【世界初のマイボトルラン】マイボトル&マイカップへの挑戦「第15回湘南国際マラソン」

湘南国際マラソンは全国でも珍しい、税金を使わずに開催されている大規模マラソン大会です。10回を超える開催実績があり、人気大会であるにも関わらず陸連の公認にもこだわっていません。しがらみが少なく、独自色を出しやすい大会ではあったのですが、ここにきて思い切った方針を打ち出しました。

第15回湘南国際マラソンは世界で初めて、満水にしたマイボトルを携帯してスタートすることが競技規則に盛り込まれたマラソン大会になります。これにより、湘南国際マラソンは数あるマラソン大会とは違い、「湘南国際マラソン」という競技に進化します。

目次

地球環境のためにゴミを出さない大会を目指す

世界的にマイカップを持って走る大会はいくつかあります。ただ、スタートで水を持って走ることが義務付けられるマラソン大会は、おそらく湘南国際マラソンが世界初になります。トレランの大会ではよくあるレギュレーションですが、湘南国際マラソンはロードの大会であるにも関わらず、この決断を下しました。

湘南国際マラソンは1回の大会で31,500本のペットボトルと50万個の使い捨てカップを用意していました。第15回大会からはこれが0になります。

  • 400mlの水もしくはスポーツドリンクで満たしたマイボトルを所持
  • 給水ポイントは500ヶ所以上を予定
  • 給水ポイントに水の入ったカップは置かない
  • マイカップランナーのためのお楽しみ給水

ペットボトルと使い捨てカップを使わないので、ランナーはスタート時に400mlの水分を所持することが義務付けられます。そして、手持ちの水分が足りなくなったら、コース上500ヶ所以上に設置された給水所で補給します。

さらにマイカップを持って走れば、趣向を凝らしたスペシャルドリンクの給水を受けることができます。これにより約6トンのCO2削減になると推定されています。世界的なCO2の発生量を考えれば微々たるものかもしれませんが、これはマラソン大会の概念を変える、とてつもなく大きな挑戦になります。

給水システムは地域防災にも役立つ

マイボトル・マイカップが必須になる大会ですので、給水のあり方そのものが変わってきます。せっかくランナーがマイカップ・マイボトルにしても給水所にペットボトルがあったのでは意味がありません。水はアクアクララと提携しリターナブルボトルから、スポーツドリンクは20Lステンレスジャグから補給します。

マラソンで使用する水は25トン(スポーツドリンクを除く)で、この25トンはアクアクララが水の在庫として備蓄することになっています。もし湘南国際マラソンのコースになっている、藤沢市・茅ヶ崎市・平塚市・大磯町・二宮町で災害が発生したときには、この25トンの水が被災地に届けられます。

そのような自然災害が発生しなければ、25トンが湘南国際マラソンで使われるという仕組みが導入されています。ただペットボトルをなくすだけでなく、地域防災を巻き込んでの大掛かりな取り組みで、地域密着を重視する湘南国際マラソンだからこその発想でもあります。

湘南国際マラソンがあるから、これらの地域が被災したときに水問題が速やかに解決する。これによりマラソン大会の存在意義が変わってきます。マラソンを走らない人にとっても、湘南国際マラソンはセーフティネットとして必要なイベントになるわけです。

ウィズコロナを視野に入れた防疫の導入

そもそも新型コロナウイルスが収束しなければ、このような取り組みも意味がないのではないかと思うかもしれませんが、湘南国際マラソンが自治体主催でもなければ陸連の公認大会でもないことが、ここにきて有利に働いています。

陸連はマラソン大会を開催するためのガイドラインを発表しましたが、そのガイドラインに従うと、実質的にどこもマラソン大会の開催ができない、もしくは二の足を踏むような条件が揃っています。ところが湘南国際マラソンは陸連の公認ではないので、それらすべてに従う必要はありません。

もちろん、ガイドラインに則って開催されるのでしょうが、四角四面に守る必要がないのは強みです。そして自治体主催でないので(後援にはなっているが税金は使っていない)、自治体が難色を示すということも、他の大会ほどではありません。

じゃあ好き放題するのかというと実際にはその真逆で、新型コロナウイルスが収束しない未来を見込み、それでもマラソン大会を開催するために、何をすればいいのかについて、徹底して議論を重ねて実行していく大会になります。

スタートの混雑をどうやって防ぐのか、ウェーブスタートにするにしても交通規制との兼ね合いもありますので、スタートに時間がかかるなら参加人数を減らす必要があります。では何人なら問題ないのかなどはこれから議論されるとのこと。

現時点では会場入場時とフィニッシュ時に全員の手指と足元を洗浄除菌するシステムの導入が検討されています。これが成功すれば、そのノウハウを使って全国のマラソン大会が再開できる未来が開けます。

湘南国際マラソンが描くマラソンの未来

スタート時に400mlの水もしくはスポーツドリンクを持って走る。これが義務付けられるわけですから、ランニングにおける効率が悪くなります。400mlを持っていない場合と比べればペースが遅くなりますし、補給するロスも発生します。結果的に完走タイムは遅くなります。

湘南国際マラソンはそれを承知でマイボトルとマイカップを導入しました。効率ばかりが求められる世の中で、もっと大切なものがある。ランナーがマラソン大会を走り続けるためには、このようなスピードダウンも必要になります。

ゴミを出し続ける大会に未来はなく、非効率でも地球環境に優しく、地域の役に立つ大会でないと、この先10年20年も持続できないというのが、湘南国際マラソン運営側の考えです。そのために、記録が多少悪くなることも仕方がないとしています。

ランナーの中には、少しでも軽くするためにスタート直後に400mlの水を捨てる人も出てくるはずです。でも、そういう人はお呼びではありません。湘南国際マラソンが求めているのは、一緒になってマラソンの未来を作っていけるランナーです。

湘南国際マラソンはマラソン大会ではありますが、これまでのマラソン大会とはまったく違う理念があり、まったく違う競技だと考えてください。走るのは同じです。でも他のマラソン大会と比較するものではない。唯一無二の「湘南国際マラソン」という競技になります。

その競技に参加する条件はひとつだけ、湘南国際マラソンの新しい理念に同意し、マイボトルに水を満たしてスタート地点に並ぶということです。ちょっとワクワクしませんか?これまでにない新しいマラソンの未来が切り開かれようとしています。

新しい湘南国際マラソンのエントリー開始は9月5日。12月10日に開催可否の最終決定となっています。開催日は2021年2月28日。まだまだ決まっていないことばかりですが、こんなに胸躍るマラソン大会のお知らせは初めてかもしれません。詳細が決まり次第RUNNING STREET 365でもご紹介しますので、楽しみに待っていてください。

大会詳細情報

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