
音楽のあるランニングを楽しむ。以前であれば「危険だからやめるべき」と注意されることもありましたが、オープンイヤーのイヤホンが一般化してきたことで、音楽のあるランニングは特別なことではなく、むしろランニングの楽しみ方のひとつになっています。
オープンイヤーのイヤホンは選択肢も多く、その中でも目を引くのがSUUNTOから発売された骨伝導ヘッドホン「Suunto Wing 2」です。北欧デザインによる圧倒的な美しさを備えているだけでなく、初代モデルから音質も向上しています。そんな Suunto Wing 2 を発売前に貸していただきましたので、1ヶ月近く使って感じたことをレビューしていきます。
購入を検討中の方はぜひ参考にしてください。
秀逸なデザインでランニングを楽しくしてくれるSuunto Wing 2

Suunto Wing 2最大の魅力は、そのデザインの美しさにあります。さまざまな機能が搭載されていますが、とにかく飛び抜けているのが「美しさ」です。どんなランニングウェアにも合い、主張しすぎないけど、さりげなく存在感を示す北欧デザインは、日本人の感覚によく合います。
イヤホンでありながらも、ファッションアイテムのようでもあり、Suunto Wing 2を外して首にかけて歩いているときは、恥ずかしながら、少しおしゃれな人になった気持ちにもなってしまいました。
嬉しいのはメガネをかけても使えるという点です。メガネをかけた状態でSuunto Wing 2を装着すると、さすがにフィット感は下がりますが、Suunto Wing 2を装着してからメガネをかけることで、フィット感の低下を防げます。
ちなみに、商品が発表されたばかりのプチレビューでは、頭のサイズが小さいとフィット感が気になるとお伝えしましたが、フィット感そのものは変わらないものの、1ヶ月使っているとあまり気にならなくなっています。少なくとも走りに集中していれば気になることはなくなりました。

また、「絶対に落とさない」という安心感は絶大なものがあります。私はイヤカフタイプのイヤホンをメインに使用していますが、マラソン大会中に何度か落としてしまったことがあります。いずれも運良くすぐに回収できましたが、それゆえに「落としてしまうのでは?」という不安はいつもあります。
ところが、Suunto Wing 2は左右が連結されているので、落として失くしてしまうなんてことはありません。それに加えて秀逸なデザインが施されており、それだけで、ランナーにとってSuunto Wing 2を購入する理由になるはずです。
しっかりと周囲音を聞き取れるSuunto Wing 2

秀逸なデザインの Suunto Wing 2 ですが、やはり大事なのは音楽を楽しみながらランニングしているときに、きちんと周囲音を聞き取れるかどうかということです。これに関してはまったく問題ありません。音楽を再生していないときと同じくらい、周りの人たちの会話をしっかり聞き取れます。
骨伝導の特性も影響していますが、Suunto Wing 2 で音楽を流しながら走るときに、耳に入ってくる音の「メイン」は周囲音で、音楽は「サブ」になります。周囲音に対して音楽が乗ってくる感覚という表現が1番しっくりくるかもしれません。
音質は同価格帯のインナーイヤー型イヤホンと比べるとどうしても劣ってしまいます。とはいえ、そもそもインナーイヤー型イヤホンとは音楽を楽しむシーンが違います。インナーイヤー型のイヤホンは音楽に没頭するときに最適で、Suunto Wing 2はランニング中のように音楽に没頭したくないときに適しています。
ただし、Suunto Wing 2でもインナーイヤー型と同じように音楽に没頭することも可能です。その方法は耳栓とSuunto Wing 2を組み合わせることで、耳栓をすることで音域が広がり、より良い音質で音楽を楽しむこともできます。
また、耳栓をすると音量を下げられるので、電車など音漏れを気になるような環境でも耳栓が有効です。音質も向上して音を楽しめるようになりますので、騙されたと思って耳栓を着用してみてください。もちろん、ランニング中には耳栓をつけないようにしてください。
ちなみに耳栓は100円ショップでも購入できますし、Amazonや楽天市場でも販売しています。電車や自宅でもSuunto Wing 2を使って音楽を楽しみたい方は、Suunto Wing 2の購入に合わせて耳栓も購入することをおすすめします。

次に音量ですが、Suunto Wing 2の音量そのものは、私がいつも使っているイヤカフよりも大きく、ランニングをしているときにはトラックとすれ違うと、さすがに聞き取りにくくなりますが、通常使用で音量が足りなくて困ることはありません。
ちなみに骨伝導だと振動が気になるという人もいるかも知れませんが、iPhone 16の環境なら、最大音量にしない限り振動は気になることはありません。
電源のオンオフと充電が少しだけ煩わしいかも

LEDライトが赤く光るなど、Suunto Wing 2ならではの個性も魅力的ですが、レビューするにあたって長期利用して気になった点が2つあります。ひとつは使うときに電源を入れ忘れてしまい、何度もスマホから音が流れてしまったということ。
イヤカフタイプのイヤホンだと、充電ケースから取り出したら電源オンになるため、オンオフという習慣がなくなっているのも影響しています。そういう意味では私固有の問題ではありますが、電源をオンオフするという動作がやや煩わしく感じます。オフにしなければいいのですが、オフにしないと待機中もバッテリーが減ってしまいます。
また、充電するのにUSBケーブルをつなげるか、電源バンクに置く必要があります。これも走り終えてケースに保管するだけで充電されるワイヤレスイヤホンに慣れてしまうと、やや面倒に感じます。ただし、USB-Cを直接本体に刺して充電できるのはかなり便利です。
出先で知らないうちに電池残量がゼロになったことが何度かありましたが、そんなときでもモバイルバッテリーで簡単に充電できます。専用のケーブルを使わなくてもいいというのは、遠征の多いランナーにとっても魅力的なポイントではないでしょうか。
1ヶ月使ってみて、ストレスを感じたのはそれくらいしかありません。「走り終えたら電源バンクに置く」という流れを習慣化してしまえばどうということはありません。電源のオンオフも使用期間が長くなれば、自然と自分でオンオフするようになるはずなので、大きな問題ではありません。
Suunto Wing 2が特別な体験をもたらしてくれる

他にもSuunto Wing 2には、ヘッドジェスチャーコントロールといって、頭の動きだけで曲送り(曲をスキップ)できたりするのですが、これは思っていた以上に便利です。ジェスチャーでコントロールできなくても困ることはありませんが、ランニング中に曲送りしたいときに腕振りを止めなくていいため、走りのリズムを崩しません。
それ以外にも機能はありますが、結局のところオープンイヤータイプのイヤホンやヘッドホンをランニングで使う場合、それなりに音質がよくて、周囲音を聞き取れるかどうかがすべて。そして、Suunto Wing 2の音質は標準以上であり、周囲音はまったく問題なく聞き取れます。
そこに、センスのいいデザインと着用している感覚がなくなるほどの軽量性が加わり、そしてさらにSUUNTOのイヤホンを使っているという特別感があります。Suunto Wing 2を選ぶかどうかは、その特別感に魅力を感じるかどうかです。
SUUNTOのアイテムは、ランニングウォッチもとにかくデザインが秀逸で、使っているだけでセンスがいい人になったような気持ちになります。Suunto Wing 2にもそんなプライスレスの魅力があり、音楽を聴きながら走るだけで、スタイリッシュなランナーの気分を体験できます。
そういう意味でSuunto Wing 2は、美しさにこだわるランナーに使ってもらいたい骨伝導イヤホンです。音質だけなら、使いやすさだけならもっと優れたイヤホンもあります。でもSuunto Wing 2だけの特別な体験ができる。そこに魅力を感じるなら、Suunto Wing 2は間違いなく「買い」のアイテムです。
