いよいよ秋マラソンのシーズンがやってきました。秋マラソンのは夏にかなりの走り込みをしていないと結果が出にくいのですが、少なくとも今のベストを尽くすためにできることはしようと考えているランナーさんも多いかと思います。
そういうランナーさんにとって毎回悩みなのは、前日に何を食べるべきかということではないでしょうか?カーボローディングのためにパスタを食べるべきなのか、それとも軽めの食事で切り上げるべきなのか。
なかなか自分のスタイルが確立できずにいるランナーさんもいるかと思いますので、ここではマラソン大会の前日に何を食べればいいのかについて開設していきます。
前日の食事に正解はない
いきなり身も蓋もない話ですが、マラソン大会前日の食事に「これを食べればOK」というような正解はありません。フルマラソンと言っても、3時間以内にゴールする人と、6時間かかってゴールする人とではエネルギーの考え方は違います。
多くのランナーが意識するカーボローディングですが、例えば5〜6時間くらいかけてフルマラソンを走る場合には、体が重くなって足への負荷のほうが大きくなってしまいますので、はっきり言って意味がありません。
サブ3を狙う人にしてみれば、カーボローディングの成功がサブ3達成に繋がる可能性もあります。でも胃があまり強くないランナーの場合は、やはり急激な炭水化物増で胃への負担が大きくなって走れなくなることもあります。
要するに、前日の食事は人それぞれ違い、同じ人でもその日のコンディションによって最適なものが変わってきます。まずはそのことを念頭に置いておいてください。正解を導き出そうというのは無駄な作業です。
ただし「これは避けておいたほうがいい」というものはあります。次にどのような食べ物を避けておくべきなのかをご紹介します。
マラソン大会前日に食べないほうがいいもの
何を食べるべきかの正解はなくても、食べてはいけないもの、避けるべきものというのはあります。基本的な考え方は2つあります。
・内臓に負担をかけるもの
・体調を崩す要因になるもの
この2つに該当する食べ物はあまりマラソン大会前日にはふさわしくありません。具体的にどのような食べ物が該当するのか見ていきましょう。
内臓に負担をかけるもの
・脂の多い肉
・揚げ物、天ぷら
・繊維の多い食べ物(海藻・きのこ・筍)
・生クリームを使ったケーキ
・こってりしたラーメン
・パスタ
・お酒
内臓に負担をかけてしまうと、夜の眠りが浅くなってしまいます。特に消化に時間がかかるものはレース前日の食事としては避けるべきです。そのときに食べないようにしたいのは油(脂)です。
油は消化をするまでに時間がかかり、吸収するスピードもかなり緩やかです。このため、マラソン前日には揚げ物や天ぷら、生クリームなどは口にしないのが理想です。同じく消化しづらい食物繊維の多い食べ物NGです。
パスタやラーメンがNGというのはかなり意外かもしれませんが、いずれも油を多く使いますので、エネルギーにはなっても胃もたれの原因になります。炭水化物を摂りたいならご飯やうどん、蕎麦などがおすすめです。
いい走りをしたいのであれば、もちろんお酒は飲まないようにしてください。
体調を崩す要因になるもの
・生モノ
・牛乳やヨーグルトなどの乳製品
・唐辛子を使った辛い料理
・コーヒーや柑橘類などの酸味のあるもの
旅ランの場合、地元の美味しい魚を食べたいという人もいるかもしれませんが、刺し身やお寿司のような生モノは避けてください。特に貝は体調を崩す確立が高いので、レース後の楽しみにとっておきましょう。
乳製品は普段から口にしているのであれば問題ありませんが、レース前日に牧場などに行って牛乳を飲むと、お腹を下してしまう可能性があります。お腹を下すと体力を消耗しますし、水分も失われます。
そういう意味では辛い食べ物も口にしないほうがいいでしょう。川内優輝選手はマラソン前日にカレーライスを食べていますが、これは習慣になっているからこそできることです。普段食べていない人がいきなり真似をしても効果は期待できません。
コーヒーや柑橘類などの胃を刺激するものも、あまり食べたり飲んだりしないようにしましょう。
カーボローディングは必要ない
カーボローディングをすると、体内にグリコーゲンが蓄えられてエネルギー切れすることなく最後まで走りきれます。ただし、カーボローディングによって無補給で完走できるのはサブ3を狙うランナーくらいです。
3時間以上かけて走る場合には、カーボローディングで蓄えたグリコーゲンだけでは最後まで走り切るのは困難です。体脂肪を上手にエネルギーに変えられるなら話は別ですが。
基本的にカーボローディングは必要ありません。
少なくともこのサイトで、前日の食事について情報を得ようとしているレベルのランナーが自己流で行えるほど、カーボローディングは簡単なものではありません。ある程度知識のある人でも、トライアンドエラーを何回も繰り返して自分の形を作ります。
レース前日に「カーボローディング」と言ってパスタを食べるというのは、正しい意味でのカーボローディングではありませんし、すでにお伝えしましたように、レース前日のパスタはあまりおすすめではありません。
ただ、炭水化物をやや多めに摂るというのは間違いではありません。ご飯やうどんであればエネルギーになる糖質を摂取できますし、消化もいいので夜にしっかりと内臓を休ませることもできます。
それでもやはり見よう見まねでできるものではありませんので、基本的には不要なものだと考えてください。
前日の食事は普段と同じが理想
カーボローディングではなくて炭水化物を多めに摂るというのは、間違いではないとお伝えしましたが、それでもやっぱり基本的にはおすすめできません。いつもと違うことをすると、どうしても体に負荷がかかります。
その結果、回復が遅れてしまう可能性もあります。
市民ランナーの私たちは、マラソン大会翌日でも仕事をしなくてはいけませんし、できることなら翌日でも少しは走りたいですよね。走り終えてからの打ち上げにも元気よく参加したいところです。
そう考えると、マラソン大会だからといって特別なことをするのはあまり賢い選択ではありません。いつも通りに食事して、いつも通りに眠る。特別なことは一切せずにレースに挑むという選択肢も持っておきましょう。
この「いつも通り」というのは、副次的に大きなメリットを生み出します。それは緊張しすぎずにスタートラインに立てるということです。緊張しないのもいけませんが、過緊張は疲労を早め自分のレースプランを乱します。
いつも通りにしていれば、程よい緊張感でレースをスタートでき、自分を最後までコントロールしやすくなります。
レース経験が浅いと、あれこれ試してみたくなるものです。その気持は分かりますが、平常心でいることこそ自分のポテンシャルを最大限に引き出すコツだと考えて、いつも通りの食事を心がけてください。