トップアスリート向けのランニングシューズ「METASPEED」シリーズを手掛けているアシックスが、これまでのポテンシャルを大きく上回る新モデル「METASPEED SKY PARIS」と「METASPEED EDGE PARIS」を発表しました。
発売はアシックスオンラインが2024年3月11日から、一般発売は3月21日からとなっており、価格は前モデルから据え置きの27,500円(税込)。発表会で実際に履いて走ることができましたので、どのようなシューズに仕上がっているのかプチレビューをしていきます。
トップアスリートの声と最新テクノロジーで大幅進化
多くの厚底レーシングシューズは、シューズのポテンシャルを引き出すために、シューズに適したフォームで走ることを前提に開発されています。ただ、ランナーは1人ずつ骨格もランナーとしての特性も異なるため、シューズに合わせることで自分のポテンシャルを発揮できなくなるケースも少なくありません。
そんな問題を解決しようというのがアシックスの「METASPEED」シリーズです。ストライド型とピッチ型の走法の違いに着目してデザインされており、自分に適したモデルを選ぶことで、自分の走りを変えることなく、高いパフォーマンスを発揮できるということで、多くのランナーが勝負シューズとして選んでいます。
「METASPEED SKY PARIS」と「METASPEED EDGE PARIS」はその最新モデルで、ランナーに寄り添ったシューズへと進化するために、トップアスリートの声を取り入れながら細かくチューニングされた1足になります。
いずれのモデルもミッドソールに新素材「FF TURBO PLUS」を採用しており、これにより従来モデルよりも約8.0%軽く、反発性が約8.2%、クッション性が約6.0%向上しています。さらに通気性も向上しているので、夏場の気温が高いレースでも、快適に走れるように進化しています。
東京マラソンEXPO 2024での試し履き&先行購入
東京ビッグサイトで2月29日から3月2日の3日間開催される「東京マラソンEXPO 2024」で、試し履きイベント「TRY! ASICS!」が実施されます。参加すると「METASPEED SKY PARIS」と「METASPEED EDGE PARIS」の先行購入を案内してもらえます。
先行購入では一般発売に先駆け、3月4日から商品を順次発送。詳細は下記特設サイトをご覧ください。
https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/running/tokyomarathon
アシックス Cプロジェクト部長 竹村周平のコメント
2024年は私たちにとって重要な年であり、この時期に「METASPEED SKY PARIS」と「METASPEED EDGE PARIS」を発表できることを誇りに思います。これら2モデルは、専門家や世界のトップアスリートと密接に協力することで生まれた商品です。このシューズを着用し、より多くのアスリートがパーソナルベストを更新できることを願っています。
METASPEED SKY PARIS 特徴と商品概要
品名:METASPEED SKY PARIS
品番:1013A123
サイズ:22.5-29.0cm(0.5㎝刻み)、30.0cm
カラー:サンライズレッド×ブラック
METASPEED SKY PARIS はストライド型のランナー向けの1足で、よりストライドを伸ばして、少ない歩数でゴールするというコンセプトのシューズになります。前モデル(METASPEED SKY+)から大きく変わったのは、カーボンプレート前足部の幅が広がったことにあります。これにより、蹴り出したときの安定性が向上しています。
さらにカーボンプレートをフラットな形状とし、ミッドソール内の上部に配置。プレート全体でフォーム材を圧縮させることで、よりダイナミックで大きな反発力を生み出せるようになりました。それらに加えて、靴底のつま先外側にくぼみを設けることで、蹴り出し時のスムーズな足運びをサポートしてくれます。
スペックとしては約20gの軽量化に成功し、さらにフォーム材の反発領域が約12%向上。よりスピードを出しやすいシューズに仕上がっています。
Vincent Kipkemoi Ngeitch選手のコメント
前モデル(METASPEED SKY+)に比べ「METASPEED SKY PARIS」は、より軽く、より弾むようなシューズへと進化し、自己ベストを更新する自信を与えてくれました。
METASPEED EDGE PARIS 特徴と商品概要
品名:METASPEED EDGE PARIS
品番:1013A124
サイズ:22.5-29.0cm(0.5㎝刻み)、30.0cm
カラー:サンライズレッド×ブラック
ピッチ型のランナーが、ピッチを調節しながらストライドを伸ばし、少ない歩数でゴールできるようにデザインされたモデルです。ミッドソールの前部がMETASPEED EDGE+より約3mm厚くなっており、反発性が向上しています。
カーボンプレートはV字形状となっており、ミッドソール内のつま先に向かって下がるよう傾斜がついています。また、蹴り出しの際に力が必要な前足部のフォーム材を圧縮させることで、少ないパワーで大きな反発力をえることができ、すみやかに足を前に出せるようになっています。
さらに、靴底のかかと部外側の接地面積をやや広げることで、かかと接地をした場合でも、安定した足運びができるようになっています。METASPEED EDGE+と比較すると、約25gの軽量化と約20%のフォーム材の反発領域向上を実現しています。
太田智樹選手のコメント
前モデル(METASPEED EDGE+)も素晴らしいシューズでしたが、「METASPEED EDGE PARIS」は走り終えた後の足先へのダメージも少なく、自己ベスト更新を目指すランナーへおすすめできるシューズです。
METASPEED SKY PARIS & METASPEED EDGE PARISプチレビュー
ASICS METASPEED PARIS SERIES 発表会で、実際に新モデルの「METASPEED SKY PARIS」と「METASPEED EDGE PARIS」を履いて走る機会をいただけましたので、それぞれのフィーリングについて簡単にレビューしていきます。
まずはそれぞれの走行データから見ていきましょう。
METASPEED SKY PARIS | METASPEED EDGE PARIS | |
---|---|---|
700mタイム | 2分38秒 | 2分49秒 |
ベストペース | 3分19秒/km | 3分30秒/km |
ストライド | 136cm | 132cm |
歩数 | 516歩 | 534歩 |
平均心拍数 | 134bpm | 133bpm |
1周700mのコースを走ってみたところ、とてもわかりやすい結果が出ました。どちらもシューズに任せて走ったのですが、ストライドは「METASPEED SKY PARIS」のほうが大きくなっており、タイムもかなりの差が出ています。
実際に走った感覚だと「METASPEED EDGE PARIS」はスピードを出しているという感覚がなく、走っていて心肺機能がそれほどきつくない感じがあります。反対に「METASPEED SKY PARIS」はどんどん前に進む感覚があり、簡単にスピードに乗って走れて、まったく違った性格を持ったシューズということがわかります。
「METASPEED SKY PARIS」は攻撃的な性格をしており、攻めるレース(玉砕覚悟で勝ちに行くレース)をしたいときに、「METASPEED EDGE PARIS」は守備的な性格をしており、守るレース(後半の失速を防いで安定したタイムを出したいレース)に向いていると説明すると、それぞれの個性が伝わりやすいかもしれません。
ランニングフォームによって選ぶというのがMETASPEEDシリーズのコンセプトですが、どのようなレース展開にしたいのかというのも、シューズ選びのポイントになるかもしれません。私ならハーフマラソンまでなら「METASPEED SKY PARIS」、フルマラソンなら「METASPEED EDGE PARIS」でしょうか。
ただ、この2つのシューズの本質は、レース後半になってもフォームを崩すことなく走りきれることにあるので、前作よりもどれくらい優れているのかはフルマラソンなどの長い距離で比較してみないことにはわかりません。今回の試走でわかったのは、走りがどう変わるのかということだけです。
とはいえ従来モデルよりも個性が際立っており、最適な1足を選べば、自分のポテンシャルをしっかりと引き出してくれます。自己ベスト更新を狙いたい人や、サブ3などの高い壁を超えていきたいと考えている人にとって、最高の相棒になってくれるはずなので、選択肢のひとつとして検討してみてください。