新潟のトレイルランニングレースで、参加者24人が蜂に刺されるという事故が発生しました。刺したのはおそらくクロスズメバチだろうとされています。
スズメバチは9〜10月にかけて活発に活動します。この時期はトレランレースだけでなく、トレーニングで山を走るという人もいると思いますので、スズメバチ対策をしっかりと頭に入れて、山に入るようにしましょう。
蜂はどこに巣を作る?
一般的に蜂は人間が通る場所の近くに巣を作りません。蜂は自分たちのテリトリーを重視しますので、人通りが多い場所は避けるようにして巣を作ります。このため、通常のトレランであれば蜂の巣に近づくことはあまりありません。
ところが、スズメバチのうちクロスズメバチやオオスズメバチは地面の下に巣を作るため、トレイルの近くに巣があることも珍しくありません。今回の事故も地面に巣を作ったオオスズメバチだったようです。
この巣を見つけるのは簡単ではありません。コースの安全確認をしたときには気づかず、たくさんのランナーが走ることで蜂が驚いて攻撃をしてきたのでしょう。これは回避しようがありませんので、そういう可能性があることだけ覚えておきましょう。
また、普段あまり使われていないトレイルでの場合は、トレイル近くに蜂が巣を作っている可能性があります。十分に注意して走りましょう。
蜂対策には黒いウェアを避ける
よく言われていることですが、蜂は黒いものを攻撃します。トレランでは黒のウェアは避けてください。タイツ類などどうしようもない部分もあるかもしれませんが、黒色は蜂を攻撃的にさせる危険性があることを理解しましょう。
どうしてもコンプレッションウェアが必要だという人は、ロングタイツではなく、明るい色のカーフカバーがおすすめです。
もちろん白色のような明るい色でも、一度標的になると安全とはいえません。ただし、確率的に明るい色のほうが回避しやすいのは事実です。刺されにくくするために、長袖や少し長めのランパンなどもおすすめします。
OK:白色、黄色
NG:黒色、赤色、青色
また、スズメバチは目の黒い部分も狙ってきます。この時期だけでもトレランに適したサングラスの使用も検討してください。自分の身は自分で守るしかありません。
蜂に気づいたら姿勢を低くする
蜂を見つけたときに、まだ蜂に存在を気づかれていないなら、姿勢を低くして逃げるようにしましょう。蜂が自分の下側を見るのが得意ではありません。まずは蜂にバレないようにすることが重要です。
そして低い姿勢のままゆっくりと逃げましょう。レースの進行方向に進むか、引き返すかは自分で判断してください。状況によって正しい選択は違います。ひとつ言えるのは、レースの続行のためだけに前には進まないということです。
リスクを回避できない人は、今回大丈夫でもいずれ痛い思いをします。優秀な登山家は山頂が数十メートル先でも、危険を感じたらアタックしないと言われています。命があれば何度でも挑戦できますが、死んでしまったらそこで終わりです。
蜂くらいで大げさと感じるかどうかは人それぞれですが、日本では毎年20人近くが蜂に刺されて死んでいるという事実も頭に入れておきましょう。
蜂が近づいてきたら、手で払い除けたくなりますが、これは攻撃と判断されてしまいます。自分を守るためでも蜂を刺激するようなことはしないでください。音を立てるのも好ましくありません。
スズメバチに刺されたら
トレランレースなら医療スタッフがいるはずですので、蜂に刺されたらすぐに応急処置をしてもらいましょう。素人判断で動くよりもプロに任せた方は安心です。
もし練習で山に入った場合にするべきことは次のようになります。
1.その場をすぐに離れる
2.傷口を水で冷やす
3.爪先でつねって毒を抜く
4.消毒して虫刺されの薬を塗る
5.病院で診てもらう
刺されたら、迅速にそこから立ち去りましょう。こわくて立ち止まってしまう人もいますが、次から次へと蜂はやってきます。そこから離れることが重要です。
安全な場所に移動したらすぐに傷口を水で冷やしましょう。そのときに毒を抜くようにしてください。器具は持っていないと思いますので、爪先で絞り出すようにしてください。口で吸って抜くのはNGです。
応急処置としては、消毒をして虫刺されの軟膏などを塗れば完了です。速やかに病院で診てもらう。
蜂が多いような場所を走る人は、吸引器を持っておくと安心です。少なくとも大会運営をする人は、高価なものではありませんので何セットか用意しておきましょう。
アナフィラキシーショックについて
山を走る人はすでに知っているかもしれませんが、スズメバチは最初に刺されたときよりも2回目のほうが危険だと言われています。アナフィラキシーショックと呼ばれるもので、免疫が過剰に反応して下記のようなアレルギー反応が出てしまいます。
・呼吸困難(呼吸促迫)
・失神
・意識不明
・蕁麻疹
・血管性の浮腫
・嘔吐
・下痢
・腹痛
重度のアナフィラキシーショックの場合は、命に関わる危険性があります。すべての人に発生するわけではありませんが、かなり危険な状態ですので、一度スズメバチに刺されたことのあるという人は、山では慎重に行動してください。
過去に刺されたことがあるという人は、エピペンという自己注射をお医者さんに処方してもらいましょう。30分だけですがアナフィラキシーを抑えることができます。その間に病院で治療を受けるようにしてください。
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