7月21日に発売になるアシックスのランニングシューズ「NOVABLAST 2(ノヴァブラスト 2)」をアシックスさんに提供していただいたので、これは発売日までに走り回ってレビューをしろということだと勝手に判断し、街ランから1kmのタイムトライアル、インターバル走などいろいろと試してみました。
初代モデルはトップアスリートも練習用に履くほどポテンシャルが高い1足でしたが、アップデートされたノヴァブラスト 2がどれほどのシューズなのか、そしてどんなシーンで使えるのかなど、実際に履いてみて感じたことをお伝えしていきます。
シューズスペックの詳細につては別記事がありますので、そちらをご参照ください。
https://runningstreet365.com/shoes/25004
アシックスらしい包み込むようなフィット感
アシックスのシューズは優しさでできている。ランニングシューズに限らず、アシックスのシューズを履くときにいつもそう感じます。足を優しく包み込むような独特なフィット感によってホッとさせられる感覚があります。「NOVABLAST 2(ノヴァブラスト 2)」も、そんな優しさを感じられる1足というのがファーストインプレッション。
ノヴァブラストはソールの柔らかさと弾力だけが注目されがちなランニングシューズですが、初代が幅広い層に受け入れられたのはアッパーとの組み合わせで、足を守ってくれる感覚を得られるのが大きいのかもしれません。それでいて重さも感じないので、歩くだけで気持ちよさを感じられます。
ただ軽いのかというとそうでもなく、手元にある25.5cmを測ったところ片足で255gありました。重たいと表現するほどではありませんが、軽いと言うには無理があり、実際の重さは標準的といったところでしょうか。ただ、かつての初心者向けのシューズと比べると格段に軽量です。
軽く感じるのは、やはりソール材の反発力が大きいから。沈み込むだけでなくそれに対する反発が素早く行われるので、脚を上げるときにシューズがしっかりと追従してくれます。この反発に強引さがなく、ナチュラルで心地よさを感じられるのがノヴァブラスト 2の魅力のひとつです。
都電荒川線15kmを走ってみた
「NOVABLAST 2(ノヴァブラスト 2)」はファンラン用のシューズということで、皇居や河川敷などで安定したスピードで走るのではなく、走ったり歩いたりを繰り返すシチュエーションでの使用が多いと思い、ラン仲間と都電荒川線を走る機会があったので、そこに履いていきました。
早稲田から三ノ輪まで寄り道をしながら約15kmです。早稲田からスタートして少し行ったとことに、都内で最も厳しい坂とも呼ばれている傾斜22%の「のぞき坂」がありましたが、ノヴァブラスト 2は難なく上れてしまいます。ただしフォアフットになるので「跳ねるように」とはいきませんでした。
反対に下りだと、とんでもないスピードを出せそうですが、この傾斜でそれをする勇気がなくてやめておきました。
最大の難所を序盤に通過して、あとはジョグのようなペースで走ったり、暑さに疲れて歩いたりを繰り返し。足が元気な序盤は踵から着地しながらバウンドする感覚が強くありましたが、暑さで足取りが重たくなってくると、反発力や推進力よりもソールの柔らかさを強く感じます。
ここで気になったのがソールに熱がこもるということ。ノヴァブラスト 2はフライオフォームブラストを圧縮させ、反発して復元するときの力を推進力に変えているのですが、この変形でフォーム材に熱が発生するのかもしれません。気温が30℃を超えていたのもあって、足裏がじんわりと熱を感じます。
熱さの感覚は個人差があるので人によって感じ方が違うかもしれませんが、ノヴァブラスト 2を購入しようと考えている人は頭に入れておいたほうがいいでしょう。特にブラックカラーのモデルですと、より熱がこもってしまう可能性があります。ただしアッパーは通気性がいいので、シューズ内が蒸れるということはありません。
ファンラン用のシューズなので、夏場の日中に走ることは想定していない可能性もあります。例えば冬のランニングだと考えると、この熱は暖かさに変わりますのでむしろ快適さにつながります。真夏の30℃以上の気温の中を1時間以上走るというのでなければ、そこまで気にはならないかもしれません。
また、このシューズに慣れていないというのもあって、走り終えたときにアキレス腱からふくらはぎにかけて疲労感がありました。踵が跳ねるのでアキレス腱やふくらはぎが圧縮されるためだと思いますが、いきなり長い距離を走らず、しばらく足をノヴァブラスト 2に慣らしたほうがいいかもしれません。
徐々に距離を伸ばしていけば問題ありません。これはノヴァブラスト 2に限らず個性が強いシューズを履くときには同じように気をつけなくてはいけないポイントです。足に違和感や疲労感が出てきたら、そこでその日のランニングを終了しましょう。
フィジカルトレーニングには不向き
実は都電荒川線ランをする直前まで練習会をしており、そこではスクワットやジャンプなどの筋トレ中心のメニューをこなしてきましたが、そこで履いていた感じを率直に言えば、フィジカル系のトレーニングとノヴァブラスト 2の相性はあまり良くないようです。
ノヴァブラスト 2はソール幅が広がっており、従来のモデルよりも安定性を高めています。それでもソールがかなり柔らかいので、例えば片足でバランスを取りながら立とうとすると、体幹がそれなりに安定している人でないと、簡単にぐらついてしまいます。
ジャンプ系のトレーニングでも衝撃を吸収してしまうので、筋肉への負荷が減ってしまい、十分なトレーニング効果を得られません。強みは時として弱点にもなるのですが、ジャンプ系のトレーニングにおいてのノヴァブラスト 2がまさにそれにあたります(いつもより跳ねるから楽しいのですが)。
フィジカルトレーニングをする場合の理想は裸足です。裸足が難しいとしてもソールが薄くて地面を感じやすいものがおすすめで、ノヴァブラスト 2はその真逆に位置するシューズです。シューズに問題があるのではなく、適材適所を考えたときに「そこが使いどころではない」というだけのことです。
また、ノヴァブラスト 2はまっすぐ走ることに特化したシューズです。他のランニングシューズも基本的には前に進むことだけを考えて設計されていますが、ノヴァブラスト 2は前への推進力が特に強いので、横への動きが苦手です。このためサッカーやテニスなどの横の動きが求められる競技のフィジカルトレーニングにも適していません。
ランニングにしても他の競技にしても、カラダづくりのためのトレーニング(ランニング以外)をするときには、別のシューズのほうがよいでしょう。
1kmのタイムトライアルと400mインターバルに挑戦
ここまで推進力が強いシューズですと、やはりどこまでスピードを出せるのかが気になります。そこで1kmのタイムトライアルをしてみました。私の1kmの標準タイムが3分30秒程度で、ノヴァブラスト 2を履いたタイムが3分41秒でした。これはほぼ想定通りのタイムです。
加速力が優れているのですが、スピードを維持するのが難しく、一気にトップスピードになるのに、それを維持できないから心肺機能に負荷がかかりすぎて、徐々にスピードが落ちていきます。これは400mのインターバルでも同じように感じました。
400mインターバルでも加速は厚底✕カーボンプレートのシューズに負けないほどでしたが、100〜200mくらいでスピードを維持するのが難しくなります。最初の1本はいつものペースで走っているのに、300mで足が止まってしまったほどです(私のスキル不足もありますが)。
ただ面白いのが心肺がかなり苦しくなるのに、足のダメージがほとんどありません。これは1kmのタイムトライアルでも同じで、足への衝撃をシューズが吸収してくれているのが確認できました。ただ、その吸収した衝撃エネルギーを100%推進力にリターンしているわけではなく、むしろロスが多いのでスピードが逃げてしまいます。
こちらも適材適所ということで、スピードを維持するトレーニングや足を鍛えるというトレーニングには適していません。一方で足を守るためのジョグやリカバリーラン、そしてHIITのような心肺機能に高負荷をかけたいときにノヴァブラスト 2は高いポテンシャルを発揮するように感じました。
ファンランやジョグで使うのがベスト
得意とするトレーニング
● ジョギング
● リカバリーラン
● HIIT
苦手とするトレーニング
● インターバル走
● ペース走
● タイムトライアル
「NOVABLAST 2(ノヴァブラスト 2)」はファンランやジョグに最適化されたランニングシューズというのが実際にいろいろ試してみた結論。当然の結果ですが、「跳ねるように走れる」や「強い推進力がある」と聞くと、いろいろ期待したくなりますよね。
フルマラソンを走れるかと聞かれれば「問題なく走れる」と答えますが、最適なシューズと比べて10〜20秒/kmくらいペースが落ちます。クッション性の高さが推進力のロスを生むので1秒でも速く走りたいなら、スピードを維持しやすいレース用のシューズを選びましょう。
完走できればOKというのであれば、ノヴァブラスト 2は足をしっかりと守ってくれるので「あり」です。ただし、ほとんど練習せずにいきなりフルマラソンを走るとシューズの反発力に足が負けてしまい、足を消耗して後半に失速する可能性もあるので、しっかりトレーニングを積んだ上で使いましょう。
レースを考えておらず、健康のために毎日コツコツ走りたいならノヴァブラスト 2は「最初の1足」として最高の相棒になってくれます。走る喜びを与えてくれますし、ランニングが楽しくなるので、気がついたら走ることが生活の一部になっているはずです。
また足に負担をかけずに走れるので、レースやポイント練習翌日などに疲労が残っているけど、少し走っておきたいというようなときにも使えるので、持っていると意外と出番が多い1足になるかもしれません。
商品概要
NOVABLAST 2紹介ページ
https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/running/blast
価格 | 17,600円(税込) |
発売日 | 2021年7月21日 |
品番 | メンズ:1011B192 メンズ(ワイド):1011B398 ウィメンズ:1012B049 |
サイズ | メンズ:24.5-29.0cm、 30.0cm、31.0cm、32.0cm ウィメンズ:22.5-26.5cm |
カラー | メンズ ・クリアブルー×ホワイト ※1011B192のみ ・ブラック×ピュアシルバー ウィメンズ ・サンダーブルー×ソフトスカイ ・ブラック×シルバー |