コロナ禍を経て、マラソン大会の完走証のデジタル化が進みましたが、今年開催された愛媛マラソンでは、単純にデジタル完走証を発行するのではなく、これまでになかった新しい技術を活用して、公式記録(速報値)を記録した完走証をNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)として発行する日本初の試みが実施されました。
デジタル完走証はそれが本物であることを証明するのが難しいという問題がありますが、NFTにすることで唯一性・所有性とデジタルの永続性・利便性を兼ね備えることができ、大会の記録を証明する新しい手段として、そして参加者の記念として多くの大会で採用される可能性があります。
NFT完走証は自分だけの唯一無二の記念品になる
愛媛マラソンのNFT完走証は株式会社Swandiveの「Web3を意識することなくWeb3を体験できるサービス」である「2.99」(https://2dot99.com)を活用して発行されました。大会当日から3日間で完走証NFTを受け取ったランナーは2,343人に達し、完走者9,149人の25.6%に当たるランナーがこの新しい取り組みに参加したこととなります。
そもそもNFTって何?受け取ったけどよくわからないという人もいるかもしれませんので、NFTについて簡単に説明しておきます。NFTは「偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ」になります。たとえばPDFで受け取った完走証は比較的簡単にタイムを書き換えることができます。
ところがNFTは偽造できないようになっており、公式記録を入れたことで自分だけの唯一無二の記念品かつ証明書になるというわけです。これまでのマラソン大会でも記念品としてNFTを発行されることはありましたが、公式記録入りの完走証NFTを発行する取り組みは日本国内のマラソン大会において初めてのことになります。
愛媛マラソンで発行されたNFT完走証は、完走証の価値を高めるために公式記録を使って完走者ごとにカスタマイズされた約5秒の動画をNFTとして発行されています。また、ランダムに出現する3種類の背景を用意することで、ランナーにより楽しんでもらうための演出を取り入れられています。
唯一無二といっても同タイムで完走したら同じNFTになるのでは?と思うかもしれませんが、各NFTにはIDが付与されるためにランナーごとに異なるNFTであることが識別できるようになっています。ちなみにゼッケン番号がデザインに盛り込まれていないのは、ブロックチェーンの性質上、個人を特定できないようにする必要があるからとのこと。
今回は試験的な要素も大きいのですが、記録のデジタル証明書にもなるのでこれから多くのマラソン大会で導入される可能性が高いサービスになります。参加する大会で導入されていた場合は、ぜひ自分だけの記念品として発行してもらいましょう。
愛媛マラソンに参加したけどNFT完走証を受け取っていないという人も、GoogleアカウントかAppleIDを保有していれば今からでもNFTを取得できます。下記専用ページにアクセスして発行してもらいましょう。
https://ehime.2dot99.com/claim_later/ehime2024
ちなみに愛媛マラソンは紙の完走証も発行しており、デジタルはよくわからないという人でも完走証を受け取れるようになっています。
関係者のコメント
愛媛新聞社地域ラボ推進室
より多くの方に体験してもらうために、簡単な操作でNFTを受け取ることができるSwandive社の「2.99」を活用しました。今回の取り組みを切っ掛けとして、証明・記録用途でのNFT利用が促進されればと考えています。愛媛新聞社は、今後ともNFTを含むWeb3.0テクノロジーを活用した幅広いビジネス創出に取り組み、地域の課題解決や発展に貢献いたします。
株式会社Swandive代表取締役・吉村恭輔氏
今回はいきなり1万人規模のビッグイベントでの開催でプレッシャーがありましたが、ボランティアのアサインや専用ブースの設置など実行委員会にいただいた手厚いフォロー、現地ステークホルダーとの調整やUX向上のための機能提案など愛媛新聞社の大きなサポートのおかげでなんとか今回の取り組みを無事完了することができました。
今後は今回不十分だった受取のスムーズさをブラッシュアップして、より快適なユーザー体験を提供できるようにシステムの改善を行い、Web3を活用することでランナーにとって完走証が今よりもずっと価値のある記念品としていきます。