもったいない。そんなときに「走れるJOGサンダル」という選択肢はありです。
ただしサイズ感がとても重要なので、お店で足を入れてみることをおすすめします。そのとき走るときに履くソックスを用意しておきましょう。さすがに素足で履くと小石や小枝が気になりますので。走るのには適していないと感じても、普段履きのサンダルとしても使えるので損はしないはず。
走ってそのままお風呂場などで洗えるのも「走れるJOGサンダル」の魅力のひとつです。いつもきれいな状態にしておけば、ちょっとコンビニに行くなんてときにも便利に使えるので、気になった人は最寄りのワークマンでチェックしてみてください。