日本一早いマラソンレポート「天童ラ・フランスマラソン2025」

RUNNING STREET 365では秋の定番となっている「天童ラ・フランスマラソン」のレポート。今年も天童市に山形県総合運動公園行ってきました。ただ、今年は陸上競技場を利用できず、陸上競技場の外にスタート・フィニッシュを設ける特別仕様。

それでいて、今年は全国的に熊の出没があり、天童だけでなく山形全域で熊の目撃が相次いており、地元でも問題なく開催されるのか不安視されているなかで当日を向けかえました。そんな環境で「いつもと違う」雰囲気が漂っていた「天童ラ・フランスマラソン2025」をレポートします。

目次

暑さを感じるほどの快晴だった「天童ラ・フランスマラソン2025」

金曜日の夜に新宿を出発したときには、近年稀に見る大雨で、東日本から北海道にかけて悪天候となったこの週末。大会当日もどのような天気になるか不安でしたが、朝起きてみるとそれも杞憂だったことに気づきました。まさかの青空がそこにあります。

そうはいっても東北なので、外に出てみると寒いのではと思って少し厚着をして会場へと向かいましたが、泊まらせてもらっている友人の実家の玄関を出た瞬間に、着替えに戻ることになりました。明らかに気温が高く、実は手袋を持ってくるのを忘れていたのですが、その必要もなく。

それどころか、会場まで約2.5kmをジョグで向かったのですが、暑くて到着してすぐにネックウォーマーを外すほど。本当は長袖のインナーも脱ぎたかったのですが、準備に時間がかかってしまい、長袖インナーとTシャツで集合ブロックに向かいました。

スタート位置が陸上競技場内でない天童ラ・フランスマラソンを走るのは初めてのことなのですが、公園内は紅葉が美してく、いつもと違う雰囲気も特別感があって楽しく感じます。ただ、私はEブロックで最後尾からのスタートになりましたが、さすがに道幅が狭くてスタートまでに6分近くかかりました。

私がスターとしたときには、トップはもう1.5km地点にいたわけで、ハーフマラソンのような距離になるとこれはなかなか絶望的な差。そういう意味では、シリアスに走るランナーにとっては、スムーズにスタートできる陸上競技場のトラックスタートのほうがよかったのかもしれません。

いずれにしても11月の東北とは思えないほどの快晴。しかもスタート時にはほぼ無風です。レース中には少し強い向かい風を感じることもありましたが、基本的には上り坂が追い風になる場面が多く、走りやすいコンディションでの開催となりました。

いつもと違うスタート・フィニッシュでも変わらず楽しめたコース

スタートの並び方がいつもと違ったのはすでにお伝えしましたが、もちろんフィニッシュもいつもと違います。これまでは陸上競技場のトラックに並んで待機していましたが、今回は陸上競技場の外側の公園内に整列。陸上競技場の北側に整列します。

そこから公園の東口から外に出るのですが、フィニッシュはこれまでと同じように南側から公園内に入って、公園内を迂回しながらスタートと同じゲートでフィニッシュします。その他の部分はこれまでと同じで、前半の10kmは山に向かって走るアップダウンが厳しいコースで、残り11kmは比較的フラットな道を走ります。

今回は最後尾(Eブロック)からのスタートでしたが、しばらくは道幅が狭く追い抜きができません。これは毎年のことなので想定していましたが、歩道にはみ出して走っている人が数名いました。これは以前から気になっていましたが、大会側が特に注意もアナウンスもしないので、黙認しているのかもしれません。

スタートしてからしばらくは上り基調になっているため、走力に応じてランナーが自然とバラけていきます。本格的な上りに入ると無理なく追い抜けるように。私にとってはそこからが天童ラ・フランスマラソンです。前半のロスが嫌なら、走力をつけてA〜Bのブロックでスタートするしかありません。

もっとも天童ラ・フランスマラソンはタイムを狙うような大会でもなく、速さを求めるよりも風景やエイドを楽しむのに適した大会です。「ラ・フランス」マラソンですが、コースのあちこちに赤いリンゴが実っていて、東北ならではの幻想的な風景を楽しめます。

雨上がりということもあって空気も澄んでいて、遠くの山々や紅葉も視界に飛び込んでくるのも天童ラ・フランスマラソンの魅力。これまで何度も同じコースを走ってきましたが、今年の景色の美しさは格別。マラソンでなければ何度も立ち止まって写真を撮りたいところです。

ラ・フランスだけでない充実のエイドでランナーを歓迎

天童ラ・フランスマラソンといえば、すべてのエイドで山盛りのラ・フランスが出てくることで毎年のように話題になりましたが、いまはシャインマスカットや王将焼、おみ漬け、網走オホーツク海マラソンとのコラボの蟹などの、ラ・フランス以外も楽しめるようになっています。

食べきれないほどのラ・フランスも面白かったのですが、すべてのエイドで出てくるというのはさすがに「多いなぁ」という印象はありました(全部食べるからよくないのですが)。今年のように何種類も食べられるとなると、次のエイドが楽しみになり、それが推進力になります。

沿道では地元の方もボランティアスタッフさんも要所要所で声援を送ってくれるので、21kmを通じて孤立することもありません。途切れない声援ではありませんが、とても温かく、確実にランナーの背中を押してくれます。

また、エイドではゴミ箱に入らなかった紙コップをすぐに拾ってゴミ箱に入れていたので、コース上はいつもクリーンで気持ちいいのも天童ラ・フランスマラソンの素晴らしいとこと。もしかしたら大会前もコースの掃除をしているのかもしれません。とにかくどこもきれいにしてあります。

ハーフマラソンの大会によっては、ランナーに対して「走らせてあげている」という雰囲気が漂っていることもあるのですが、天童ラ・フランスマラソンはまったくそのようなところはなく、すべてがランナーファーストになっています。

山形には素晴らしいハーフマラソンがいくつもありますが、それは県民性によるものなのか、それぞれの大会の努力によるものなのかはわかりません。ただ確実に言えるのは、天童ラ・フランスマラソンは美味しくて気持ちいいということです。

走りやすさやタイムだけでは測れない「天童ラ・フランスマラソン」の魅力

マラソンを走る理由。ほとんどのランナーにとっては「過去の自分を超えていく」ことを掲げていますが、マラソンの魅力はタイムだけではありません。自己ベストを出せなくても楽しかったと思える大会はいくつもあり、反対に走りやすいコースで自己ベストが続出しても、参加者の評価が上がらない大会もあります。

「天童ラ・フランスマラソン」は前者で、走りやすさでいえば難易度はかなり高く、自己ベスト更新を狙いにくい大会です。だからタイムを狙いたいランナーにはおすすめしません。ただ、マラソン大会が好きで、多くの人と一緒に走ることを楽しいと思えるなら全力でおすすめしたい大会です。

マラソンそのものも充実していますが、走り終わってから芋煮やラ・フランスの食べ放題だけでなく、キッチンカーなども出店しており、会場はお祭りのような雰囲気になります。さらには参加賞として、Tシャツだけでなくラ・フランスを3つもいただけます。

Tシャツのデザインは個人的に、ラ・フランスカラーのほうが好きなのですが、今年の白地に赤のデザインのTシャツも、地元のランナーを中心に、多くのランナーが着用してスタートラインに立ちました。参加賞Tシャツの着用率は、もしかしたら日本一かもしれません。

毎年、秋と春にフルマラソンを走るというランナーも多く、この時期は秋のフルマラソンを選ぶという方も多いかと思います。でも、ここ数年は猛暑により夏の走り込みができない状態で秋のフルマラソンを走ることになり、思うような結果を出せていない人も多いはず。

だったら、自分の身の丈にあったハーフマラソンを走るほうがおすすめです。最近は天童ラ・フランスマラソンのように、個性的なハーフマラソンが増えつつあります。「マラソンはフルマラソンじゃなきゃ」と思っている人もいるかもしれませんが、ハーフマラソンにも魅力があります。このレポートを読んで気になったという方は、来年はフルマラソンではなく、天童ラ・フランスマラソンを走ってみてはいかがでしょう。

天童ラ・フランスマラソン:https://www.lafrance-marathon.com

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