日本一早いマラソンレポート「第1回日光100kmウルトラマラソン」

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日光で待望のウルトラマラソンが開催されました。参加費が22000円という、驚きのプライスでしたが、募集人数100キロと62.195キロと合わせて2000人と少ないこともあり、定員は埋まったようです。

コースは今市運動公園をスタートし、いろは坂を登って中禅寺湖で折り返し、そこから今市方面に戻り、そこから鬼怒川温泉まで走り、そこからスタートの今市運動公園に戻ります。日光東照宮の参道や、東部ワールドスクエアや日光江戸村内もコースに含まれています。

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日光周辺の観光名所を走って回ることができる、他にはない宝石箱のようなウルトラマラソンです。

スタート直前に雨が降り、さらに気温は29度まで上がるという予報。とても湿度の高い中での開催となり、この湿度に苦しんだランナーさんも多かったようです。

コースはいろは坂の勾配だけが注目されていますが、序盤の坂だったこともあり、きちんとトレーニングをしてるランナーさんは、ほとんど苦にすることなく上れていました。それ以上にランナーを苦しめたのは、後半のこまめなアップダウンでした。元気なときの10%以上の勾配よりも、疲労時の小さな坂が苦しいのはウルトラマラソンの面白さの1つです。

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大会を通じて感じたのは、主催の『日光をランナーの聖地』とする実行委員会がとても熱い情熱を持って大会を開催していることと、自治体が主催ではない難しさです。

第1回ということで、何もかも上手く回ってないと感じたのは前日受付です。まずシャトルバスが定期運行で、時間にならないと動かないということ。電車の時間は決まってて、これ以上人は来ないのに、15分にならないと出せませんと言われ(ランナーは案内などで出発時間を知らされていない)、2台のバスで待機。

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次の便が出るのはおそらく1時間後。そして、受付会場側では乗客を待ちません。そのまま待機してる人を乗せて駅前に戻ります。私が受付を済ませて、バス停に行ったらバスは40分後とのこと。2台のバスがあれば、1台ずつ会場と駅に配置すればこんなことにはならず、少なくとも30分に1回は出発できます。

運悪く受付の日は雨で、選手説明会は屋外のステージから、急遽体育館内での開催でした。ただし、雨の想定はしていなかったのが、翌日の荷物置き場に無理やり参加者を詰め込む形に。

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こういうことは回数を重ねることで改善されていきますので、あまり気にすることではありませんが、参加者にはあまりいいイメージにはなりません。

他にも良くなかったなと感じたところを、3つ挙げていきましょう。

・スタート時以外は交通規制なし
・スタッフ不足
・地元への露出不足

この3点が、ウルトラマラソンを今後も開催して行く上で、かなりのネックになります。日光100kmウルトラマラソンは基本的に、交通規制なしで歩道を走ります。このため信号が赤になると止まります。ただし、現場にいるスタッフの判断で赤信号でも渡らせることもあります。

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まず、信号でのストップは、累積で20分以上になっている人もいます。数回の信号ストップならいいのですが、かなり頻繁にストップします。こうなると勝負レースとしてエントリーが難しくなります。

行政が大会のトップの場合は割と地元警察が融通を利かせてくれますが、今回のような民間が主催ケースでは、警察は道路を止めるのも嫌がりますし、そもそも大会の開催も嫌がりますし。そこで事故が起きたら警察も責任を取らなくてはいけないためです。

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さらに安全の問題ですが、今回はルールとして歩道を走ります。ところが、写真にあるように半分近くのランナーが車道を走っています。歩道が狭く、溢れているというのもありますが、歩道を走ることを徹底していませんし、スタッフ不足で、それを注意できる人もほとんどいません。

道路は封鎖していませんので、当然前や後ろから車がやってきます。さらにそこで追い抜きなどをしますから、早朝とはいえとても危険な状態でした。

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日光100kmウルトラマラソンの魅力の1つがいろは坂を走れることですが、このいろは坂ももちろん車は止めていませんし、歩道もありません。上りはまだいいのですが、下りはかなり危険です。ランナーが勢いあまって転んだところに車が通過したら…

車と人の接触は、これから大会を何回も開催していれば、いずれ、必ず発生する事故です。大会を開催する以上、最優先しなくてはいけないのが安全です。全ての危険を排除することはできませんが、明らかに起こりうる危険をフォローできないのであれば、無理して開催する理由はありません。

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道路は封鎖していませんので、路地から地元の車が大通りに出ようとします。でもランナーが次々に渡って通過するので、車は身動きが取れなくなります。大会の開催そのものも、あまり興味もなく開催を知らない人も多いようで、地元との連携がいまいちな感じで、ちょっともったいない気がします。

人気のウルトラマラソンのほとんどが、地元密着型です。

ただ、数は少ないものの、地元の人たちが一生懸命応援…というより、ものすごく心配そうに見守ってくれているのが印象的でした。交通規制がないために車で先回りして応援できるという、メリットもあります。

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第1回ということもあり、地元も様子見だったのかもしれません。今回の開催を見て、行政や警察もいい対応をしてもらえるかもしれません。いずれ町をあげてのイベントになる可能性もあります。

ただ、今回走った人たちが、来年もリピートしてくれる可能性はかなり低いと感じています。単純に22000円を払ってまで出る大会だとは、感じてもらえなかったのではないでしょうか。次回は絶対に改善されるはずですが、第1回としての評価を覆すにはかなりの大幅変更が必要です。

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コースは信号待ちを除けば、見所も多く、個性的でかなり魅力的です。日光江戸村と東部ワールドスクエアは、ほんの一部しか見られませんでしたが、レース中ですのでどちらにしてもゆっくり楽しむことはできません。余裕のあるランナーさんは楽しめたと思います。

ただ、これらのコースのために参加費が高いのであれば、それは問題です。参加者には日光東照宮などのいくつかの施設のうち1つを無料もしくは割引で入場できるのですが、それもサービスではなく、参加費に含まれているのではないかと感じた人もいるはずです。

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それ自体はとても興味深い方法ですが、ランナーの割高感につながっているなら、再考が必要かもしれません。

ランナーズウェルネスは受益者負担を掲げていますが、その考え方は残念ながらランナーには定着していません。単純に価格だけで判断して、その内容だけで、高い安いを判断します。

大会側は参加案内を紙で送らず、PDFダウンロードにしたのですが、経費を抑えるためにかなり苦労されていたように感じます。でも、下手するとそれさえも、22000円も払って、参加案内も送られてこないというマイナス評価を受けてしまう可能性がありますが。

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ずっと批判的な意見を書き出していましたが、日光100kmウルトラマラソンが嫌いなわけではありません。

今後も継続して開催するには、少なくともこれくらいのハードルはクリアしなければ、日光ハイウェイマラソンと同じように数回で開催をやめてしますかもしれません。ちなみに日光ハイウェイマラソンも、主催は『日光をランナーの聖地』とする実行委員会です。

『日光をランナーの聖地』とする実行委員会の情熱は素晴らしいものがあります。ランナーズウェルネスもその情熱に動かされたのでしょう。今回はランナーズウェルネス代表の坂本さんまで、会場に足を運び、コース上でハイタッチもしていました。

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それでも、情熱だけではウルトラマラソンの開催はできません。特に日光のような観光地では、難しいでしょう。

警察も含めた自治体の協力のもと、道路の封鎖もした上で、参加者数を4000人規模にして、参加費を下げる。もしくは、いろは坂を使ったフルマラソンに切り替える。

これくらいの大きな見直しをするか、今回分かった改善点の見直しができないのであれば、厳しいことを言うようですが、日光でのウルトラマラソンを存続がかなり難しいと感じています。きっと、それは運営側が1番気にしていることと思います。

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もちろん、これは今年の評価であり、半分は来年には改善されるでしょうし、今回の参加者の中には満足度の高い人もいるはずです。評価は人それぞれ違うものです。繰り返しになりますが、走るコースとしての魅力はありますので、ウルトラランナーなら1度は走ってもらいたい難コースです。

運営もボランティアさんも一生懸命。

民間の団体が主催していることも含め、これから定着してもらいたい大会です。どんな大会だったのか興味があった人は、出ようかどうか悩んだランナーさんだと思います。まずは自分の目で見て、自分の足で走って様々なことを感じてもらえればと思います。

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