RUNNING STREET 365ではナイキ エア ズーム ペガサス 35の紹介記事を書きましたが、そのときにはまだ履いて走れていませんでしたので、簡単な紹介だけの内容になっていました。
今回、実際にナイキ エア ズーム ペガサス 35を履いて走る機会がありましたので、ナイキ エア ズーム ペガサス 34からどのように進化したのか、どこに魅力があるかなどをご紹介します。
クッション性が高くてフワフワした履き心地
ナイキ エア ズーム ペガサス 35に足を入れた瞬間、多くのランナーが足裏側の柔らかさを感じることになります。まるでスポンジの上に立っているような感覚。これにナイキ エア ズーム ペガサス特有の不安定感が加わり、真っ直ぐに立つのがこれまで以上に難しくなっています。
ただ、前作同様に走り出すとその不安定感はすぐに消えます。ただし、フワフワした感じはそのまま残ります。これに関してはランナーごとに評価が分かれるかと思います。
ゆっくり走りたいランナーには柔らかさが心地いいかもしれませんが、少ししっかり走りたいランナーには柔らかすぎて走りにくさを感じるはずです。
ただ、この柔らかさもランニングフォームによって大きく変化します。最適だと考えられる走り方をすれば、ほとんど柔らかさを感じることなく、スピードに乗ることができますが、何も考えずに走り出すと、ずっと「気持ち悪い」が続きます。
どのようなランニングフォームなら、ナイキ エア ズーム ペガサス 35を最大限に活かすことができるのかを次章でご紹介します。
踵着地で地面を押し出すように走る
ナイキ エア ズーム ペガサス 35はフォアフット着地には適していません。前作はどのように着地をしても問題ないシューズでしたが、このシューズは踵着地もしくはフラット着地しか受付けません。
これはシューレースホールの配置を見れば分かります。これまではシューレースホールが2+5段でしたが、このモデルからは2+4段に変更されています。これにより足の先端側のホールド感が下がっています。
このことによって、フォアフット着地をすると着地時に微妙に足がブレてしまいます。これは他社のシューズでも同じことがいえます。一方、踵から着地すれば、足の甲が曲げやすくなり走りのストレスが軽減されます。
フォアフット着地で足がブレる原因は、柔らかいインソールにもあります。足がしっかり固定されていないので、接地時に足がブレて足首や膝に負担がかかります。
このシューズは踵側でのほぼフラットでの接地をイメージしてください。ほぼフラットだけど踵を先に接地させます。その瞬間に斜め下方向に押し出すようにして力を加えます。
そうすると自然と前足部が接地しますので、そのまま流れを殺さないように重心を前足部に移動させながら足を抜きます。
これはかなりテクニカルな走り方ですが、これ以外にナイキ エア ズーム ペガサス 35で速く走れる方法が見つかりません。がむしゃらにスピードを出そうとしても、すべてクッションで力を逃されてしまいます。
ちなみにナイキの開発者も「シューズ後方での着地を意識して開発した」と言っています。フワフワした柔らかさを感じるときには、シューズコンセプトに一致しない走りをしていますので、走り方の見直しを考えてください。
違和感がある人はインソールを交換する
シューズとしてはナイキ エア ズーム ペガサス 34がベースとなっているので、いいものに仕上がっているはずですが、柔らかすぎるインソールが違和感を生み出していることも否めません。
この柔らかさが気持ち悪いという人は、インソールを交換してください。インソールを外してみると分かりますが、本当にスポンジ素材になっています。ナイキがなぜこのインソールを採用したのかは分かりませんが、インソールを通常使っているものに変えるだけで、このシューズは劇的に変わります。
ただし、フォアフット着地に適していないことには変わりありません。着地するときのブレを少しだけ軽減できるため、膝の故障を防ぎやすくなるのと、走りでのロスが少なくなる効果は期待できますが、前作のようなオールラウンドな感じがないのは否めません。
さらにスポンジ素材ですので、足裏に熱がこもってしまいます。冬のレースならプラスになるかもしれませんが、これからの夏の練習などでは熱さを感じて不快感があるという人も出てくるかもしれません。
シューズそのものはメッシュ素材を使うなど、冷却を意識して作られていますが、この冷却効果もインソールによってかき消されています。
すでに手元にシューズがあるという人は、ぜひインソールを交換して、その感覚の違いを体感してください。これは好みの問題ですので、ちょっと柔らかすぎて苦手という人でも、少しは走りやすくなるはずです。
今から買うならナイキ エア ズーム ペガサス 34
まだ購入していなくて迷っているというのであれば、RUNNING STREET 365としては型遅れとなったナイキ エア ズーム ペガサス 34をおすすめします。ペガサス34であれば値段も手頃になっていますし、どんなランナーでもおすすめできます。
もちろんナイキ エア ズーム ペガサス 35も進化していますので、人によっては最高のシューズになりえますが、万人向けというわけではありません。
ナイキ エア ズーム ペガサス 34が飼い主に忠実な柴犬だとしたら、ナイキ エア ズーム ペガサス 35はよく吠える小型犬といったところでしょうか。しつけに失敗すると手に負えなくなることもあります。
もちろん小型犬には小型犬の魅力があるように、ナイキ エア ズーム ペガサス 35にはこのシューズならではのメリットがあります。きれいにハマると驚くほど真っ直ぐに走ることができます。
癖が強いシューズというのが実際に走ってみた印象です。最近のナイキのシューズはいずれも走り方を選ぶものが多くなってきました。ただ、どう走ればいいのかの説明はありませんので、ランナーが試行錯誤しなくてはいけません。
とはいえ、シューズに合わせて走り方を変えるのは面倒ですし、そんなに簡単にできることではありません。自分の走りにシューズのほうが合わせて欲しい。そういうランナーさんは前作のナイキ エア ズーム ペガサス 34がおすすめです。
シューズレビューまとめ
ナイキ エア ズーム ペガサス 35は、履く人を選ぶタイプのランニングシューズです。誰でもシューズのポテンシャルを引き出せるわけではなく、相性がありますので購入するときには注意してください。
・フォアフット着地には不向き
・踵を斜めに押し出す感じで走ると加速しやすい
・柔らかさが苦手な場合はインソールを変える
・上手く履きこなすと無理なく真っ直ぐに走れるようになる
シューレースでしっかりホールドできないため、フォアフット着地のランナーとはあまり相性がよくありません。基本的には踵着地で地面を押し出すようにして走ってみましょう。
またインソールで印象が大きく変わるシューズです。ここでご紹介した走り方をすれば柔らかさは気にならないで走れますが、ランニングフォームを変えたくないというのであれば、安いものでかまいませんのでインソールの交換も検討してみましょう。
とても癖の強いシューズですが、きちんと走れるようになると、体がこれまで以上に真っ直ぐに進むことを実感できるはずです。もしこの感覚がつかめないようでしたら、前作のナイキ エア ズーム ペガサス 34をおすすめします。
ちなみにナイキ エア ズーム ペガサス 35は都内ですとラフィネランニングスタイルでレンタルできます。タオル込みで110円、ロッカーは500円(Neo店は700円)で利用できますので、シューズを借りても周辺の施設よりも割安です。
購入を迷っている人は、まずラフィネランニングスタイルでレンタルしてみましょう。そのときには、普段履いているシューズのインソールを持っていくことをおすすめします。