マラソン人気は回復したのか?2026-2027シーズンに向けてランナーが対応すべきこと

一般財団法人アールビーズスポーツ財団の調べによると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)のフルマラソン完走者は34万5268人となり、2004年に全日本マラソンランキングを発表して以来、過去5番目に多い完走者数となっています。

大会によってはすでにクリック合戦になっていたり、高い競争率で落選者が続出したりするなど、マラソン人気の復活を身を持って体感しているランナーも多いはず。そこで、今回のコラムでは、日本のマラソンに何が起きているのか、そしてランナーはどう対応すべきかについて解説していきます。

目次

マラソン人気はコロナ禍前の水準まで回復

マラソン人気が回復している。多くのランナーが昨シーズンあたりから体感していることではないでしょうか。勢いだけならコロナ禍前の2019-2020シーズン以上で、周りにランナーが増えてきたように感じている人もいますよね。

ただ、アールビーズスポーツの発表した内容からわかるのは、マラソン熱の高さはコロナ禍直前のほうが高く、完走者数の割合でいえば、当時の91.8%程度までしか回復していません。しかも大会数は80から108に増えていることを考慮すれば「まだまだ」というのが実情です。

それでも明らかに回復傾向にあり、すでに2015年度に迫る勢いがあり、多くの大会が再開した2023年度から右肩上がりで完走者数が増えています。

2026-2027シーズンに完走者数が35万人を超えるのはほぼ確実で、それどころか2026年は日本国内のマラソン人気の大きなターニングポイントになる可能性があります。

【考察】ランニングの魅力を知った若い世代がマラソンに参入

それでは、なぜここにきてマラソン人気が回復してきたのかを考察していきましょう。今回のアールビーズスポーツの発表には、興味深い調査結果がもうひとつありました。

それが、「29歳以下の完走者が初めて6万人突破」したということです。

過去最多の記録を6,000人以上上回っているのですが、実は過去最多だったのは2024年度であり、コロナ禍前よりも明らかに若年層のランナーが増えています。

RUNNING STREET 365が運営に関わっている万里の長城マラソンも、この春の開催では、日本人参加者34名中、16名が20代という、過去に例を見ない参加者層になっていました。

このことから推測できるのは、マラソン人気を支えているのは20代のランナーだということ。ランニング業界でも、20代のランナーが増えていることが話題になっており、最近はメーカーも若い層をターゲットにした展開を積極的に行っています。

若年層がランニングを始めるきっかけはいろいろ考えられますが、コロナ禍において1人で取り組めるスポーツであったことが大きな要因のひとつと考えられます。それに加えて、アフターコロナにおいては、コロナ禍に発生した孤立状態の反動として「仲間と走る楽しさ」に目覚め、ランニングコミュニティが広まっていったと考えられます。

同時にランニングYouTuberやインスタグラマーなどの、インフルエンサーの活躍があり、「走ることはおしゃれ」という感覚も広まっていきました。

そのようにして走り始めた若い世代が、「みんなでマラソン大会を走ってみない?」となったのは容易に推測できます。

そして、マラソン大会を走ってみたら、フェスのような高揚感があり、さらには「もっとできるはず」という悔しさも相まって、マラソンの世界にハマっていったのでしょう。

実はこの流れは日本だけでなく、世界中の若者の間でも同じような流れが発生しています。若者にとって走ることはエンタメのひとつであり、それでいて仲間とつながる方法のひとつでもあります。彼らにとって、失われた数年を取り戻すのに、ランニングやマラソンが適していたのでしょう。

2026-2027シーズンからはエントリーの先送りはNG

マラソン大会を走る若者が増えているものの、まだ爆発的というほどではありません。現時点ではまだ「走るのが苦手」という人は相変わらず多数ですし、参加費やランニングシューズの高騰化、人気大会の抽選倍率の高さは、マラソン大会への障壁となっています。

ただ、マラソン大会側も手をこまねいているわけではなく、「学生割」や「初マラソン枠」などにより、若い世代を積極的に誘致するための方針を打ち出しています。そして、それがブレイクスルーを起こしそうなのが、2026-2027シーズンというわけです。

それにより何が起きるかというと、「気がついたら募集が終わっていた」という問題です。これはすでに発生していて、多くのマラソン大会が募集期間の終了を待たずして、定員に達して参加者募集を締め切っています。

コロナ禍以降、マラソン大会は定員に達することのほうが珍しく、一部の大会を除いて締め切り直前までエントリーを先送りできていましたが、小規模大会や人気のない大会を除いて、もうそれは通じないと考えてください。

毎年出場すると決めている大会があるなら、エントリー開始当日、もしくは数日のうちにエントリーすることです。「時間があるときに」なんて思っていたら、1日で定員に達したなんてことも、これからは起きる可能性があります。

また、早期に定員が埋まるということは、それだけ条件のいいホテルが早く埋まることを意味します。遠征となる場合、これまでは直前になって宿を確保できたケースもありましたが、これからはゆっくりしていたら高級ホテルしか残っていないなんてことも考えられます。

だから、私たちランナーが対応すべきことは、早期にエントリーして、申し込んだらすぐに宿を確保するということ。ちなみに、大会開催が決まった段階、エントリー前にホテルを抑えるという方法もあります。個人的にはさもしいと感じるのでしませんが、それくらい早く動かないといけない状態になりつつあります。

大都市マラソン大会だけでなく小さな大会にも出てみよう

これからしばらくは東京マラソンだけでなく、人気の高い大都市マラソンは抽選倍率も上がり、エントリー締め切りも早まる可能性が高くなります。これはマラソン界にとってはいいことですし、マラソン人気がさらに高まれば、新しい大会も2010年代のように増えていく可能性があります。

ただ、現実問題として狙っていた大会に出られないのは、ランナーとして悩ましい問題のひとつです。

とはいえ、すべてのマラソン大会の出場が難しくなるわけではなく、アクセスが難しい地方の小さな大会であれば、定員割れすることもあるはずです。でも、そのような大会に魅力がないかというとそうではなく、地方の大会には地方の大会ならではの魅力があります。

そして自分に合う大会というのは出場してみないとわかりません。田園風景の中を走ることを気持ちよく感じるランナーもいれば、海沿いの絶景を眺めながら走るのが好きなランナーもいます。アップダウンがあるほうが、気持ちが盛り上がるというランナーもいるはずです。

マラソン人気が戻ってきて、大都市の大会に出場するのが難しくなったなら、地方にも視野を広げてみてください。きっとそこに新しい出会いがあり、あなたのランニングの幅、人生の幅を広げるきっかけになるはずです。

私自身も弘前・白神アップルマラソンに出場した結果、弘前城の桜なるものを見たくなり、今年の春にマラソンとは関係なく弘前を訪れています。それは素晴らしい体験で、でも弘前・白神アップルマラソンに出場していなかったら、私の人生に弘前城の桜は存在しなかった可能性があります。

遠征にはそんな魅力があり、非日常を楽しめるのがマラソン大会の魅力。今シーズンはまだ大都市マラソンでも走れる可能性がありますが、それでももう先を見据えて、これまで行ったことのない都道府県の大会に出てみてはいかがでしょう。

また、若い世代が走り始めたということは、若い世代と中高年世代が交わるチャンスでもあります。世代の壁を超えて繋がれるのもマラソンやランニングの魅力。出会いを待つだけでなく、自らも機会があれば若い世代のコミュニティに飛び込んでみるのもおすすめです。

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この記事を書いた人

重松貴志のアバター 重松貴志 ランニングトレーナー

東京・神奈川エリアを中心に「走れるためのカラダづくり」をベースとしたパーソナルトレーニングを実施。ランニングを始めたいという初心者から、自己ベスト更新を狙うシリアスランナーまで幅広くサポートしています。

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