今年開催された3つのワールドマラソンメジャーズ(東京・ボストン・ロンドン)の優勝者男女合わせて6名のうち、4名がADIZEROを履いてフィニッシュラインに立つなど、存在感を示しているアディダス。そんなアディダスから新しいランニングシューズ「ADIZERO SL 2」が登場しました。
位置付けとしては、日々のトレーニングのベースとなるジョグで履くための1足ですが、ほとんどのレベルのランナーにとって、自己ベスト更新を狙えるレースシューズにもなりえるほどの、高いポテンシャルを備えたランニングシューズに仕上がっています。
すべてを兼ね備えたジョグシューズに進化
ジョグはマラソントレーニングの中でもとても重要なトレーニングのひとつで、トップレベルの選手であってもトレーニングの70〜80%はジョグになります。ただ、ジョグはスピードを出す必要がないため、どんなランニングシューズを選ぶのかは好みがわかれます。
ただ、好みがわかれてしまうのは、絶対的な存在がないためです。たとえば安定性を求めるとジョグシューズは重たくなり、軽さを求めるとジョグシューズはクッション性が失われてしまいます。軽くて反発性にも優れていて、それでいてクッション性もあって足に優しい。それが理想ではありますが、矛盾を含んだ理想でもあります。
ところが、そんな理想を備えたシューズが突然現れたわけです。これまでも好評だった「ADIZERO SL」を大幅に刷新し、ジョグだけでなくトップアスリートのペース走に使えるほどにスペックアップ。それが「ADIZERO SL 2」になります。
前作よりも軽いのに、クッション性も反発性も向上。しかもかつてのADIZEROのような、足に貼り付くようなフィット感も備わっています。シューズレビューは後日行いますが、サブ3.5レベルまでなら「ADIZERO SL 2」でまったくもって問題なく、それでいて安定性もあるのでジョグにも使える1足です。
ADIZERO SL 2の先行体験イベント「adidas ADIZERO SL ATHLETE SESSION」にて、実際に履いて走らせていただいたのですが、400mのビルドアップ走でキロ3分を切るようなペースまで上げたにもかかわらず、まったく問題なく走れたので、もしかするとサブ3でもADIZERO SL 2でいけるかもしれません。
発売は2024年6月1日から。価格は14,300円。ランニングシューズに軽快さを求める人や、オールラウンダーな1足を手に入れたいという人にとって最適解になる可能性が高い1足ですので、ぜひ発売日以降にランニングショップなどでチェックしておきましょう。
ADIZERO SL 2とADIZERO SLの比較
ADIZERO SL 2は前作と比べて反発力が5%、クッション性能が10%向上しています。どのような変更点によって、このような大きな改善に成功したのか、adizero SL2とadizero SLの違いについて解説していきます。まずは新旧モデルの比較を見ていきましょう。
ADIZERO SL 2 | ADIZERO SL | |
---|---|---|
アッパー | ENGINEERED MONO MESH | LIGHT WEIGHT SANDWICHMESH |
ミッドソール | LIGHTSTRIKE 2.0 | LIGHTSTRIKE PROLIGHTSTRIKE PRO LIGHTSTRIKE EVA |
アウトソール | ADIWEAR RUBBER | HIGHGRIP RUBBER |
ドロップ | 10mm | 8.5mm |
重さ | 232g | 240g |
価格 | 14,300円(税込) | 14,300円(税込) |
これらの違いについて、どのような進化があったのか、もう少し深堀りして見ていきましょう。
アッパーにENGINEERED MONO MESHを採用
足に貼り付くようなフィット感がADIZEROの代名詞でしたが、ここ最近はアッパー素材がやや硬いものも増えており、人によってはかつてのフィット感が薄れているように感じていたかもしれませんが、ADIZERO SL 2はADIZEROらしさを強く感じられるフィット感になっています。
前作はLIGHT WEIGHT SANDWICHMESHを採用しており、貼り付くというよりは包み込む感じになっていましたが、ENGINEERED MONO MESHに変更したことで、高い追従性を実現しており、スピードを出したときにもしっかりとシューズが付いてきてくれます。
LIGHTSTRIKE PROをフルレングスで内蔵
前作はLIGHTSTRIKE PROを前足部にのみ搭載していましたが、ADIZERO SL 2はフルレングスで内蔵。さらにLIGHTSTRIKE PROを包み込む素材にはLIGHTSTRIKE 2.0を組み合わせたことで、これまでいじょうのクッション性と反発力を得られるようになっています。
ADIWEAR RUBBERで耐摩耗性とグリップがアップ
前作にはグリップ力の強いHIGHGRIP RUBBERが採用されていましたが、新作では耐摩耗性も意識してADIWEAR RUBBERを採用しています。ADIZERO SLで走り込みをして、ソールの消耗が気になった人も、新作では満足できる耐久性を期待できます。
10mmドロップ
ADIZERO SLのドロップは8.5mmで標準的なドロップになっていましたが、ADIZERO SL 2は10mmドロップとなっており、より前傾姿勢になりやすく、自然とスピードに乗ることができるデザインになっています。
8gの軽量化
たった8gと思うかもしれませんが、軽くなったという事実が重要になります。一般的にジョグシューズは重さはそれほど重視しませんが、ADIZERO SL 2が軽くなったというのは、「もっとスピードを出せるように仕上げた」というメッセージが込められています(と解釈しています)。
この8gにADIZERO SL 2の本質が隠されているのですが、それについては近日後悔するレビューで解説します。
新谷仁美選手を支えるベースシューズ
ADIZERO SL 2の先行体験イベント「adidas ADIZERO SL ATHLETE SESSION」には新谷 仁美選手とTWOLAPSの和田 俊明コーチがゲストとしてADIZERO SL 2の魅力について語ってくれました。新谷選手はアディダスと契約をしてからずっと「ADIZERO SL」をベースシューズにしているほどの「ADIZERO SL」好きのランナーです。
もしかしたら、新谷選手は日本で最もADIZERO SLの魅力を知り尽くしているかもしれません。ジョグだけでなく、さまざまなトレーニングをADIZERO SLで実施しているとのこと。そんな新谷選手が新作について感じたのは「柔らかい」ことを特徴として挙げていました。
日本のマラソン練習はほとんどのケースでアスファルトの上を走ることになるわけですが、そのような硬い路面でも衝撃をしっかりと吸収してくれるということで、ADIZERO SL 2の万能性がさらにアップしているように感じているようでした。
ジョグシューズという位置付けではあるものの、ロードだけでなくクロカンもトラックもこれ1足で問題ないそうです。レースは流石にレース用のシューズを履いていますが、タイムを気にしなくていいと言われたら、ADIZERO SL 2を履いてしまいそうなくらいADIZERO SL 2を推していました。
もちろんランニングシューズですので相性はあります。ただ新谷選手との相性は抜群で、あのワクワクさせてくれる走りを支えてている1足となっています。それでいて、初心者のレースシューズにもなるポテンシャル。価格もお手頃ですので、マラソンシーズンに向けての相棒を探している人は、ぜひ試してみてください。
新谷仁美選手コメント
「ADIZERO SL」はこれまでのウォーミングアップやジョギング、軽めのペース走など、多くの場面で使ってきたシューズです。「ADIZERO ADIOS PRO 3」や「ADIZERO TAKUMI SEN 10」など、レースで使うシューズに注目が集まりがちですが、私は日常的に履く「SL」を特に重視しています。
今回のアップデートで、より軽量で安定性が高まり、反発性も向上した印象です。特に反発性が以前よりも感じやすくなり、ジョグのペースが上がって、よりリズム良く走れています。
平林清澄選手(國學院大学)コメント
このシューズは非常に軽くて、足に優しい柔らかさと弾むような反発力を持っています。本格的なトレーニングで活躍する一足だと思います。
ADIZERO SL 2 商品概要
品番 | IF6745 |
価格 | 14,300円(税込) |
重さ | 232g(27.0cm) |
ドロップ | 10.0mm ヒール:36 mm / 前足部:26 mm |
発売日 | 2024年6月1日 |