
今年の東京マラソンを走ったRUNNING STREET 365スタッフの重松です。東京マラソン2026では、手元にある初代S4かマジックスピード3で走るつもりだったのですが、直前になって提供していただいた「NOVABLAST 5」を履いて走ることに。
無事完走もしたことですし、実際に走っていて楽しく感じた瞬間、気になった点などもありましたので、発売から1年以上経過していますが、いまさらシューズレビューをしておこうかなと。セールの対象になることもあるシューズですので、購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
「NOVABLAST 5」は完成されたランニングシューズ

NOVABLASTに足を入れるのは、2021年にレビューした「NOVABLAST 2」以来のことです。「NOVABLAST 2」はとにかく走るのが楽しく、自宅に何足もあるランニングシューズの中からジョグをするときに選ぶことが多かったシューズのひとつ。
ランニングシューズのレビューをしていると、1足を履き潰すことがほとんどないのですが(しかも裸足ランナーなので)、「NOVABLAST 2」はボロボロになるまで履いてお別れした記憶があります。そこから3世代進んだわけですが、ファーストインプレッションは「NOVABLAST 2」のイメージそのままでした。
もう何年も前の記憶なので、かなりあやふやなものになっていますが、「NOVABLAST 2」を初めて履いたときのような驚きもなく、むしろ弾む感覚は小さくなっているのかなと。「NOVABLAST 2」はとにかく弾むことを重視し、「NOVABLAST 5」は正しく弾むことを重視し、シューズとしての完成度を高めたモデルという印象です。

実際に「NOVABLAST 5」は2024年11月発売ですが、1年以上経過したにもかかわらず「NOVABLAST 6」が発売されていません。これ以上、改善する点が見つからないくらい完成しており、新モデルの開発に時間がかかっているのかもしれません。
重さは25.5cmで232gなので、「NOVABLAST 2」よりも23gも軽量化しています。このクラスの軽さになってくればレースでも躊躇なく使用できます。「NOVABLAST 2」は、私にとって完全にジョグシューズという位置づけでしたが、「NOVABLAST 5」はタイムを狙うレースとフィジカルトレーニング以外は何でも使えそうです。
アシックスらしい、足を包み込むような感覚は健在。ただ、後ほど詳しくお伝えしますが、自分の足の形と合っていない部分があり、フルマラソン後には両足の親指の爪がかなり圧迫されていました。これはシューズのラストがギリシャ型(人差し指が長い形)で作られているためで、エジプト型(親指が長い形)の私の足だと0.5cm大きめにするべきだったかもしれません。
東京マラソンの前半は弾むように楽しく走れた「NOVABLAST 5」

東京マラソンの前々日に、少しでも足に馴染ませておこうと思って、取材に行くのに少しだけ履いたものの、レース当日まで1回も履いて走ることなくスタートラインに立つことになりました。シューズレビューをしていると、そういうことは珍しくなく、まずはシューズの特徴を掴みながら走り出します。
とはいえフィーリングは「NOVABLAST 2」に近いため、走り方はそれなりに心得ています。「NOVABLAST」をは着こなすために重要になるのは「踵で弾ませる感覚」です。「NOVABLAST 5」のソール厚さは41.5mmあり、いわゆる規定外シューズになりますが、その厚みが弾むような反発力を生み出します。
スタートからしばらくは下り坂になるのもあって、着地が自然と踵側になり、序盤はかなり弾むような感覚で走ることができました。重心の下に足を着くようにするだけで、簡単にキロ6分を切るペースになり、力を入れなくても前に進むので回りをしっかり見る余裕もありました。
このまま弾み続けたら、あっという間にゴールするかもと思っていましたが、フルマラソンはそんなに甘くありませんでした。20kmを超えたくらいから弾む感覚が薄れていき、少しずつ足の力を使って走る必要がでてきました。

ただし、シューズが軽いのもあって、しっかり足を回す意識を持つだけでペースが落ちることはありません。シューズがガス欠になったけど、自分の足のエネルギーで走っているイメージです。もっとも、実際にガス欠になっているのは自分の足で、「NOVABLAST 5」の反発に足が耐えきれなくなっていったというのが正確な表現になります。
弾むということは、それだけ足もダメージを受けます。弾む感覚を活かすにはアキレス腱の動きが重要になるのですが、1回に圧縮される量が「NOVABLAST 5」は大きいのでしょう。徐々にアキレス腱が反発できなくなって、弾むことができなくなったのでしょう。
また、すでにお伝えした通り、自分の足型と合っていないのもあって、両親指の爪が圧迫される感覚が強まっていきます。長い時間走っていたことで、足が浮腫んできたのも影響していたのでしょう。そして、爪のお手入れを怠っていたのも。
そして弾みながら走った結果、腹筋と背筋に縦方向の圧力が繰り返しかかったので、走り終えたときには腹部の筋肉疲労がウルトラマラソンを走ったあとのようでした。このあたりは、普段から履いて走っていれば発生しなかったのでしょうが、いきなり履いたことによる副作用のようなものだと判断しています。
「Runmetrix」による「NOVABLAST 5」の走行データ


東京マラソンで「やっぱりNOVABLASTは楽しい」と感じたので、これはもっと深掘しようということで、疲労が抜けたところで「Runmetrix」を使って「NOVABLAST 5」の走行データをとってみました。そのデータが上記になります。
ジョグペースとレースペースで計測しましたが、かなり興味深い内容となりました。まず共通しているのが安定性の高さ。弾むような感覚のシューズということで、不安定さを伴うのではと予想していましたが、ジョグペースでもレースペースでも軸がブレることもなく、きれいなフォームで走れました。
そしてレースペースになると「骨盤を軸とした全身の運動」の評価値が上がり、「負担の少ない接地」と「スムーズな重心移動」の評価値が下がっています。レースペースでは踵の反発をあまり使えておらず、体の動きでスピードを出していたため、このような結果になったと考察できます。

このデータからわかるのは、ジョグだとシューズの力で推進力が生まれるものの、レースペースになると自分の能力の影響を受けるということです。そのような点からも、「NOVABLAST 5」は乳酸閾値(LT)の範囲で走るためのシューズとするのがベストのように感じます。
ただし、あくまでもこれは1人のランナーの数値であり、他のランナーが計測すると違った評価値になります。ランナーによってはレースペースまで上げたときの相性がよく、もっとも効率のいい走りができる可能性もあります。
それでも確実なのは、弾むシューズというイメージとは真逆の「安定性に優れたシューズ」であり、踵を着けてゆっくり走るときのほうが反発力の恩恵を受けやすいということです。ただ、すり足のような走り方では反発力を受けられないので、きちんと弾んで着地のエネルギーを最大化しながら走る必要がありそうです。

サブ4を狙うレースでも使える最高のジョグシューズだけど

「NOVABLAST 5」はジョグシューズとしては完成の域にあり、発売開始から1年以上経過していますが、今でも購入する価値のある1足です。もしすぐに「NOVABLAST 6」が発売されたとしても、損をしたと感じることもないはずです。
むしろ、Amazonでも楽天市場でも、リーズナブルな価格で販売されているので、今が買いどきのランニングシューズになります。
ただ、個人的に気になっているのは、やはりソール厚さが40mmを超えているという点です。そこをどう考えるかについては別記事があるので、そちらを参照していただきたいのですが、個人的にはマラソンはルールのあるスポーツだと考えているので、タイムを狙うときのレースシューズにはなりません。

ではソール厚さが40mm以内になればいいのかというと、それはまた別の話で、ソールが薄くなることで完成度が下がってしまったら意味がありません。ここが「NOVABLAST」が抱えているジレンマのひとつになります。
逆に考えれば、ソール厚さなんて気にしないというのであれば、「NOVABLAST 5」は有力な選択肢になります。その部分については、現時点での正解はありません。自分の考え方次第ですので、レースに使ってもいいですし、トレーニングシューズとしてだけ使うというのもひとつの考え方。
そして何よりも大事なのは「ランニングを楽しむこと」であり、そのためのシューズとして「NOVABLAST 5」は、間違いない選択肢になります。もっと走りたくなる。走ることがもっと好きになる。そんなランニングシューズを探しているなら、「NOVABLAST 5」は間違いなくベストバイになる1足です。
