【シューズレビュー】マンダムフライギア(ワークマンの3,900円ランニングシューズ)

【シューズレビュー】マンダムフライギア(ワークマンの3,900円ランニングシューズ)

980円で片足150gのランニングシューズが爆発的に売れたワークマンは、この春に1,900円の厚底シューズを販売し、こちらもランニングコースで履いている人をよく見かけます。多くのランナーに知られる存在になったワークマンのランニングシューズですが、この秋にまた面白い1足が店舗に並びました。

マンダムフライギア。今回はワークマンの開発ではなく、老舗作業靴メーカーであるマンダムが開発したもので、デザイン性も作り込みも従来のモデルとは一線を画するものとなっています。価格もワークマンとしては挑戦的な3,900円。これは気になるということで、早速レビュー用に購入しました。

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マンダムフライギアの特長

レビューをする前に、マンダムフライギアがどんなランニングシューズなのかについてお話します。マンダムは作業靴メーカー丸五の持つブランドのひとつです。丸五は岡山県倉敷市に拠点のある老舗地下足袋メーカーでもあり、創業はなんと大正8年(1919年)です。

ランニング向け足袋シューズ「hitoe」を手掛けているので、名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。マンダムは安全靴と呼ばれる、つま先に鋼製先芯が入ったシューズをメインに作っているブランドで、ソール側面から空気を取り込むソールベンチレーションシステムを搭載し、通気性の良さに定評があります。

そのソールベンチレーションシステムと、これまでのシューズづくりのノウハウを活かして作られたランニングシューズが「マンダムフライギア」です。

取り扱いはワークマンですが、従来のワークマンブランドのランニングシューズとは異なり、開発も製造も丸五が行っており、ワークマンのランニングシューズとはまた違ったコンセプトでシューズづくりを行っています。価格が3,900円と、ワークマンのシューズの中でも高額に設定されているのはそのためです。

もっとも3,900円で高額というのもおかしな話ですが……

ワンランク上のデザイン性で高品質

マンダムフライギアは見た目からして、完全にランニングシューズです。これまでのワークマンのランニングシューズは、機能面では問題はありませんが、デザイン性が弱く、素材は価格相応のものを選ぶことになるので、どうしても安っぽさが拭えませんでした。

ところがマンダムフライギアのデザインは、ランニングシューズブランドのものと比べても見劣りしません。ランニングショップに1万円で置いてあったら、ちょっと試してみようかなと思う人が出てきそうなくらい高品質です。

重さは公開していませんが、25.5cmの実測値で約246gですので、特別軽量というほどではありませんが、ジョグシューズだと思えばまったく問題ありません。むしろアウトソールに厚みのあるゴムを採用しているので、この軽さはちょっと驚きです。

安全靴メーカーらしく、アウトソールだけでなく様々な部分に補強が加えられており、耐久性の高さもきちんと考えられています。そういう意味では本気を出せば、片足200g程度のレースモデルも作れてしまうような気がします。

アッパーは薄いニット素材を採用し、アッパー全体がリフレクターになるような加工が施されています。夜間の走行でライトが当たるとかなりひかりますので、ナイトランを安全に行うための配慮もされています。そのリフレクターがデザインに落とし込まれているのもマンダムフライギアの魅力のひとつです。

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履き心地はやや固めでソールの穴が気になる

アッパーはニット素材ですが、リフレクター加工がされているのもあって、他社のニット素材ほどの伸縮性はありません。むしろニット素材特有の柔軟性が損なわれていて、やや固くフィット感はそれほど高くありません。ただし従来のワークマンシューズのように幅広ではないので、ブカブカというわけではありません。

むしろ細身なので、購入するときにはサイズ選びで迷うかもしれません。私は25.5cmのランニングシューズを普段から履いていますが、マンダムフライギアはやや大きく感じて25cmも試し履きしましたが、そうなると横幅に窮屈感があったので、いつもどおり25.5cmを選びました。

マンダムフライギアの特長でもあるソールベンチレーションシステムは、ソールの横とインソール側に大きな穴が空いており、ここから空気を取り込んでアッパーに逃がす構造になっています。気になったのはこの穴の部分で、私は裸足ランナーで足裏の筋肉が発達しているのもあり、この穴の部分に足裏の肉が少し食い込みます。

ただ、右足ははっきりと穴がわかるのに対して、筋力の少ない左足は穴をそれほど強く感じないので、この穴が気になるかどうかは人によって分かれるかもしれません。走り出して足のアーチが上がっていくと気にならないので、欠点というほどではありませんが、気にはなります。

クッション性も反発性もないが走るのが楽しい

実際に走ってみて感じたのは、厚底の新世代ランニングシューズと比べて、圧倒的にクッション性が低いということと、なおかつ推進力も生み出さないということです。それはマンダムフライギアが劣っているのではなく、新世代ランニングシューズが優れているだけのことです。

今でも各メーカーが薄底で1万円前後のリーズナブルなランニングシューズを売り出していますが、それらと同等のランニングシューズと考えてください。着地時にはしっかりと衝撃を感じますし、跳ねるような感覚もありません。ただ、クッション性だけが高いシューズのようにエネルギーの損失はありません。

これは自分の走力がそのまま反映されるランニングシューズです。実際に1kmのタイムトライアルをしてみましたが、3分33秒で、前回レビューをしたMEDIFOAMの「RUNNERS HI 2」とほぼ同じタイムでした。Adizero adios Proが3分24秒でしたので、マンダムフライギアがいかに「普通」か分かってもらえるかと思います。

クッション性も反発性もないランニングシューズですので、いわゆるオールドタイプに属します。ただ、走っていて久しぶりに楽しい気分になっている自分がいました。キロ5分くらいのペースでジョグをしていると、いつまでも走り続けたい気持ちよさが続きます。わずかながらベンチレーション効果も感じます。

それでいてきちんと足に疲労がでてきますし、自分の気分に合わせてペースアップもペースダウンもできます。最近は高機能シューズに慣れすぎて、この感覚を忘れていました。マンダムフライギアは走る楽しかった頃の感覚を思い出させてくれる1足です。

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タイムを出すことが目標でないならこれ1足でOK

マンダムフライギアのもうひとつの特長として、前足部の安定感が高いという点が挙げられます。ミッドフットで着地をして、そのまま前足部に重心移動をして、前足部全体で地面を掴むことができます。グリップはそれほど高いわけではありませんが、面で受けるので安定感がありブレることなくまっすぐに走れます。

それでいてクッション性が高くないので、走り方そのものが丁寧になります。最近の高機能シューズは雑に走っても衝撃がなくなるので、そればかり履いていると走り方がどんどん雑になってしまいますが、たまにマンダムフライギアのようなシューズを履くと、自分の走りの悪いところが見えてきます。

マラソン大会もなく純粋に走るのを楽しむだけなら、高機能シューズは不要で、ジョグもポイント練習もロング走もぜんぶマンダムフライギアで完結させるのも悪くないかもしれません。むしろ、足を過保護にしないので足を鍛えるという意味では、あえてマンダムフライギア選ぶという考え方もあります。

もちろんオーバートレーニングにならないように気をつける必要はありますが、シンプルに「疲労が残っていれば休む」で構いません。1ヶ月も履き続ければ、マンダムフライギアに見合った筋力がついてきます。いや、高機能シューズで衰えた足が戻ってきます。

レースに出てタイムを1秒でも縮めたいなら、推進力をもたらしてくれる最新の高機能シューズのほうが圧倒的におすすめですが、スポーツの本質として自分を鍛えたいなら、マンダムフライギアは間違いなくその期待に応えてくれる1足です。

3,900円はお買い得だがライバルが多い

正直なところ、このクオリティで3,900円はズルいというのが本音です。ジョグ用のシューズとしても、初めてのランニングシューズとしてもまったく問題なく(ソールの穴は気になりますが)、デザイン性も高い。ワークマンといえば980円シューズが人気ですが、そこからのステップアップにぴったりです。

ゴム底になっているの、耐久性も高くてよほど走り込む人でもないかぎり、1年間は使えます。1年に3,900円なら格安です。総合的に判断して1万円くらいはするシューズです。マンダムフライギアは新しいワークマンのランニングシューズの顔になってもおかしくないほどのコスパに優れた1足です。

ただし、今はタイミングがよくありません。本来はオリンピックイヤーだったこともあり、どのシューズメーカーも春に大量のランニングシューズを製造し、新型コロナウイルスの影響で、それらが大量に在庫されており、今はそれらが叩き売り状態にあります。

1.5万円以上するランニングシューズに5千円の値段がついていたり、1万円前後のランニングシューズが3,000円で売られていたりします。その状況の中で3,900円という値付け。同じ価格帯でトップブランドのランニングシューズが並んでいるわけですから、ライバルは強力です。

ただ、それらのランニングシューズと比べても見劣りする部分はありません。サイズも23〜28cmとレディスサイズにも対応しています。そしてワークマンに並んでいますので、販売店舗数は日本最大級で、入手性が高いというメリットもあります。

足に合えば買って損をするランニングシューズではありませんので、ジョグ用に安いランニングシューズを欲しいと考えている人や、最近になって筋力低下が気になるという人は、ぜひお近くのワークマンでマンダムフライギアに足を入れてみてください。

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