本気でランニングを取り組んでいるランナーさんなら、三村仁司さんの名前を聞いたことくらいはあるかと思います。オリンピックや世界選手権でメダルを獲得した歴代のランナーの足元には常に三村さんの作ったシューズがありました。
日本陸上界を文字通り足元から支えている、現代の名工・シューズ職人である三村仁司さんがニューバランスとタッグを組むことになったのは、ランニングシューズ業界では今年1番のニュースになりました。
ただ、一般のランナーにしてみれば三村さんは雲の上の存在で、影響があるとしても三村さんが開発に携わった市販シューズを履けるくらいにしか考えていなかったかと思います。
実際に今年の年末には、三村さんが手がけたランニングシューズが発売される予定です。これまでアシックスやアディダス、ナイキといったメーカーのランニングシューズを選んでいたランナーも、これからはニューバランスという選択肢が増えることになります。
ただ、ニューバランスと三村さんがタッグを組んで行っていくことは、ランニングシューズの開発だけではありません。契約選手へのシューズ提供はこれからももちろん行っていきますが、一般のランナーもシューズを作ってもらえるNB M.Lab Projectが始まっています。
NB M.Lab Projectの一環として今週末(2018年6月16日17日)にはニューバランス銀座1周年記念イベントに合わせて、三村さんが足の測定を行って、その人に合ったランニングシューズを作るというイベントが開催されています。
ただし、このイベントはただのカスタマイズシューズ製作イベントではありません。もちろん完璧にフィットするランニングシューズを手に入れることができますが、ポイントは三村さんのアドバイスを受けられるということにあります。
これはトップランナーに対するときも同じことなのですが、三村さんのスタンスは「体の弱い部分を指摘して、そこを強化する方法をアドバイスする」ことにあります。
速くなるには厳しい練習でもケガをしない体が必要です。そのためには体の弱い部分をそのままにしておくわけにはいきません。このため、まずは股関節が弱い、膝周りが弱いなどを足の計測データから導き出します。
そして最適なトレーニングをアドバイスする。これが日本のトップランナーが三村さんにシューズを作ってもらう最大の理由です。
じゃあランニングシューズは何でもいいじゃないかと思うかもしれませんが、体の弱点のうち、どうしてもトレーニングでは修正できない部分があります。
例えば足首の柔らかさなどがそれにあたります。硬い足首をある程度柔らかくすることはできても、柔らかい足首を硬くすることはできません。そういう部分をサポートするためにランニングシューズがあるというのが、三村さんの基本的な考え方になります。
また、ランニングシューズではフィットしているかどうかがとても重要です。ランニングシューズは一般的に5ミリ刻みでラインナップされていますが、トップランナーであれば2.5ミリの違いでも走りに影響します。
足の甲の高さや幅など市販のシューズでは力を最大限に発揮できませんので、世界のトップと争うときには、そのような細部がとても重要になってきます。
ところが、世界の流れは細かな調整をしなくても履けるシューズが主流になりつつあります。それがナイキヴェイパーフライ4%ですが、このシューズを履いている多くのトップランナーはカスタマイズされていないものを履いています。
ナイキはランニングシューズが人に合うようにするのではなく、人がランニングシューズに合わせることを基本スタンスにしています。ナイキヴェイパーフライ4%で結果を出すにはランニングフォームから変えなくてはいけません。
ただ「科学的に速く走れるフォーム」ですので、それを習得すれば自分用に作られたシューズでなくても速く走ることができるというわけです。結果がすべての世界ですので、これから世界の流れはシューズ主体になっていくことが考えられます。
ところが三村さんはランナー1人ひとり特徴があり、良いところを最大限に伸ばせるようにとランニングシューズを作ります。弱い部分を鍛えるというのも、強みを活かすために必要だから言い続けていることです。
NB M.Lab Projectはニューバランスと三村さんによる、現在のランニングシューズの流れに対する挑戦です。シューズの力を最大限に引き出すためにランナーがいるのではなく、個人の力を最大限に引き出すためにシューズがある。
どちらが正しいのかはまだ誰にも分かりません。ただし、三村さんがこれまで歴史を作ってきたことは間違いありません。そして現在進行系でランニングの世界を席巻しているのは個性を消すタイプのランニングシューズです。
東京オリンピックのマラソン日本代表を決めるためのマラソングランドチャンピオンシップの開催日とコースが発表されましたが、そのレースで何人が三村さんの手によって作られたシューズを履いているか。何人がナイキのシューズを履いているか。
スタートラインでそれを見るだけでもワクワクしてきますよね。
「日本人選手を強くしたい」三村さんははっきりとそう言います。海外選手も頼まれれば作るけど、まずは日本人が強くなってくれることが大事で、自分ならそれができるという自負があります。
NB M.Lab Projectはそんな三村さんから直接アドバイスをもらえる絶好の機会です。世界で戦うわけではない自分がシューズを作ってもらうなんて恐れ多いと思う人もいるかもしれませんが、真剣にランニングと向き合っているなら気にする必要はありません。
勝ちたいレースがある。勝ちたいライバルがいる。乗り越えていきたい自分がいる。そういうランナーさんはぜひNB M.Lab Projectで三村さんのアドバイスを受けて自分の限界を突破するためのきっかけにしてください。
多忙な三村さんですが、今後は1ヶ月に1度のペースでこのような市民ランナー向けのシューズ受注会を開催される予定です。開催情報は下記ページやニューバランスのSNSで発表されますので、興味のある人はSNSのフォローをしておきましょう。
NBRCイベント情報
http://www.newbalance.co.jp/running/nbrc/event/
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