いろいろと話題になっているリオ五輪マラソンの日本代表選考。
「あれどうなってるの?」と周りの人に聞かれたら、ランナーとして知ったようなこと言いたいじゃないですか。
ここではマラソンの代表選考について、できるだけ中立な立場で現状の紹介します。
女子マラソン代表選考基準
●選考レース
- 第15回世界陸上競技会選手権大会(2015年8月/北京)
- 第1回さいたま国際マラソン(2015年11月/さいたま)
- 第35回大阪国際女子マラソン(2016年1月/大阪)
- 名古屋ウィメンズマラソン2016(2016年3月/名古屋)
●内定の基準
- 世界選手権の8位以内入賞者で、日本選手最上位1名
- 国内の選考レースで日本人3位以内、かつ日本陸連設定記録(2時間22分30秒)を満たした選手1名
- 国内の選考レースで日本人3位以内で、記録、順位、レース展開、タイム差、気象条件等を総合的に勘案し、本大会で活躍が期待されると評価された選手
世界選手権の入賞だけが即内定で、他の基準は「代表候補」です。
全大会が終了後に強化委員会で議論して選手選考を行います。
女子マラソンの現状
代表内定者:伊藤舞(世界選手権7位)
伊藤さんは世界選手権で7位入賞しているため文句なしで内定です。
この結果により2枠を3レースの上位各3名、合計9名で争うことになります。
すでに終了しているさいたま国際マラソンと大阪国際女子マラソンの日本人ランナーの結果を見てみましょう。
さいたま国際マラソン
- 2位 2:28:43 吉田香織
- 4位 2:31:06 渋井陽子
- 8位 2:36:29 小田切亜希
大阪国際女子マラソン
- 1位 2:22:17 福士加代子
- 2位 2:28:20 堀江美里
- 3位 2:29:14 竹中理沙
福士加代子さんは日本陸連設定記録を満たしましたが、日本陸連設定記録基準で選ばれるのは1名だけです。
この1名だけというところがポイントで、多くの人が勘違いしています。
(おそらく福士さんの陣営も勘違いしていたのではないでしょうか)
名古屋ウィメンズマラソンで福士さんよりも速いタイムで優勝した人が現れた場合、この1枠で内定する可能性があります。そうなったときに福士さんは3つ目の枠の選考対象メンバーとなります。
3つの選考レースの上位3名、合計9名の中から1名は日本陸連設定記録基準で選ばれるため、8人の中から「本大会で活躍が期待されると評価された選手」が選ばれます。
この基準でいれば、名古屋ウイメンズマラソンで、ハイレベルなレースが展開された場合、福士さんが落選する可能性が発生します。
ほぼありえませんが、日本陸連が「本大会で活躍が期待されると評価された選手」として福士さんではなく、さいたま国際マラソン3位の小田切さんを選ぶことだって可能性はゼロではありません。
男子マラソン代表選考基準
●選考レース
- 第 15 回世界陸上競技選手権大会(2015/北京)
- 第 69 回福岡国際マラソン選手権大会(2015/福岡)
- 東京マラソン 2016(2016/東京)
- 第 71 回びわ湖毎日マラソン(2016/大津)
●内定の基準
- 世界選手権の8位以内入賞者で、日本選手最上位1名
- 国内の選考レースで日本人3位以内、かつ日本陸連設定記録(2時間06分30秒)を満たした選手1名
- 国内の選考レースで日本人3位以内で、記録、順位、レース展開、タイム差、気象条件等を総合的に勘案し、本大会で活躍が期待されると評価された選手
世界選手権の入賞だけが即内定で、他の基準は「代表候補」です。
全大会が終了後に強化委員会で議論して選手選考を行います。
男子マラソンの現状
男子マラソンは世界選手権の入賞者もおらず、日本陸連設定記録(2時間06分30秒)が非常に厳しいため、いまだに内定者はゼロです。
女子と同じく現在終了している大会の結果を見てみましょう。
福岡国際マラソン
- 3位 2:08:56 佐々木悟
- 5位 2:10:55 高田千春
- 8位 2:12:46 大塚良軌
東京マラソン
- 8位 2:10:57 高宮祐樹
- 10位 2:11:34 下田裕太
- 11位 2:11:45 一色恭志
この6人全員にチャンスが与えられます。そしてびわ湖毎日マラソンで日本陸連設定記録を1人も突破できなかった場合、9名全員が同じテーブルにあがるわけです。
ちなみに選考レースは何度出てもいいのですが、日本陸連設定記録の突破でなければ、選考の基準になるのは最初に出た選考レースの結果だけです。
このルールの適用になり、公務員ランナーの川内さんは福岡国際マラソンの日本人4位(2:12:48)ですので、日本陸連設定記録(2時間06分30秒以内)でゴールしなければ落選します。
日本人1位2時間06分31秒で優勝しても落選です。
まとめ
なんとなく全体像はみえてきたでしょうか?
1.世界選手権で活躍した選手1名
2.日本陸連設定記録を突破した選手1名
3.陸連が期待する選手(1〜3名)
※何度挑戦してもいいけど、3の選考対象になるのは最初のレースの結果だけ。
まず1と2が優先され、あとは陸連が推薦する選手がリオ五輪に出られるのだと覚えておきましょう。
ポイントをつかめばそれほど難しくもなく、思った以上に明確なルールがあることがわかると思います。
男子選考レース
3月7日 第 71 回びわ湖毎日マラソン
女子選考レース
3月13日 名古屋ウィメンズマラソン2016
次の日曜日はびわ湖毎日マラソン、翌週は名古屋ウイメンズマラソンです。
新しいヒーローやヒロインは生まれるのか?
福士加代子さんはリオ五輪に出られるのか?
メディアも世論も巻き込んで面白い展開になってきました。
どのような結果がでるのか楽しみに待ちましょう。
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