ランニングシューズのフィット感は、シューレースによって調整します。このシューレースによるフィッティングというのはシンプルな仕組みではあるものの、しっかりとフィットさせるにはコツがあり、ほとんどの市民ランナーが緩いフィット感でシューズのポテンシャルを引き出せていません。
フィット感が緩いとシューズの反応が遅れてしまい、比較的スピードが遅いランニングにおいてもロスになります。BOA®フィットシステムはそんな問題を解決するために開発された技術で、最新の研究ではパフォーマンスが最大9%向上することが分かっています。
BOA®フィットシステムとは
ランニングシューズに装着された、丸くて黒いダイヤルを見たことがあるかもしれません。それがBOA®フィットシステムです。スキーやスノーボード、ゴルフなどをする人は、すでにその恩恵を受けているかもしれません。ダイヤルを回すことだけで、フィット感の調整が簡単にできるアイテムです。
ロード用のランニングシューズにはあまり採用されていませんが、俊敏性を求められるトレイルランニングシューズでは、徐々に利用者が増えています。1ミリ単位でフィット感を調整でき、それも慣れてしまえば数秒で最高のフィット感を得ることができます。
ただ、これまでは体感的に「フィット感が高まって走りやすい」という評価でしかなかったのですが、最近の研究結果でパフォーマンスが最大9%向上するということが判明しました。もちろん競技によって向き不向きがありますが、高性能化が進んでいるランニングシューズにおいても、シューズのポテンシャルを引き出すアイテムとして期待されています。
シューズのポテンシャルを引き出せるということは、それはそのまま自分自身のポテンシャルを100%発揮できるということでもあります。これまでのように毎回シューレースを締め直す必要もなく、手軽に最高のフィット感をもたらしてくれる。BOA®フィットシステムはそんな魅力的なテクノロジーです。
BOA®フィットシステムがミッドソールへの連結性を改善
FOOTWEAR SCIENCE JOURNALにて発表されたのは「BOAフィットシステムを搭載した靴を履いているアスリートは、従来の靴ひもと比較して、敏捷性とスピードが3~9%向上した」という研究結果でです。NCAAのディビジョン1や各種クラブスポーツのアスリートを含む31名を対象にしており、鍛え抜かれたアスリートですら大きなメリットがあることがわかります。
BOA®フィットシステムを採用することで最適なフィット感を得ることができ、これにより足とミッドソールとの連結性が高まったことが、驚くべき研究結果の理由として考えられます。逆に言えば、私たちがいつも使っているシューレースでは十分なフィット感を得られていないことになります。
この研究結果のポイントはフィッティングシステムを交換しただけで、明らかな変化が見られたことにあります。これだけでBOA®フィットシステム搭載のシューズを選ぶ理由になりますよね。感覚だけでなく客観的な数字でその性能の高さがわかったことで、これまで以上にランニングシューズへの搭載が進むかもしれません。
BOA®フィットシステム搭載ランニングシューズ
ゴルフシューズやスキー、スノーボードではなくてはならないテクノロジーのBOA®フィットシステムですが、まだランニングシューズでは1部のモデルのみ搭載となっています。どのようなモデルに搭載されているのか、現在販売中のシューズをご紹介します。
NEW BALANCE 1500T2
すでに製造は終了していますが、ニューバランスの公式オンラインアウトレットで40%OFFにて販売中のNEW BALANCE 1500T2。軽量なレーシングモデルでポイント練習などにも使える1足です。BOAが違和感なくデザインに取り込まれているのがおすすめポイントです。
YONEX SAFERUN 350M
ランナーを膝のケガから守ってくれるランニングシューズを開発しているヨネックスのセーフランシリーズにもBOAが採用されています。高い衝撃吸収性があり、これからランニングを始めるという人や、快適なジョグシューズを求めている人に適した1足です。
Saucony Switchback2
クッショニング素材「PWRRUN+」を採用することで、高い衝撃吸収力を備えてたトレランシューズで、その機能を最大限に活かすためにBOAのL6ダイヤルをサイドに搭載しています。アッパーとソールでしっかりと足を包み込み、どんな路面素早く適応できる1足です。