【シューズレビュー】adidas ✕ Allbirds「FUTURECRAFT.FOOTPRINT」ライフスタイルを変える1足

「FUTURECRAFT.FOOTPRINT」は低カーボンフットプリントを目指して、アディダスとオールバーズがコラボレーションして作られたランニングシューズです。数量限定での発売となった1足ですが、抽選は高倍率で涙をのんだランナーも多かったかと思います。

春には新モデルが発売になる予定なので期待して待ってもらいたいのですが、そもそもどのような使い方がいいのか気になっている人もいると思います。そこで今回はFUTURECRAFT.FOOTPRINTがどのようなシーンで活躍するシューズなのか、詳しくレビューしていきたいと思います。

目次

カーボンフットプリントゼロを目指す取り組みから生まれたシューズ

FUTURECRAFT.FOOTPRINTは、アディダスとオールバーズがコラボレーションして開発されたランニングシューズ。両社の目指すところは「カーボンフットプリントゼロ」にありますが、そこに到達するための最初の1歩として「2.94kg CO2e」を実現しています。

どのスポーツブランドもサステナビリティへの取り組みに力を入れており、CO2の排出量を最小限に抑えることで地球温暖化を抑制しています。ただし、現実的には「モノを作る=CO2を排出する」となっており、カーボンフットプリントを減らすのは容易ではありません。

ただ「2.94kg CO2e」がどれくらい難しいことなのか、あまりピンときていない人もいるかど思います。わかりやすい例としてはアシックスのジャージは上着だけで12.6kgのCO2を排出します。FUTURECRAFT.FOOTPRINTはその25%以下の排出量となっています。

難しいこと抜きにして表現するなら、「FUTURECRAFT.FOOTPRINTはとにかく地球に優しいランニングシューズ」です。おそらく現時点では世界で最もカーボンフットプリントが低いランニングシューズ。それを選ぶということは、地球に優しいランナーであることの意思表示にもなります。

ランニングのある生活を楽しむ人の超軽量シューズ

FUTURECRAFT.FOOTPRINTを手にして最初に感じるのは「軽い」ということ。ベースになっている「adizero RC 3」は片足約210g(27cm)ですが、FUTURECRAFT.FOOTPRINTは25.5cmの実測値が151gしかありません。

この軽さからするとスピードランナー向けの1足に思えますが、FUTURECRAFT.FOOTPRINTは速く走るためのランニングシューズではありません(速く走れないわけではありません)。おすすめなのはランニングのある生活を楽しみたいという人。

たとえば休日の朝、少し早めに起きて、朝食前に軽く走ってくる。自宅仕事の合間に気分転換として着の身着のまま走ってくる。そんなスタイルとの相性がいいシューズです。気合を入れて走るというよりは、あたり前のようにランニングがそこにある暮らし。

FUTURECRAFT.FOOTPRINTの魅力は履きやすさにあります。シューレースが伸縮するタイプですので、スリップ・オンタイプのシューズのように、さっと足を入れてそのまま走り出すことが可能。走りたいと思ってから、走り出すまでのロスがありません。

ちょっと散歩に行くという感覚でランニングに出かけられる。もしくは散歩の途中にちょっと走ってみる。そんな使い方がいいかもしれません。ランナーの多くがフルマラソン完走をひとつの目標にしていますが、FUTURECRAFT.FOOTPRINTはそれとは方向性が違う1足。

スピードを追求するのではなく、肩の力を抜いて季節ごとの空気の香りを感じながら、視界に入ってくる景色の変化を楽しみながら走るのに最適。そういう意味では「走るのが苦手」「走るのは嫌い」と感じている人にこそ履いてもらいたいシューズです。

足を締め付けることなく程よい反発を感じられる1足

実際に履いて走った感覚もレビューしておきましょう。すでに「超軽量だけどストイックに走る人向けではない」とお伝えしましたが、軽いのになぜストイックに走れないの?と疑問に感じている人もいるかも知れません。

その最大の理由はフィット感にあります。FUTURECRAFT.FOOTPRINTは一般的なランニングシューズのようなホールド感がありません。足を包み込んで一体感を出すタイプではなく、むしろ意図的に緩さを作り出しているので、追従性が高くありません。

キロ6分程度のスピードならまったく問題ないのですが、キロ4分台になると足を引き上げるときにシューズがワンテンポ遅れてきます。遅れてくるだけなので速く走れないわけではないのですが、シリアスランナーはこの微妙な感覚が走りのリズムを崩してしまいます。

ただそれは速く走ろうとするからであって、もっと肩の力を抜いて風を感じながら気持ちよく走るのであれば、むしろ足の締め付けがなく、ソールの程よい反発を感じられるので「ランニングって楽しいかも」という気分になれます。

一見するとスタンダードなランニングシューズなのですが、FUTURECRAFT.FOOTPRINTはこれまでのランニングシューズにない個性を持った1足。でも最近のアディダスはシューズコンセプトが明確で、シューズを選びやすくなりました。

以前レビューした「ADISTAR(アディスター)」はLSDに特化していて、長い距離をゆっくり走るのに最適な1足。それと同じように「FUTURECRAFT.FOOTPRINT」は、季節の変化を楽しみながら楽なペースで走るのに最適な1足。

自己ベスト更新を掲げて日々のトレーニングを積み重ねている人には、FUTURECRAFT.FOOTPRINTにはこのコンセプトがわかりづらいかもしれません。でもすでに「ランニング=マラソン」の構図はゆっくりと崩れつつあります。

FUTURECRAFT.FOOTPRINTを履いてもらえれば、速く走る以外の「ランニング」もあるのだと気付いてもらえるかもしれません。

旅行先や出張先での「ちょっと走ってくる」にも最適

もうひとつFUTURECRAFT.FOOTPRINTの利点を挙げておきます。とにかく軽い1足だとお伝えしましたが、軽いだけでなくミニマルデザインでコンパクトなのもFUTURECRAFT.FOOTPRINTの魅力のひとつ。

コンパクトなので旅行や出張の荷物に加えても邪魔になりません。旅行先や出張先で走りたいけど、ランニングシューズはかさばるから持っていけないという人もいるかと思いますが、FUTURECRAFT.FOOTPRINTならその問題が発生しません。

そして、FUTURECRAFT.FOOTPRINTのコンセプトは、旅行先や出張先の「いつもと違う場所でのランニング」との相性がいいというのも注目ポイントです。はじめての場所は目に入るものがすべて新鮮なので、いろいろ見ながら走りたいですよね。

FUTURECRAFT.FOOTPRINTは自分の楽なペースで走るのに適しているので、ちょうどいい感じで観光もしながらランニングを楽しめます。そして何よりもデザインがシンプルなので、観光地を歩き回るのにもぴったりです。

青い空とどこまでも広がるビーチ。FUTURECRAFT.FOOTPRINTはそんなリゾートでのファッションアイテムとしても使えます。白いシャツと白いパンツに素足のままFUTURECRAFT.FOOTPRINTを履いて……ちょっとやりすぎ感はありますが、そんな使い方もできるわけです。

もちろん南国のリゾートで朝早くに「ちょっと走ってくる」なんてこともOK。このイメージでストイックさとは価値観が真逆に位置するランニングシューズだということがわかってもらえたかと思います。でも、それもランニングの楽しみ方のひとつ。

そんなこと言われても、もう入手できないのでは?と思っている人に朗報です。春に新モデルが発売されることになっていますので、新作を期待してお待ち下さい。ただ、ストイックに走れる1足に仕上がっていたら……そのときはごめんなさい。

ただ現時点では「楽しく走れるファッションアイテム」「ランニングをライフスタイルのひとつとして楽しむ1足」という位置づけ。さらなる低カーボンフットプリントも含めて、ここからどう進化していくかも楽しみなランニングシューズです。

https://shop.adidas.jp/futurecraft-allbirds/

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