世界中で5000万人以上の会員がいる世界最大のスポーツコミュニティStravaが突然大きな仕様変更を掲げました。あまりにも急で、そして大きな変更だったのであちこちで困惑の声が上がっています。その最大の理由がこれまで無料で利用できていた機能の一部が有料になったという点にあります。
やや混乱しているような状況ですので、RUNNING STREET 365では今回のサブスクリプションアップデートで何が変わったのか、これからどうなるのかについてわかりやすく解説していきます。
Stravaの仕様が変更になった背景
Stravaは5000万人もの会員のいるサービスですが、それを支えているのは180人のスタッフです。この180人のスタッフが情熱を持って、より良いサービスを提供してくれていたわけですが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって、これまでと同じように収益を上げられなくなっています。
開発や設備に費用をかけているので、Stravaは決して収益性が高いわけではありません。Stravaの収入には大きな3つの柱があります。
- 会員向けの有料サービス
- 匿名化したデータの提供
- イベントを開催できるスポンサー権利
このうち匿名化したデータの提供のニーズが、新型コロナウイルスが感染拡大する状況下でどれくらいニーズがあるのかはわかりませんが、そもそも人が動いていないわけですから、現時点ではそれほど大きな収入にはならないことが推定できます。
そしてスポンサーもイベントを開催できないので、スポンサー収入は確実に減っています。
要するにお金がないわけです。このままでは継続するのが難しいと判断したのでしょう。開発の勢いを止めることなくStravaを継続するには、会員向けの有料サービスでの収入を増やすという選択肢しかなかったことが考えられます。
それと同時に無料会員でできることを減らしてサーバーの負荷を落とす。これによって設備投資の費用も抑えられます。
サブスクリプションのアップデートで変わること
それでは今回のアップデートで何が変わるのでしょう?
- 有料パックのSummitを廃止
- 無料会員・有料会員(サブスクリプション会員)に分かれる
- 無料会員でできることが大幅に減る
- これからアップデートする新規機能は有料会員だけが受けられる
まず根本で変わるのはこの4つです。これまでオプションとして提供されてきたSummitが廃止されます。Summitには「トレーニング」「セーフティ」「アナリシス」の3つのパックが用意されていましたがこれを1つのサービスにまとめてサブスクリプションサービスとして提供されます。
シンプルに無料会員と有料会員という2つの区分に分けられます。有料会員は月々の支払いになる月間サブスクリプションと1年分をまとめて払う年間サブスクリプションにわかれます。それぞれの料金は次のようになります。
年間サブスクリプション:月額525円
月間サブスクリプション:月額800円
継続して使うなら、年間サブスクリプションを選ばない理由はありません。
問題は無料会員でできることを減るということですが、何ができなくなるのかについて詳しく見ていきましょう。
Stravaの無料会員ができなくなること
- セグメントのリーダーボード全体表示
- セグメントエフォートの比較、フィルタリング、分析機能
- strava.comでのルート作成機能
- 同一ルートでのランニングのパフォーマンス分析
- Androidとウェブのトレーニングログ
- 月毎のアクティビティの傾向チェックと比較
いろいろありますが、1番大きいのはリーダーボードが10位までしか見れなくなることかもしれません。リーダーボードというのは、Strava上で作られたコースのタイムを競う機能で、その区間における自分の順位がわかります。
例えば皇居1周のセグメントを約1.9万人が走っていますが、無料会員はこのうちのトップ10までしか見ることができないわけです。トップ10に入るには1周15分で走らなくてはいけません。普通の市民ランナーでは現実的ではありません。
また、これまで無料でできていたルート作成機能も有料会員だけが使えることになります。初めて行く場所で最適なコースを探すときなどに役立っていた機能ですので、人によってはかなり不便になるかもしれません。
ここまで機能が削られると、無料会員でできることをまとめたほうがわかりやすいかもしれません。
- アクティビティの記録
- デバイスの連携
- SNS機能
無料会員ができることはこれだけです。自分のランニングログを公開し、ラン仲間の走りを確認できる。とてもシンプルになってしまいました。これならGarmin Connectでもいいかなと思う人もいるかもしれませんが、SNS機能があるのでとりあえず使い続けるという人が大半かと思います。
サブスクリプション会員になるべきかどうか
では今回のアップデートを機にサブスクリプション会員になるべきかどうか。使い込んでいる人は、かなり悩むことになるかとは思いますが、困るレベルになるのであればサブスクリプション会員になるのをおすすめします。
無料であれこれできるというのが魅力のStravaですが、説明しましたようにこれまでの方法では持続するのが難しい状況にあり、今回でサブスクリプションへの移行が思ったほど伸びなかった場合には、Stravaの存在そのものが危うくなります。
継続されることを期待するなら、毎月525円を投げ銭のつもりで仕払ってみてはいかがでしょう。これは使用料でありStravaに対する支援でもあります。このような状況が長く続いても、Stravaが常に新しいアップデートをし続けるための支援。
ここまで無料会員で機能を使いこなしてきた人なら、有料会員となってできることが増えるのでこれまで以上に便利に感じるはずです。まずは60日間の無料トライアルで試すことができますので、2ヶ月間使い込んでみることをおすすめします。
ログの記録とSNSがあれば十分という人は、もちろん無料会員で十分です。ただ、自分を分析するということはランニングをさらにおもしろくしてくれるので、まずは無料トライアルを使ってみるのもよいかと思います。
Summitを使い続けてきた者としては「こんな素晴らしい機能をなぜみんな使わないのだろう」と不思議に感じてきたので、分析するのが好きだという人は、ぜひ新しい機能を体験してみてください。
Strava:https://www.strava.com/