中国メーカーのランニングシューズを購入して走ってみた

最近のAndroidスマホは日本メーカーのシェアが激減し、高機能低価格の中華スマホがシェアを伸ばしています。この流れはランニングシューズでもいずれ起こる可能性があります。

実際に北京で中国ブランドのスポーツショップに行くと、ちょっと欲しくなるようなデザイン性の高いモデルが増えてきて、そろそろランニングシューズとしても問題ないレベルにあるように感じます。

1年くらい前はまだ「これじゃ走れない」と見ただけで分かるものが多かったのですが、進化の速さはスマホだけでなく、確実にランニングシューズの世界にも表れています。

そこで、今回は北京で中国メーカーのランニングシューズを購入して、実際に走ってみた体験をレポートします。

中国メーカーのランニングシューズは安い!

中国のスポーツブランドといえば、リーニン(李寧:Li-Ning)、アンタ(安踏:ANTA)、361°などが有名です。今回いずれのショップにも行きましたが、いずれもランニングシューズの開発に力を入れているのが分かります。

あまり中国のランニング熱が伝わってこないのと、中国は空気が悪いというイメージがあるためランナーが少ないと思われていますが、中国にも多くのランナーがいます。そして人口だけなら日本を上回る市場がそこにはあります。

日本人のエントリーが難しいだけで、マラソン大会も多くあり、これからもスポーツブランドにとって、ランニングは大きな市場であり続けるのは間違いありません。ただし、やはり人気はナイキとアディダスです。

その2大ブランドのランニングシューズは、日本と同じモデルを購入できます。直営店もいくつかありますので、本物を購入できます。偽物街もありますので、もちろん偽物も購入できますが。

でもランナーの場合は、偽物を買うくらいなら中国ブランドのシューズを選んでいるようです。中国ブランドなら400〜500元ですので、7000〜9000円という格安の値段で最新のランニングシューズを購入できます。

海外ブランドのランニングシューズは1〜1.5万円くらいしますので、それらと比べると2/3くらいの価格帯に設定されています。中国の物価を考えると妥当な値段設定ですが、問題はそれらのランニングシューズで問題がないかということですよね。

ちなみに型遅れになると半額くらいで購入できるのは日本と同じです。このため旧モデルなら200元(3500円)以下で購入できます。

最近のトレンドはニット素材

どの中国スポーツブランドでも、ランニングシューズのアッパーにニット素材を採用しています。これはナイキやアディダスが導入した技術で、靴下を履いているようなフィット感でとても足に馴染みやすい素材です。

そして、ソールはクッション性を重視しています。接地時に足に負担がかからないように衝撃を逃がしやすい素材を組み合わせています。このあたりは、世界のトレンドを素早く取り入れているのが分かります。

特にニット素材はアジア圏を中心に、普段履きのシューズとしても高い人気があります。ニット素材の密度に変化をつけることで、シューズ内に空気を取り入れやすく、蒸れにくいというのが湿度の高い地域で人気の理由かもしれません。

少し前までは日本のランニングシューズと同じメッシュ素材が主流でしたが、今シーズンモデルからはデザイン性をかなり重視して、見た目がとても美しくなっています。

ショップでは旧モデルが叩き売り状態でしたが、「これ欲しい」と思えるようなデザインのものが少なく、ディスプレイされている最新のランニングシューズが余計に映えるくらい、美しいシューズが増えています。

実際に走ってみた感想

購入したのはリーニンの最新モデル「SUPER LIGHT(超轻十五男子一体织减震轻质跑鞋)」です。龍をモチーフにして作られたランニングシューズで、超軽量で衝撃も吸収してくれるシューズです。

重さは25.5cmで170gしかなく、これは同サイズのアディゼロジャパンよりも軽量です。

ニット素材を使っていますが、ナイキのフライニットほどのフィット感はありません。足首周りなどはかなりしっかりフィットしますが、シューズ全体で包み込むという感覚はやや薄い感じです。

走り出して感じるのはクッション性の高さです。とても柔らかい接地ができますが、それをきちんと反発力に変えているのが伝わってきます。ただし、衝撃を吸収するときにややロスが発生し、反発もワンテンポ遅れます。

最も気になったのは、オーバープロネーションが大きいということです。数年前のランニングシューズのようなオーバープロネーションがあり、きちんと鍛えていない人が履くと、膝を故障する可能性があります。

この1〜2年のランニングシューズは、膝を守るためのメカニズムが導入されています。ところが超轻十五男子一体织减震轻质跑鞋には、まだそこまでの技術がないのか膝への負担が大きいように感じます。

さらにニット素材のフィット感が足らず、強度も不足しているため、フォアフットで接地した瞬間にブレるのが分かります(上の写真のように内側に入ります)。ただし、ミッドフットで全面で受ける走りをすれば、それほどブレは感じません。

これらから分かるのは、シューズとしてはサブ4くらいまでのランナーのためのシューズという設定なのかもしれません。

リーニンには写真のような最上位クラスのランニングシューズもあり、そちらは999元(約17,000円)です。サブ3を狙うようなランナーは、そちらを選べばいいのかもしれませんが、そのシューズもニット素材ですので、あまり期待できません。

どれくらいのスピードで走れるのか、1kmのタイムトライアルをしてみました。あまり追い込まずに1kmを3分48秒で走れましたので、まったく走れないというシューズではありませんが、スピードを出すと接地時のブレがやはり気になりました。

接地の瞬間はきれいに受けてくれるのに、その後にグッとブレるのを感じます。ほぼ感覚の世界ですが、これを42kmも続けると足が持ちません。安全に走りたければ、キロ6分くらいでミッドフットを意識するのがいいかもしれません。

中国メーカーのランニングシューズの現在地

中国メーカーのランニングシューズ。いま買っていいかと聞かれると「まだ早い」というのが正直なところです。最新のトレンドを取り入れ、素材などにはかなり気を使っているのが分かります。

ただ、ニット素材のアッパーやクッション性の高いソールというのは、非常に高度な解析を行って初めてランニングシューズとして成立します。中国メーカーのランニングシューズも解析は行っているのでしょうが、ナイキほど精度の高いものではないのか分かります。

現段階では製造技術は世界に追いついているものの、最適化という部分でまだまだ伸びしろが大きいように感じます。ニット素材であれば、どこを強化してどこを軽量化するかという解析が足りていないため、「とりあえずニット素材にしてみた」感が否めません。

その結果、きちんと足をホールドできずにランニング中にブレが発生します。ソールも最適化がされていないため、クッション性も反発力もあるのに、それがきちんと融合されていないのが分かります。

個々の技術は非常に高いものがありますので、ここから数年かけてさらにノウハウを増やしていった先に、世界シェアの拡大が見えてきます。日本のシューズメーカーが足踏みをしている間に、中国のシューズメーカーが全速力で追い抜いていく可能性を感じます。

まさにスマホ業界と同じ状態がランニングシューズの世界でも起きようとしています。数年前、中国メーカーのスマホは鼻で笑われるような立ち位置でしたが、いまでは格安スマホとしてビックカメラやヨドバシカメラで人気商品になっています。

中華ランシューの現在地は安かろ悪かろですが、これも2年くらいで、あっという間に高機能低価格という立ち位置に変わってもおかしくありません。最新技術をどんどん導入していく貪欲さは、日本のメーカーにとって脅威になるはずです。

シューズ好きとしては、今後の中国メーカーの躍進を期待したいところ。日本メーカーも追いつかれないように、さらにチャレンジをしてもらえれば、ランニングシューズ選びがもっと楽しくなるはずです。

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