8月7日午前7時より、北海道・札幌市で東京オリンピックの女子マラソンが開催されます。スタートラインに立つ日本人選手は、2019年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の快走で代表の座をつかんだ前田穂南選手(天満屋)、鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)と、2020年3月の名古屋ウィメンズマラソンで女子単独レースのアジア記録を樹立して代表入りを果たした一山麻緒選手(ワコール)の3選手。
3選手は8月4日(水)午後、オンラインによる記者会見を行い、レースを目前に控えた現在の心境、これまでの調整の状況、暑さへの対応などについて語りました。各選手の主なコメントをご紹介します。
前田穂南選手(天満屋)
本番が近づくにつれて、調子は徐々に上がってきている。自分のパフォーマンスをしっかり発揮できるように、最後まで粘って走りたい。暑い中でのレースになるので、対策をしっかりして、自分のリズムをしっかり作り、押し切って走りたい。
(MGC優勝から長い月日があり)気持ちの面でもコントロールするのに、けっこう難しさがあった。オリンピックが1年延期になり、練習も思うようにできないことも多かったが、なんとか保つことができた。一番は家族の支えだったりした。
(これまでの合宿なども)順調ではなかったが、スピードを戻していく練習をしたりして、(今年5月5日にオリンピックのコースを使って実施されたハーフマラソンの)札幌チャレンジの時より、だいぶ自分の感覚が戻ってきたと思う。
暑さはそんなには気にしない。給水はこまめに取りたい。
鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)
これまで自分なりの積み重ねをしてこられたので、今は、落ち着いて無事にスタートラインに立ち、しっかり自分の力を発揮したいという思いでいる。最後まで自分らしい走り、悔いの残らない走りをしたい。
(MGCの後は)正直、日本代表を背負って長かったとも思うが、自分にとっては必要な時間だった。プラスにとらえている。
この3カ月は本番を想定して、週末に40kmを朝7時スタートでやり、水曜日にレースペースの質の高い練習をやるという、週2本の練習を(中心として)やってきた。40kmは回避する週もあったが、予定していた回数はこなすことができた。どんな練習をしても不安はなくならないが、自分ができることはやってきたのかなと思う。
レースでは、最後は自分を信じて体の思うままに走るのが一番。そこで出した判断はベストだと思うので、信じてやっていきたいし、攻めることがいい結果につながると思うので、自分で手繰り寄せられるように、気持ちで頑張りたい。
(レース中盤以降に3度、コースが狭く、しかも左右に細かく曲がる部分を通るが)あまり苦手意識は持っていなくて、逆に気がまぎれるというか、苦しいところで気持ちを切り替えるにはいいと思う。元々、球技もやっていて(動きの)切り替えというのはそんなに苦手ではない。いいイメージをもって走りたい。
(日本郵政グループの後輩である廣中璃梨佳が8月2日の5000m決勝で日本記録を更新して9位となり)こちらの予想以上の走りを見せてくれたので、すごく勇気をもらった。自分もマラソンで体が反応した時に攻める勇気などを持たなければ、と思った。
札幌は例年より暑いようだし、湿度も高いと感じるが、あまり苦にならない。チャンスが出てくるのではないかと思っている。レースに向けて(数日前から)も、本番でもしっかり水分補給をして、レース後半もしっかり走りたい。給水でレースが動くことも多いので、そこは冷静に対応したい。ただ、マラソンは自分のリズムを崩さないことが大事なので、もし動いたとしても、しっかりと自分のレースを保っていければと思う。
(トラック2種目で代表に選ばれながらけがのため10000mは欠場した2016年の)リオデジャネイロオリンピックの苦い経験があったからこそ、今年は絶対にスタートラインに立つんだという思いでやってきた。この5年間の経験をしっかり生かして、いいスタート、いいゴールにできればと思う。
一山麻緒選手(ワコール)
テレビで(今大会の)陸上競技を見ていて、みんな続々と走っているので、私もいよいよ近づいてきているなと緊張もしているし、ビビってもいる。この大会に向けてずっと嫌なことも我慢してやってきたので、走り終わった時に「もうちょっと、こうしたかったな」という後悔がないような走りをしたい。
(ワコールの永山忠幸監督が組む「鬼メニュー」とも呼ぶ練習は)ポイント練習はどれも、できるかできないかギリギリのところでやってきた。永山監督から、(女子単独レースの日本記録で代表入りを決めた2020年3月の)名古屋(ウィメンズマラソン)の時より(内容が)プラスアルファの練習だから全部できなくてもいい、でもチャレンジはしようと言われていた。確実にできる練習ではなく、設定通りにできなかった練習もある。どれもいっぱいいっぱいみたいな感じだった。
(できた練習はメニューの)70%くらい。40kmの予定だったが30kmでやめておこうという時もあり、100%(こなせたわけ)ではなかった。できなかった練習の一つに、高地合宿から低地に下りて気温が30度近くある中で行った、1.8km×8本の練習がある。最後は失速というか、オールアウトしてしまい、すごく暑いし、精神的にもきつい練習だった。
練習が(設定通りに)できないと落ち込んじゃうこともあったりした。でも、監督から「へこたれるなよ」と言われたり、気分が落ち込みすぎないようにどうにかしてモチベーションを持たせようとしてくれるスタッフもずっとついてくれたり、家族や近くにいない人たちも支えてくれていた。そういう人たちに喜んでもらえる走りがしたいという気持ちでなんとか乗り越えられた。もちろん、自信のつく練習もあった。
暑さへの心構えはしている。スタート前は深部体温をなるべく下げた状態から始めるということを教えてもらったりした。練習の時からずっと氷や、体を冷やすものを使って、なるべく体温を上げないようにという対策はしてきた。
※各コメントは、代表共同取材における各選手の発言をまとめています。より明確に伝えることを目的として、一部、修正、編集、補足説明を施しています。
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