『コンカレントトレーニング ―最高のパフォーマンスを引き出す「トレーニング順序」の最適解』

ランナーも30代後半くらいから、筋力不足によってスピードを出すのが難しくなります。ここでタイムを追うのをやめるのか、それとも筋力を取り戻すかの選択を迫られるわけですが、まだ自分は成長できると思うなら、筋トレに取り組むことになります。

ただ、筋トレは持久力トレーニングと相反するもので、持久力トレーニングを行えば筋トレの効果が弱まり、筋トレをすれば持久力トレーニングの効果が弱まります。いかにしてこの2つを両立させるのかを考えてトレーニングを積む必要があります。そんなときに手にしてもらいたい本が、『コンカレントトレーニング ―最高のパフォーマンスを引き出す「トレーニング順序」の最適解』です。

目次

コンカレントトレーニングとは

「Concurrent」とは「同時に」という意味で、コンカレントトレーニングとは持久性トレーニングとレジスタンス(筋力系)トレーニングを同時に行うトレーニング法のことです。普通のことでは?と思うかもしれませんが、何も考えずに、この2つのトレーニングを行うと、非効率なトレーニングとなってしまいます。

持久性トレーニング:持久系の能力を高める(ランニング・サイクリング)
レジスタンストレーニング:筋発揮の能力を高める(筋トレ・スクワット)

筋トレは持久力の向上を阻害し、持久力トレーニングは筋力アップを阻害します。これを「相互干渉作用」と呼びます。この相互干渉作用を考えた上でトレーニングメニューを組まないとトレーニング効果が下がるのですが、そこで登場するのがコンカレントトレーニングになります。

この考え方は、もちろんランナーにも適用されます。むしろ中高年のランナーが記録更新を狙うなら、本気で取り組む必要のあるトレーニングです。そして、そのコンカレントトレーニングの最新ノウハウを紹介しているのが、『コンカレントトレーニング ―最高のパフォーマンスを引き出す「トレーニング順序」の最適解』です。

筋トレの効果を最大化するための1冊

筋トレと持久力トレーニングは相互干渉作用によって、それぞれのメリットを打ち消してしまいます。このためこの2つのトレーニングを同時に行うコンカレントトレーニングでは、トレーニングの量、強度、様式、頻度、運動を実施する順序、セッション間の回復時間などを考慮する必要があります。

『コンカレントトレーニング ―最高のパフォーマンスを引き出す「トレーニング順序」の最適解』では、相互干渉作用のメカニズムを生理学的な観点から解説し、さらに競技ごとにどのようにトレーニング計画を組めば、筋トレと持久力トレーニングの効果を引き出せるのかを教えてくれます。

専門用語も多く、誰にでも理解できる内容ではありませんが、少なくともスポーツに関わるトレーナーやコーチは必ず読んでおきたい内容が詰まっています。科学的にも正しい手順を知ることで、意味のないトレーニングを排除できるという意味では、独学になりやすいランナーも手にしてもらいたいところです。

コンカレントトレーニングはランニングなどの競技力を上げるだけでなく、生活習慣病予防や健康維持促進にも効果があるとされています。2021年以降のトレンドになる可能性が高いトレーニング方法ですので、コロナ禍を利用して体を鍛え上げてレベルアップを考えている人は必読の1冊です。

最高のパフォーマンスを引き出すための投資

『コンカレントトレーニング ―最高のパフォーマンスを引き出す「トレーニング順序」の最適解』は5,500円(税抜)もします。消費税を入れると6,050円と書籍としてはかなり高額です。おそらくほとんどの人が金額を見て二の足を踏むことになるはずです。

ただし、その値段に見合うだけのノウハウが詰まった1冊で、金額に見合ったリターンを得ることができます。もちろん理解し実践できることが前提になりますが、それさえできれば自分のパフォーマンスを数段上のレベルにまで引き上げてくれます。これは自分のパフォーマンスを引き出すための投資だと考えてください。

最新の高機能ランニングシューズは1000kmも走ると買い換えなくてはいけませんが、この本で蓄えられた知識は一生モノです。2万円のランニングシューズと6,050円のノウハウ。どちらが自分の役に立つのかを考えてみましょう。正しくトレーニングできるなら、決して高い投資ではないはずです。

書籍情報

書 名:コンカレントトレーニング ―最高のパフォーマンスを引き出す「トレーニング順序」の最適解―
著 者:モリーズ・シューマン/ベント・ロンネスタッド
監 訳:稲見崇孝
訳 者:峯田晋史郎/山岸卓樹/山口翔大
判 型:A5
頁 数:548
発売日:2月3日
価 格:5,500円(税抜)
ISBN:978-4-491-04157-5
発行元:東洋館出版社

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