【シューズレビュー】アディダス Adizero adios Pro(アディゼロ アディオス プロ)

【シューズレビュー】アディダス Adizero adios Pro(アディゼロ アディオス プロ)

先日、ハーフマラソン女子単独の世界記録を塗り替えたケニアのペレス・ジェプチルチル選手の走りを支えたことで、そのポテンシャルの高さを証明したアディダスのアディゼロ アディオス プロ(Adizero adios Pro)。9月14日の一般発売を前に、どんなシューズなのか気になるという人も増えてきました。

今回はそのアディゼロ アディオス プロを発売前にアディダスから提供していただけたので、実際に走ってみた感想やその特長について存分に解説していこうと思います。結論から伝えておきますが、アディゼロ アディオス プロは1分1秒にこだわりたいランナーに最適な1足です。

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軽くはないが重さは気にならない

まずはシューズのスペックについて伝えておきます。私の履いたアディゼロ アディオス プロ(Adizero adios Pro)は25.5cmで片足が211gでした。アディダスには200gを切るランニングシューズがいくつもラインナップしていますので、決して軽量というわけではありません。

おそらくソールを薄くすればもっと軽量にはできるのでしょうが、このソールの厚さがクッション性と反発力を生み出していることを考えると、この重さがアディダスの最適解ということなのでしょう。ランニングシューズは軽ければいいという時代はすでに過去のものなのかもしれません。

フィット感は前足部がやや緩めで、中足部でしっかりとフィットさせるタイプになります。シューズタンが中足部を包み込む形状になっており、それをアッパーでさらに包むのでフィット感はかなり高めで、人によってはタイトに感じるかもしれません。

ただシューレースホールが外側にもあるので、足の幅が広い人は、そちらを使うことで、フィット感をの調整ができます。フィット感の高さと構造の関係で、やや履きにくいのが、アディゼロ アディオス プロの数少ない弱点かもしれません。

アッパーが薄いので、強引に引っ張ると破れるのではないかと不安にもなります。もちろん十分な強度はあるのでしょうし、慣れればスムーズに履けるようになるはずです。何よりも走りにはまったく関係ありません。

シューズのこまかなスペックについては下記をご参照ください。

気がついたらスピードが出ている感覚

まずは私の走力からお伝えしておきましょう。フルマラソンは3時間12分程度で走っており、ハーフマラソンは1時間25分。サブ3を目標にして毎年壁に跳ね返されるのを10年以上繰り返しているレベルのランナーです。レース用のシューズはアディゼロジャパン5を履いており、アディダスのシューズには慣れています。

ただ、アディゼロ アディオス プロはさすがにこれまでにない感覚で、どう走るのか正解なのか探るところから始めなくてはいけませんでした。ジョグから入るのですが、いつもキロ5分くらいでジョグをしているコースで、軽く走ってキロ4分30秒くらいになります。

つま先がかなり上がっているので、中足部で着地をして前足部に体重移動するとそれだけでスピードに乗ってしまうようです。ただ、感覚的には速く走っているわけでもなく、いつもどおりに走ったらペースが速いという感じです。

YouTubeの解説などで、跳ねるような感覚がすごいと言っている人もいますが、わたしはその感覚はなく、気がついたらスピードが出ています。きれいな足の運びを意識すると、地面を強く蹴ることもなくスピードが上がっていきます。

この手のランニングシューズは、ゆっくり走るのが苦手ですので、あえてキロ6分台で走ってみました。そうすると、安定感がなく気持ち悪い感じがあります。そこから徐々にスピードを上げてキロ5分に入ると、反発力をわずかに感じるようになります。

アディゼロ アディオス プロのソールに使われているLIGHTSTRIKE PROはある程度のスピードが出ないと変形せず、十分な反発をもらえないのでしょう。ただキロ5分で走るのはかなり難しく、足をしっかり折りたたみ、回転させるようにして走ると、黙っていてもキロ4分30秒を切ってきます。

BOOSTフォームは爆発するような反発力でしたが、LIGHTSTRIKE PROは日本等のような切れ味のある反発力になっています。BOOSTフォームはタイミングが合えば大きな力をもらえるのですが、タイミングを外すと思ったほどの推進力を得られません。

ところがLIGHTSTRIKE PROは反応が速いので、タイミングを気にする必要がなく、むしろどれだけ力をかけて変形させられるかがポイントになります。このため、アディゼロ アディオス プロはある程度のスピードが求められるランニングシューズということになります。

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3分30秒/kmからが本域

そもそもアディゼロ アディオス プロはキロ3分を切るペースを想定したランニングシューズですので、さらにスピードを上げていきます。地面を強く蹴るというのではなく、足の回転数を上げていくだけでキロ3分台に入ります。そこからさらに出力を上げていくと、安定領域に入ります。

私の走力の場合はキロ3分30秒前後で、ブレが消えてランニングシューズの踵に重みを感じました。重くて走りにくいというのではなく、むしろ安定感があります。初めての経験でしたので戸惑いましたが、おそらくこのスピードからが、アディゼロ アディオス プロの本域なのでしょう。

ランナーの体重や出力、路面状態などによっても違いますが、ある程度負荷が大きくなり、5本のカーボンロドとソールに十分なしなりが発生したときに、反発力もMAXになって安定するのだと考えられます。その領域がキロ3分30秒前後なのでしょう。

アディゼロ アディオス プロを選ぶレベルのランナーに、このシューズの走り方をお伝えする必要はないかもしれませんが、レビューですので感じた走り方も伝えておきます。このシューズはフォアフット系ではありません。ミッドフットよりもやや踵側から着地して前足部に体重移動するときれいに反発をもらえます。

ただし、接地する場所は重心より後ろ側。足を前に伸ばしてヒールストライクにするのではなく、重心の下で着地するミッドフットの要領で、ただほんの少しだけかかと側から着地し、前足部に体重移動します。

着地は外側のアーチのある薬指と小指側で行い、親指側に体重移動すると無駄な力を使わずにスピードアップできます。足は後ろに流すのではなく、しっかりと折り畳んで、円を描くように足を回転させるとさらにスピードが出ます。

ただ、ある程度雑に走ってもスピードが出るのも、アディゼロ アディオス プロの面白いところ。自分に適した走り方を探してみるのもいいかもしれません。

マラソンではオーバーペースになるリスク

気になるのはこれだけスピードが出るとなると、長い距離を走るのには向いていないのではないかという点ですよね。それを確認するために42km走ろうと思ったのですが、気温が32℃まで上がる日でしたので30kmで終了しました。

30km走って感じたのは、普段使わない筋肉を使って疲れはしたものの、シューズのせいで走りがおかしくなることはなく、シューズはむしろランニングエコノミーの高い走りを促してくれてくれます。おそらく他の厚底シューズと同様に後半になっても疲れずに走りきれます。

ただし、それ別の大きな問題が発生しました。少し複雑な話ですので、細かく説明します。

この日は気温が高かったのと、まだシーズン前でポイント練習もしていないのもあって、設定はキロ4分30秒でした。ところがキロ4分30秒で走ることはできるのですが、心拍数が167でレッドゾーン。2km程度で限界が意気が揚がってしまいます。

キロ5分まで落とせば心拍数も落ち着くのですが、シューズはどうしてもキロ4分30秒よりも速く走らせようとします。本来であれば苦しくないペースですが、気温が30℃以上あり、自分のコンディションも整っていないので耐えられません。

要するにアディゼロ アディオス プロで走るには、遅くてもキロ4分30秒のスピードが必要ということになります。これはフルマラソン3時間9分のペースです。多少の個人差はあるかと思いますが、黙っていてもこのペースになるのでそれに耐えられるだけの体が必要だということになります。

アディゼロ アディオス プロは走力が求められるシューズです。簡単にスピードが出せるので、そのペースで走りたくなりますが、スピードを出せるのとそのスピードを維持できるのは同じことではありません。ここをしっかり理解しておかなくてはいけません。

自分できちんとペースマネージメントをして、オーバーペースにならないように気をつけること。そのためには自分のペースを掴むためにアディゼロ アディオス プロを履いて練習する必要があるのですが、心配なのが耐久性です。

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他のシューズとの組み合わせが難しい

耐久性については他のレビュアーの方も心配していますが、ソールが非常に薄く、すぐにダメになるのではないかという心配があります。とはいえ従来のシューズのようにアウトソールの凹凸でグリップするのではなく、足を回転させて走るタイプのシューズですので、思ったよりは消耗しないかなというのが実感です。

上の写真は30kmを走った後ですが、ほとんどすり減っていません。その前に7km程度走っていますトータル37kmでも問題ありません。ただ、これは走り方にもよるのでなんとも言えません。人によっては意外とすぐに消耗する可能性もあります。

寿命がそれほど長くないとすると大きな悩みが発生します。

耐久性を考えるとアディゼロ アディオス プロをレース用にするしかなくなりますが、これと同じ走り方をするランニングシューズが、まだアディダスにラインナップされていません。このシューズに適した走り方を身につけるには、アディゼロ アディオス プロを履くしかないという現状。

幸か不幸かしばらくマラソン大会もないので、今回購入して走り方を身につけるために履きつぶし、来年あたりに練習用シューズが出るのを期待して、来シーズンはその練習用とまた1足レース用のアディゼロ アディオス プロを買うというのが理想です。

ただ、練習用シューズが出ない場合にはかなり悩ましいことになります。

レース用:アディゼロ アディオス プロ
ポイント練習用:?
ジョグ用:?

さてポイント練習とジョグ用に何のシューズを選べばいいのか。現時点でのラインナップでいえば、ポイント練習のうちスピード練習は匠やRCなどの薄底軽量タイプで、距離走やペース走は比較的走り方が似ている感じのあるボストンでしょうか。

ボストンはアディゼロ アディオス プロよりもやや重たいというのもありますので、ジョグ用のほうが合いそうです。ただ、もう少しリカバリーを意識した1足がほしいところです。LIGHTSTRIKEソールで厚底というのがあれば面白そうですが、技術的に可能なのかはわかりません。

それだけアディゼロ アディオス プロが飛び抜けた性能があるということですが、これを軸とした体系がまだ固まっていないことだけが、現時点でのマイナス要素かもしれません。ただ、それを含めて考えてもアディダスのランニングシューズが好きなシリアスランナーには間違いなく買いの1足です。

これほどまでに簡単にスピードが出るとなると、これまでのランニング人生はなんだったのだろうと疑問に感じてしまいますが、技術が進化するというのはそういうこと。この進化を止めることができない以上、早いところ流れに乗ってしまいましょう。

どんなランナーに向いているの?

アディゼロ アディオス プロは履く人を選ぶシューズです。基本的にはフルマラソンはキロ3分台で走れるランナーのためのシューズで、本当にポテンシャルを発揮できるのはキロ3分30秒よりも速い領域です。でも簡単にスピードを出せるので、サブ3を達成しているランナーでも恩恵を受けられます。

問題はサブ3を狙っているランナーですよね。おそらくいきなりは履けません。ハーフマラソンまでなら問題ありませんが、フルマラソンでは履きこなせる人とそうでない人に分かれるちょうど半々くらいになるかと思います。では買わないほうがいいか?

これは考え方次第になります。フルマラソンで履けることを目標に、しっかりと薄底のシューズで足を鍛えていくのであれば、ありだとは思います。そうではなく、練習はそこそこにしてシューズに頼ってサブ3を達成したいなら、あまりおすすめはしません。

シューズに頼ろうとする人がアディゼロ アディオス プロを履いて走ると、オーバーペースで潰れてしまうことが容易に想像できます。同じサブ3を狙っているランナーでも、スタンスの違いで記録につながるケースとそうでないケースが出てきます。

そもそもアディダスのスタンスが、トレーニングでしっかり鍛えて、本番で過去の自分を超えていきたい人をサポートするスポーツブランドですから、アディゼロ アディオス プロはその思想を引き継いだランニングシューズともいえます。アディダスのDNAを受け継いだ最新シューズなわけです。

過去の自分を超えていくランナーを目指すなら、レベルに関係なくアディゼロ アディオス プロはその想いに応えてくれるはずです。買うべきかどうかは、胸に手を当てて、自分自身に問うてみるといいでしょう。迷いがないなら、もちろん「買い」です。

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Adizero adios Proの購入方法

展開サイズ:22.0-30.0cm
自店販売価格:25,000 円(税別)

Adizero adios Proの購入方法は2つあります。

  • アディダスアプリ 先行抽選販売
  • ショップ購入

それぞれの購入方法をご紹介します。

アディダスアプリ 先行抽選販売

アディダスアプリからの購入は抽選になります。アプリをダウンロードし、下記応募期間中に該当ページから応募した方から抽選を行い、当選すると購入できます。抽選応募期間は14日早朝までですので、忘れずに申し込みしておきましょう。

抽選応募期間: 2020年9月4日 17:00〜2020年9月14日 7:30
当選発表:2020年9月14日 8:00
詳細について:https://shop.adidas.jp/running/adizero_adios_pro/
adidas アプリ:https://shop.adidas.jp/mobileapps/

ショップ購入

9月14日から下記の店舗で発売となります。最寄りの店舗、もしくはオンラインショップでご購入ください。

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