アシックスが昨年実施した、世界16カ国を対象に運動とメンタルヘルスの関係性における調査「ASICS State of Mind」によると、世界的に男性と比較して女性は運動量が少なく、その中でも特に若い世代の運動時間が短いことが分かりました。
この調査結果を踏まえて、運動におけるジェンダー格差を解消する必要を感じたアシックスは、まずは実態を把握する必要があるとして、世界30カ国でアンケート調査を開始。日本でもアンケートが始まっていますので、ランナーの方もぜひご協力ください。
アンケートに答えてジェンダー格差解消に協力しよう
若い女性の運動時間が短いことがアシックスの調査で判明しましたが、実はそれだけではなく精神状態を表すスコアも低くなりました。なぜこのようなことになっているのかを解明するために、アシックスがスタートさせたのが世界規模の研究調査プロジェクト「move every mind」です。
運動とメンタルヘルスには正の相関性がみられることがわかっており、アクティブな人々(運動時間が週150分以上の人々)の精神状態は、非アクティブな人々(運動時間が週30分未満の人々)の人に比べて良好になる傾向があります。
運動に置けるジェンダー格差が解消され、女性がもっと運動できる環境が整えば、女性の精神状態も向上するはずだというのがアシックスの考えになるのですが、そのためにはまず現状を把握する必要があります。ジェンダー格差が起きるのは国ごとの文化の違いなのか、経済的な豊かさがどれくらい影響するのかなど、より詳しく分析するために、この調査が行われます。
今回の研究は、ケンタッキー大学の助教授であるディー・ドルゴンスキー博士が主導し、キングス・カレッジ・ロンドンのブレンドン・スタッブス博士がサポート。 日本国内においては、成城大学研究機構スポーツとジェンダー平等国際研究センター副センター長の野口亜弥さん(文芸学部専任講師)が参画し、日本特有の文化や社会環境などを加味しながら分析されます。
より正確な分析を行うために、より多くのアンケート結果が必要となります。ジェンダー格差を感じている人もそうでない人も、ジェンダー格差のない運動環境を整えるために、ぜひアシックスの調査に協力してください。アンケートの詳細は下記リンク先をご確認ください。
https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/move-every-mind
成城大学研究機構スポーツとジェンダー平等国際研究センター副センター長(文芸学部専任講師)
野口亜弥さんのコメント
女性の運動実施率が低いのには様々な文化・社会的な要因があります。個々人が豊かな人生を送るために、運動のもつ価値を知るだけでは、運動実施率は残念ながら向上しません。特に女性は、家庭や家族との関係性、仕事での役割、社会が期待する「女性らしさ」のために、運動に時間を費やすことが容易ではありません。
日本の文化・社会的な特性を考慮した上で、性別にかかわらず、誰もが安全・安心に、そして平等に運動を実施する機会があり、運動から得られる恩恵を最大限享受するためにはどうするべきか、本調査を通して考えていきたいと思います。